【12】
「っきゃあ!」
「くそ!」
赤チームの1人と黄チームの1人が擬似体力がゼロとなった。
レイサ先生が即座にセーフティゾーンにワープさせ、戦いは続いていく。
『さあ、次に落ちそうなのは赤チームリーダー、ティナシア選手か!?
2人のチームリーダーに囲まれ、絶対絶滅だ!』
「はぁっ、はあっ!」
「ちゃんと狙え、ヤクトお坊ちゃん!」
「君こそ、ちゃんと仕留めて欲しいね!」
ヤクト様の狙撃で足止めし、ダルシアンさんが仕留めに行っているがティナシア様は上手く避け、躱し、どうにか保っているが擬似体力は残り少ない。
「ぐああっ!」
『おっと!?レオニダス選手、ワイス選手の体力を一気に削った!黄チームリーダーの離脱は痛いぞ!?凌げるか!』
水の魔法使いであるワイス卿を地属性魔法と銃撃で一気に削った。
スレイヴ様とミレイユ嬢も奮戦しているが、レオニダスの魔法を止められる訳ではない。むしろ避ける事が主で致命傷を与えられない。
「火人の射手!」
「何っ、しまった!」
レオニダスの爆発するような火の矢が緑チームの1人を貫き、体力をゼロにした。
これで現状の残り人数は、赤チーム4人、青チーム5人、緑チーム3人、黄チーム3人だ。
青チームが1番多いのだが、黄チームリーダーのワイス卿は危険な状態であり、赤チームのティナシア様、そして地属性姉弟の弟もまもなく倒れそうだった。
「! 黄チームが…!?」
「青チームを攻撃してます!」
赤チームが倒れた後の事を考えて、人数が多いチームを狙うのは戦略だろう。
しかし、レオニダスの体力はかなり減っているとは言えず、水魔法使いを減らすのは現状で悪手としか言いようがない。
だが黄チームの残り2人は青チームの水魔法使いへと攻撃し、体力をゼロにしてしまった。
「水の槍!」
「水の槍!」
「火の長槍!」
「きゃあっ!」
「ぐっ!」
ミレイユ嬢と水魔法使いが放った水魔法を火魔法で相殺した所か、反撃を飛ばす。火の魔法に貫かれ、ワイス卿は倒れた。
「ああもう、黄チームは何してますの!?今は人数を減らすよりリーダーをフォローする方が大事だったでしょう!」
「しかも水魔法使いが2人も減りました!これでは…!」
『次々とダウン!
黄チームリーダー、ワイス選手も脱落だあ!そして赤チームのラント姉弟、弟のシルベスト選手も落ちた!
残りは赤3人、青4人、緑3人、黄2人!
と、思ったが、これはー!!』
「流るる熱波、」
「止めるぞ!」
「水よ、励起し弾け!」
「水龍光覇!」
レオニダスが魔法の術式を展開する。詠唱が必要という事は中級魔法か上級魔法、どちらにしろ強い魔法だ。
水魔法使い、それも強いワイス卿がいなくなった事でレオニダスは詠唱しながら水魔法を蒸発させるレベルの火の防護魔法を発動させていた。
直接狙った者はレオニダスのサポートをする赤チームの子に阻まれ、緑チームの1人が倒れてしまった。
「肌を灼き、焦がし、現れ逆巻け!」
「くっ!」
「まずい!」
「火の嵐、広がらん!」
炎の竜巻が、競技エリア全体を覆ったようだった。目の前まで火が迫って来て、防護壁があるはずなのに熱量を感じた気がした。
この魔法は…!
「魔法検査の時の…!」
だがあの時より、明らかに威力と規模が桁違いだ。恐らくあの時は手加減していたのだろう。
「メイルーン、ミレイユさんとスレイヴさんが!」
「!」
ミレイユ嬢とスレイヴ様の姿が見えた。装備は所々焦げているが、体力はあまり減っていない。あれだけの規模で、と思い至りヤクト様の方を見る。
「ごほっ!」
「ヤクト様!」
「狙いはあちらだったんですね…!」
ヤクト様はティナシア様と戦っていた場所から遠く離れた所にいた。火傷や焦げ跡から、レオニダスはむしろヤクト様達を狙っていたのだろう。
相性が良くないせいもあって、ヤクト様の体力は残り少ない。
「こちら狙いは正しいかもね…でも、ちょっと遅かったかな」
「ちっ…ティナシア先輩、すみません…!」
『レオニダス選手の魔法発動前に、ティナシア選手は倒れていた!
だが今の火の嵐で黄チーム2人と緑チーム1人、青チーム1人が脱落!』
これで黄チームは全滅した。
緑チームは残りリーダーのダルシアンさんだけであり、その彼も体力は残り少ない。
そして赤チームは残りレオニダスともう1人だ。
『流石の威力!流石の範囲!
流石はレオニダスですが、青チームは水魔法で防御していたお陰かほぼ無傷!さあどうなる!?』
「ミレイユ嬢!スレイヴ様!畳み掛けるのです!」
「はあぁっ!」
スレイヴ様がレオニダスに向かう。ミレイユ嬢は赤チームの残り1人が少ない体力だったため、削ろうとしているようだ。
「ミレイユ嬢、レオニダス君に集中!その子は僕がやる!」
「はいっ…え、えっ!?」
「早く!」
ヤクト様が叫び、狙撃で赤チームの子の動きを止める。血を流しながらも無理やり立ち上がり、前を見据えていた。
ミレイユ嬢は戸惑いながらも急いでスレイヴ様のサポートに戻る。
ーー……ーー
「えっ?」
戦闘のクライマックスに向けて、全員が競技エリアへと熱狂の眼差しを向けている。
歓声には叫び声が入り混じり、耳には戦闘音と声しか聞こえない。
ーーーけど、確かに今。
隣の人との会話すら困難になりそうな状況で、ネアシェが私の様子に気付いたようだ。
「どうしたんです、メイルーン?ミレイユ嬢ががんばって、」
「ネアシェ、今、何かが壊れる音がしませんでした?」
「えっ、この状況でですか?私には何も…」
「いえ、今…確かに……!」
ドオオォォンッッ!!!
「「!!?」」
大きな爆発が競技エリアで起こった。土煙が舞い、エリア内に充満し何も見えなくなる。
「なんだ?」
「レオニダスの魔法か?」
「いや、唱えていたようには…」
生徒達がザワザワと話し出し、動揺したように困惑が広がっていく。
「ーーっ!!?」
競技エリアの地面に空いた大穴から、動物のような巨大な目がギョロリと見上げた。




