母さんの弁当は最強であった。
こんばんは。
ギャルゲにハマりやり込んでいたら昨日の投稿を忘れました。
ヤンデレキャラの攻略に手こずっております。
言い訳はしません。
昼休みになった。
ここまでの道のり、本当によく頑張ったと思う。
「吉原は、まだ教科書がないから隣のやつに……あー…えっと、山…山田、見せてやれ。」
と言われた時は、正直どうしようかと思った。
めちゃくちゃいい匂いのする美少女に教科書を見せるということはもちろんだが、中学三年の二学期にもなって未だに教師に名前を覚えられていないことには驚いた。
山崎は全国で21位の多さを誇るメジャーな苗字のはずなのだが。
まあいい。
細かいことを考えるのはよそう。
自分の心にこれ以上傷を付けるつもりは無い。
ちなみにどうでもいい情報だが、我が学校の昼休みは4限目と5限目の間にありピッタリ1時間だ。
昼食は各自持ち寄りで弁当やコンビニのパンなど人それぞれ食べているものは違う。
これも最高にどうでもいいが、俺は毎日母親が作ってくれた弁当を持参している。
俺の中では母親の作る弁当は世界一であり、つまらない最低最悪な学校生活も母親の弁当のためと思へば何とか乗り越えられる。
決してマザコンではない。
ちょっと、いやかなり母親のことが好きなだけだ。
マザコンではない……とおもう。
昼休みは時間も長いため、他クラスに遊びに行って昼食を食べる奴も多く、学校中が騒がしくなる。
何故他クラスに行かねば昼食すらまともに食べれないのだろうか。
俺は常々そう思っている。
口には出さずに、思っているだけであるが。
決して嫉妬ではない。
羨ましいとかそんなんじゃない。
勘違いはよしてくれ。
可哀想なものを見る目でこちらを見るんじゃない。
さて、また脳内で長々と話をしてしまった。
今俺は吉原に誘われて2人で昼食を食べているところだ。
最初は断ったんだ。
だが、押し切られてしまった。
敗因は俺がボッチなことにある。
俺がクラスで人気者の陽キャパリピだったと仮定する。
その場合、昼食を一緒に食べようと誘われた時に断る口実は山のようにあっただろう。
思いつく限りあげてみよう。
「ごめん。他のダチと約束してんだ。また、誘ってよ。」
(この場合の他のダチというのは彼女、つまり恋人である。)
「あーわり。先客あるんだー。」
(この場合の先客というのは彼女、つまり恋人である。)
「気持ちは嬉しいんだけど、ワガママなお姫様が待ってるからさ。 (爽やかな笑みと共にバックに花を飛ばす)」
(この場合のワガママなお姫様というのは……以下略)
……不毛だ。
こうしていろいろ考えた結果、考えるのをやめた俺は大人しく吉原と昼食を食べることになった。
美少女と2人きりで昼食なんて嬉しいに決まってる。
決まってるけど、これも素直に喜べない理由が俺にはある。
それは、俺が根暗陰キャクソぼっちなことにある。
クラス中からの視線が矢のように突き刺さってくるのだ。
いつの間にやら他クラスの奴らにも美少女が転校してきたというのは伝わっていたようで、顔も知らない奴らからも視線が飛んでくる。
あまりの怖さに背中には冷や汗が伝い、腕には鳥肌が立っている。
先程、昼食前に手を洗いに行こうと俺が席を立った瞬間、ここぞとばかりにクラスの奴らが吉原の周りに詰めかけていた。
やっと邪魔者が居なくなったとでも言うように。
そして、リア充グループの奴らが吉原を昼食に誘った。
俺はその光景を教室の外から水滴を垂れ流しながら見ていた。
ハンカチを忘れたんだ。
てっきりそいつらの誘いを受けるだろうと思ったのに、吉原はその誘いを断った。
「私、山崎くんと一緒にお昼食べるつもりだから。ごめんなさい。」
その時の俺の気持ちが分かるか?
教室の外で立ちすくみ、手を拭くことも出来ず。
教室の中に入るのに、どれほどの勇気が必要だったことか。
ドアを開けた時のクラスメイトの眼差し。
とてもじゃないがまともに顔すら上げられなかった。
なのに、吉原ときたらニコニコしながら、本当に可愛い……じゃなくて何の屈託もない笑みでこう言った。
「山崎くん、一緒にお昼ご飯食べない?」
そして、今に至るわけだ。
下を向いて無我夢中で弁当を口に詰め込む。
ああ。こんな時でも母親の弁当は美味しい。
俺は吉原の話に何とか相槌をうちながら、昼休みが一刻も早く終わることを祈った。
心から祈った。
無情にも、時計の針はまだ15分程しか歩みを進めていなかった。
また明日。
ギャルゲは控えます。
すみません。