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4:癒されたい……
そして、僕は壊れていった。
新しい癒し系は、とうとう見つからなかった。
癒し系のない人生なんて、ネタが乗ってないお寿司のようなものだ。
癒し系は、僕の体の一部だった。
そう。僕の一部だった。
仕事で疲れて帰って、ビールを何杯飲んでも、ダメになっていた。
逆に、ビールに飲まれてしまったように酔いつぶれる事が多くなった。
ラベンダーの甘い香りは、いつしか忌まわしい悪臭へと変わっていった。
もちろん、窓から投げ捨てた。
パソコンは、見るたびにイルカが現れるので、画面を割った。
アイドルの写真集も燃やした。
もう、癒されるものは何も残っていない。
癒しなんて、もういらない。
ストレスが溜まるばかりだ。
癒し系……か。
最後くらい、癒されてから終わりたかったな。
窓を開け、昔少しだけやっていたスイミングを思い出しながら、さんに足をかけた。
次の世では、もっと癒されるかな。