狂っていく中で・・・
家に着くと私は執事たちに連れられ部屋に入れられた。
前にあった窓も、壁も頑丈になっていた。
牢屋の様な雰囲気は前と同じだ。
足には鎖がつながれた。
反抗をしようとはしなかった。
そんな気力はなかった。
そのまま鎖に・・・足枷に、手錠につながれて、時が過ぎた。
「美佑様!」
声が聞こえた。
死んだように私はその声の方を見る。
今は何時なのだろう、窓から差し込む光を感じながら思う。
「優、葉・・・・」
優葉だった。
泣きそうな顔をしている。
「美佑さ、ま・・・」
「・・・・・」
優葉は美佑の足元を見て唖然としていた。
「私は、私は・・・・どうしたら」
「あ、りがとう」
私は何かが欠けたかのように狂っていた。
しゃべることさえ普通にできない。
でも、それでも私は優葉に”ありがとう”と告げた。
私の勘違いかもしれないけれど、こんな私を思ってくれたことがうれしかった。
私はさびしかったのかもしれない。
夕方が夜になり、寂しくなった。
夜が朝になり、苦しくなった。
感情なんてもう、なかったはずなのに。
無くなったほうが辛くないのに。
死にたいと何度願っただろうか、今まで。
けれど今はそんなことは少しも思わなかった。
何もかもが狂ったようだ。
目を閉じたら、血を流すあの人が見える。
怖かった。
私が傷つけたという事実が。
今の現実が・・・・・。
「美佑様・・・」
優葉の哀しそうな声が私の耳に届く。
「ゆ、うは・・・1つ、いい?」
今の私はお願いなどしてはいけないのだろう。
けれど・・・・・。
けれど、これ以上私が狂っていかないようにお願いをする。
寂しいからこんなことを言うのかもしれない。
理由さえも言い訳に過ぎないのかもしれない。
わからないけれど・・・・。
「はい・・・・」
優葉の返事が聞こえた。
やさしい、人だ。
いい子だ・・・・。
こんな私に声をかけてくれるなんて。
こんな私の話を聞いてくれるなんて。
返事を返してくれるなんて・・・・・。
わからない。
なぜなのだろう・・・・。
なんでなんだろう。
わかんないよ。
なんで・・・・。
嗚呼私はまた狂っていく。
もう、やめてほしい。
やめてしまいたい。
やめたい。
投げ出したい。
苦しいよ。
哀しいよ。
辛いよ。
分かんないよ。
虚しいよ。
空っぽだよ。
欠けてるよ、何かが。
ねぇ、もう一度会えたなら。
私の鎖がいつか解けて奇跡が起こって・・・・
また会えたら、自分に素直になろう。
ありがとうって声がかれるまで言おう。
まあ、そんなことないんだろう。
現実はあまり甘くはない。
神様もやさしくはない。
奇跡が起こるかなんてわからないけど。
そのとき生きてるかさえ、わからないけれど。
もう、あの鬼に喰われているかもしれないけれど。
ありがとう・・・。
そんな心情の中私は優葉にお願いをする。
「少し、だけっでも一緒にいて・・・」
息をすることさえ儘ならないけれど、お願い。
自分にぽっかり穴が開いたみたいなの。
苦しいの、息苦しいの。
少しだけでいいから。
「はい」
優しい優葉の声が響く中私は少し落ち着いたかのように壁にもたれた。




