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蒼海の奏者  作者: 鮭いくら
第1章
19/125

【3】





少し早い時間に食堂に到着し、女子と男子で分けられた卓に3人共に座った。まだまだ人は疎らだったが、時間が近くなるにつれどんどん人は増えていき空席を探すのが難しくなるほどまで増えた頃に先生方がやってきた。


「空いてる席に座れー。昼食は会館の方々が用意してくれた。感謝して頂くぞー」


賑やかに昼食は始まり、家の食事に負けるとも劣らない豪華な食事に舌鼓を打つのだった。






そして、デザートも食べ終わり全員がゆったりと話をするようになった頃。


「皆さん、静かに」


レイサ先生の言葉にぴたりと談笑が止み、視線は集中する。リンドウ先生がやれやれと言って話し始めた。


「さて、これから楽しい楽しい林間学習が始まるワケだがー。まず始めに、チーム決めしねぇとなぁ」

「チーム?」

「おー。クラスも性別も関係ない、完全ランダムのチーム決めだ」

「え、ランダムって…」

「さぁ、とっと行くぞー。スタートォ」

「「「聞いてない!?」」」


生徒達の時計端末が一斉に起動し、画面が4つに別れてルーレットのように回り始まる。

動揺して声を上げる者もいるが、リンドウ先生が止まる事などない。


「はい、ストップ」


カシャン、と音が鳴り画面のスロットが止まる。まず1番上に自分の名前。













メイルーン・ウンディーネ・ファクトヒルデ

レオニダス

ネアシェ・ノーム・シドレ

アインルーガ・キシュレム・ラ・ソルアルファ





「…………は?」

「ちなみに、この林間学習はポイント制度でなー?ポイント足りないとチーム単位で成績に響くから覚えとけなー」


「………はああああ!!?」

















チーム分けは、公平公正に完全ランダムで。

ただパワーバランスなども加味して人数などで調節をする場合もある。とリンドウ先生は言っていた。確かに私達のチームは4人だがら10人〜5人のチーム多いように見えた。

そして、


「そして、チーム最初の課題は今日の夕飯作り…か」


レオニダスが深く深くため息を吐く。多分全員同じ気持ちだろう。野郎だけでチームになった奴はごめんなー、と笑いながら退室したリンドウ先生を思い出してかなり腹が立った。






【林間学習初日の課題、夕食作り。

チームで主食・汁物・主菜・副菜の4つを調理し、栄養バランスや彩り、美味しさなどを審査、点数をつける。

そしてその料理はチーム全員の夕食でもある】


時計端末に表示された課題。主目的の他に注意事項やサポート機能などが載っている。




・当端末を利用し食材の鑑別診断が可能。結果の表示には多少の時間がかかる。

・獣や魚など利用したい場合は管理棟の調理場まで持ってくれば職人が捌いてくれる。ただ人数に限りがあるため先着順に引き受ける。順番の変更、割り込みなどは認められない。

・森林内への入場を許可する。ただ立ち入り禁止区域には結界が張ってあるため、近付かないよう注意。

・森林内の各所に、宝箱が眠っている。宝箱の中身はランダムであり、食材の時もあれば魔物の時もある。

・事前に持ち込んだ食材などを利用した場合大幅な減点となる。

・調味料、調理器具は調理場にあるものなら使って良い。

・調理を開始するにはチーム全員揃っている必要があり、開始すれば何処かに移動する事は出来ない。調理終了、採点後に各々食事する事となる。





「…面倒だな」

「まったくだ」


アインルーガの呟きにレオニダスが同意する。自給自足しろとの事だが、貴族の方々には中々厳しいだろう。


「5年生になって、急に難易度が上がりましたわね」

「ええ…今までの林間学習では衣食住は保証されていましたし」

「貴族だけのグループとか料理出来ない奴らだけのグループとか確実にあるだろ。そいつらに食べさせない気なのか?」

「….多分、そこの対応も含めての【林間学習】なんだろうな」


アインルーガ様の言葉に、ああと納得する。


「チーム全員とは言っていますが、チームとチームの協力には特に触れてませんものね」

「料理が得意な人がいるチームに別に作って貰うように頼む…、代わりにメリットの提供などの交渉もする、という事ですわね」

「…脅しとかにも発展しそうだ」

「それこそあの先生の事だ。相応のペナルティはつけるんじゃないか?」


確かに、リンドウ先生やレイサ先生がその辺りを考えていないとは思えない。時計端末を使ってモニタリングも行うとの事だったし、不正や脅しなどは愚策と言えそうだ。





「というか確認だけど、全員料理経験は?俺は一応魚くらいなら捌けるけど」

「あら、意外」

「貴族様と違ってこっちは平民だからな」


フン、と馬鹿にしたように笑うレオニダスに笑顔もひきつるが、平常心平常心と頭の中で唱えて落ち着かせる。


「私は多少の料理経験はあります。大抵の切る、焼く、煮るくらいは出来ますけど…」


というかこれは調理実習だよなあ、と思う。現代で行う授業の一環で、クラスメイトと協力して作った思い出が蘇る。


「あら、そうなんですね…?私は全然で…包丁を握った事もなくて…」

「…私もだ」

「貴族様はそっちのが当たり前だろ。この女の方が珍妙だ」

「うふふふふ、良い事な筈だけど、馬鹿にされてる気がするのは何故かしら?」


レオニダスとの関係は私が悪いのかもしれない……というか発端は私なのだけど、その後の状況悪化は絶対この男のせいだと思う。

私も流せればいいのだろうが、やはり馬鹿にされれば腹も立つ。

メイルーンのプライドの高さがもしかしたら残ってるのかもしれない。何度も様々な科目で負けているため、負けず嫌いに火がついたのも良くない。




でも私は、ゲームで得た彼の弱味を知っている。それを思い返し内心笑っているから、レオニダスもそれとなく感じて色々言ってくるのかもしれない。

……あれっそれじゃあ私のせいなのでは?






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