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蒼海の奏者  作者: 鮭いくら
第1章
22/125

【6】



私達は魔物を倒しつつ、森林の中を進んでいった。所々で戦闘している音がして、他のチームも順調なようだった。





そして初めての宝箱に入っていたのはお肉。鑑別診断すれば良質な肉質だが、繊維が多いためそのまま食べるより煮たりミンチにして利用する事が推奨されていた。

管理棟に戻り保存するのは時間の無駄、という事で私の魔法で凍らせて持ち運ぶ事にしたのだが、ブロック肉のような形であったため、いかんせん重い。後から来てくれれば助かったんだけど。

そして2つ目の宝箱は、白米。アインルーガ様は豪運のようだ。





「これは…」

「もう決定でいいんじゃねえか?」

「ええ、ハンバーグ定食…ですかね?」


主食はお米、お肉をミンチにして…玉ねぎ風な物が生えていた場所も少し前に発見していた。


「汁物と副菜は野菜だな」

「ええ、野草などで彩りも加えて…」













日が傾く頃には管理棟に戻って来る事が出来た。早速準備をし、調理を開始する。

経験者のレオニダスの指示の元、経験のないアインルーガやネアシェに包丁は危険、との判断でお米とぎ、サラダの準備などを頼んだ。私とレオニダスはさっさと野菜などを切っていく。玉ねぎを切っていると先程からレオニダスがこちらを見ていた。


「…何かしら」

「いや…あんた本当に公爵令嬢?」

「はい?喧嘩売ってます?」

「普通に包丁使えてるから」


まあ、現代の高校生レベルの調理基礎は出来ているから、10歳にしては上手に見えるだろう。







「…平民が…」

「!」


ヒソヒソと聞こえてきた話し声。


「殿下や、き……やらせる…んて」

「偉…うに…、」

「へ……んが、ぜん…つくればい…のよ」




周りのチームで、慌ただしく動いているのはほぼほぼ平民だ。平民がいないチームの場合下級貴族が動いているところもあるが、そこそこ名の知れた子息や令嬢達は談笑している。

まあ、皇太子の寵愛を受けている男爵令嬢で料理してないのもいるけど。







ダンッ!


「!?」


まな板に包丁を叩きつけ、大きな音が鳴る。

こちらに向かって噂していた子息や令嬢達に向かって睨めば、一気に青ざめて目を逸らして逃げた。

……この時、涙を堪えるために目に力が入ったまま睨んだため、相当な迫力になっていたのは睨まれた者達だけが知るのであった。



「…随分と勝手に言わせておくのですね」

「別に言わせとけばいいよ、全員群れることしかしない能無しだ」

「全く、頭が悪いんですね」

「はあ?」

「彼らは【群れること】が武器なのですわ。群れて噂し、伝播させ…1人でなく複数人なら、互いのせいにして色々出来てしまいますから」



貴族の噂話の広がり方は異様だ。あること、ないこと、誰かが噂していたと吹聴し貶める。

あのままでいけばクラス全体にレオニダスは皇太子や公爵令嬢を顎で使う無礼者、食事を食べさせないと脅したに違いない、と尾ひれがついて伝わっていくだろう。




「元群れのトップが言うと説得力があるな」

「…否定はしませんわ」


先程の私の行動も、

メイルーン様が平民を庇った。アインルーガ様と同じく平民を優先するのだ。

という噂、もしくはもっと酷い物に変貌するだろう。貴族からのメイルーンの評価は下がるに違いない。いや、元々低いんだけど。







その後はネアシェにも包丁の使い方を教えたりと比較的穏やかにすすんだ。アインルーガ様とレオニダスは人の目がある時は会話を控えているように見え、やはり周りの目は厳しいようだ。

ゲーム本編では、貴族で美青年同士の友人という事でどちらも物凄い女子人気があるのだが、これが身分というものか。


完成した料理は簡単な物だったが中々見栄え良く、味も先生にお墨付きをもらった。

ポイントは10点中9点。満点のチームはないので、上出来だろう。










「それじゃあこのまま夜のミーティングやるぞー」


食事が終わった後、リンドウ先生が再び前に立つ。


「これにて1日目は終了なー。

この後は自由行動。はい、解散ー」

「リンドウ先生……。森林エリアには出られなくなってますので、無用な外出は控えて下さい。それから10時消灯となります、それまでに部屋にいるように。そのタイミングで鍵が閉まりますし、無人の部屋があれば我々に報告が来ますから」


レイサ先生の補足が終わると解散になった。

食事が少なかった、美味しくなかったチームは調理室に行き軽食を頼んだようだ。やはり救済措置はあるらしい。






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