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蒼海の奏者  作者: 鮭いくら
第1章
39/125

【7】




あれから、数週間後。

本日は魔法競技大会当日だ。




「何度見ても大きいわね、ネアシェ!」

「ええ、魔法競技大会くらいでしか来ないですから、毎年圧倒されてしまいます」


帝国闘技場(ソル・コロッサス)

学園から離れた場所だが帝国で1番大きい室内型ドーム会場であり、普段は闘技場として使われている。

闘技場なので戦いが行われているのだが、魔物相手である場合が多い。強い魔物などを戦う場面を見て貴族や平民が楽しむのだ。

人間同士の戦いであっても闘技場内のみ擬似体力(ダミーライフ)を使う事が出来るので、死亡した人間などはいない。




「ふふっ」

「ネアシェ、なんだか嬉しそうね?」

「最近、メイルーンがミレイユ嬢につきっきりで寂しかったんですもの」

「ネ、ネアシェ…!」


人目がなければ抱きついて頬擦りしていたところだ。私の友人がこんなに可愛い!!


「大丈夫です?ロンギヌス様やスレイヴ様に何か言われませんでした?」

「今更ですわ」

「あらあら」


ネアシェは微笑んでいるが温度が下がった気がしている。怖い。

青の運動着を私とネアシェは着ている。貴族も着るため装飾もあるが伸縮する素材で様々なスタイルがある。応援のみの令嬢などはスカートタイプなど着ていて、運動着なのだろうかと思う。


「青チームの入場ゲートは東側だそうよ」

「ええ、向かいましょうか」

「メイルーン、ネアシェ」

「アインルーガ様?」


赤の運動着を身につけたアインルーガ様がこちらに来ていた。

大会準備中はほとんど声かけされなかったのだが、今は小走りで来てくれていた。


「どうされたのですか?」

「っ、いや…メイルーン、魔法戦に出るのか?」

「えっいいえ?」

「誤りか?魔法の修練をしていたと聞いたのだが」

「ああ、ええとですね…」


魔法戦に出るミレイユ嬢の修練をしていた、と掻い摘んで説明した。最初はありえないだろうと思っていたが、聞いて納得したらしい。


「なるほどな。魔法戦に出なくて正解だと思うぞ」

「なぜです?」

「…レオニダスの奴が、何か吹っ切れたのか調子がいいんだ」


アインルーガ様が柔らかく微笑みながら話している所を見ると、アインルーガ様とレオニダスの関係は良好のようだ。

林間学習で話を聞いた手前気にしていたのだが順調なら良かった。


「あらあら、皆さまにお伝えしなければね」

「ええ、そうね?」

「おっと…そうだったな、今日は敵同士だ。互いに頑張ろう…と言っても、俺は競技に出れないのだが」

「今のところ、私もです。ネアシェは出るのよね?」

「ええ、私向けのものがありましたので」

「そうか、頑張ってくれ。個人的には応援している」

「ありがとうございます、アインルーガ様」


挨拶をしてアインルーガ様と別れる。

魔法戦の忠告に来てくれたのか、激励に来てくれたのか、いずれにせよ光栄な事だ。







「……何も、起こらないといいのだが…」














沸き立つ歓声。

落胆、励まし、罵倒、熱狂。

魔法競技大会は賑わいを見せており、次々と競技が進行していく。


魔法で標的を狙い撃つ競技。

2人1組で乗り物式の魔法道具を使い宙に舞いながらゴールを目指す競技。

重力にひたすら耐えている間に他の者がクイズに答える競技。

障害物を避けてゴールまでたどり着く競技。

魔法道具に刻まれた術式を読み取り発動させるまでの時間を競う競技。


昼食を挟んで競技は続けられ、終盤へと差し掛かっていた。

私はひたすら応援していたが、他の声援や応援団の爆音で耳が1日で聞こえ辛くなった気がする。


「メイルーン様?楽しそうですね?」

「ええ、次の競技、ネアシェが出るんですの!」

「なるほど…わたしも、応援します」


私の隣にはミレイユ嬢がいる。ミレイユ嬢は修練を通して私に多少懐いてくれたようで、もう話辛そうな事はない。

ロンギヌス様は応援団を激励しているし、スレイヴ様は魔法戦のメンバーと話し合い中だ。ヤクト様は応援もせず見ているだけだが。

どうやら、青チームはなんとか上手くいっているようだ。




先程まで隣に座っていたネアシェが競技場へと姿を現わす。


「あっ、出て来ました!」

「ネアシェー!頑張ってー!」


下品にならないよう気をつけてだが応援の声を叫ぶように言うと、ネアシェはこちらを向いて小さく手を振ってくれた。

私も小さく手を振り、更に応援への熱意が高まる。


『さあこの魔法競技大会、終盤となって来ています!

現状の順位はこちら!

一位、赤チーム!

二位、緑チーム!

三位、黄チーム!

四位、青チーム!』


アナウンスの声に従ってメインモニターに順位と点数が現れる。


「最下位…ですね…」

「良く見て、どのチームも接戦よ。特に私達の青チームと黄チームの差は微々たるものよ」

「たしかに、そうですね…!」

『近年稀に見る接戦っぷり!これ以降の勝敗次第で順位が変わっていきそうです!



それでは競技再開といきましょう!

次の競技は、【お題に合わせろ!調合対決】〜〜!』



メインモニターへと競技名とルールが大きく掲示された。






『ここに、普段学園にある設備、そして常備されているほど有名な調合セットと特殊な調合品などが用意してあります!

各組毎にお題が指定されますのでそれに合った調合をしてください!

そのお題は薬なのか、香なのか、飲み物なのか!それはまっっったく分かりません!』


四ヶ所に設備が現れ、その近くに巨大な棚が現れる。調合に使うものは棚に入っているようだが種類が多すぎて探すとなると一苦労だろう。




『各チーム20人ずつ選出し、2人1組で完成を目指します!

制限時間は5分!早かった組に1ポイント!そして最終的にポイントが多かったチームから順位をつけます!

ちなみにお題と合ってるかは、魔法科学専門の先生が判定しますよ!』


20人で2人1組、つまり10ポイントを奪い合い多いチームから一位を決めて順位毎に総合得点に点数が入る。同率首位だった場合は等しくポイントが入るらしい。


『同じ組の2人での相談はいくらでもオーケー!ただ調合中は魔法で遮音されますから、外部から叫んでも無駄ですよー!

そして、各組1度だけ、ヘルプを使えます!

ヘルプすると調合場に希望する1人を呼び寄せる事が出来ます!ただし20秒だけ!

ヘルプした人が調合したのを持ち込んだり直接調合するのは失格になりますんで注意してください!』

「失格条件、よくわからない…ですね?」

「うーん、前にやったのは2年生の時…かしら。まあ競技者が作ったと見なされなかったら失格、みたいなものね」

「そうなんですね…!」




早速競技開始の音が鳴り、1組目から調合を開始した。







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