【3】
「身長と体重を測る人は保健室よ、前の人が出たら1人ずつ入室してねー」
「聴覚検査と視力検査は視聴覚室ですからね。お静かにお願いします」
「体力測定は体育館だからな、まずは準備運動ちゃんとしとけよ。空いてる測定の所から埋めてけ」
正直、ファンタジー世界とは思えないほど日本の身体検査っぽい。普通に機械を使ってだし…元々ゲームだから、そこまで作り込んでいない所なのかもしれないけれど。
というか、比較するために身体検査用のカードに前年度の数値が書かれているはずなんだけど…そういえばメイルーンは去年、汗を流す事を嫌がって仮病を使い逃げた気がする。
「思い返せば思い返すほど、好き勝手してたなあ、メイルーン…というか私…」
苦々しく思うが、それを許していた学園もどうかと思う。今日は5年生全体の身体・魔法検査の日のようで、同年代達が運動服で歩き回っていて中々賑やかだ。
先程から元取り巻き達が共に回ろうというのを躱して1人で回っている。それというのも、1人でも連れて回れば私も私もと芋づる式に増えて行く事が想像出来るからだ。元取り巻き達が集まれば、ロンギヌスの近くにいる令嬢達への嫌味が止まらないだろうから。
「えーっと…身体検査は終わり…って事は、グラウンドで魔法検査だね」
グラウンドでは既に人だかりが出来ており、何だろうと覗き込むと終わった人々が魔法を見るために集まっているようだった。
確かに、魔法の強さや属性を見る事は勉強になるし、情報にもなる。
受付へと進んで先生へと検査カードを預ける。
「お、メイルーン。今年はちゃんと検査受けてるんだな、感心感心」
「ふふ、当然ですよ」
「最初は適性診断だな、ちょっと待ってろ」
担任の先生だったので、ちょっと気安い感じだ。…前のメイルーンだったら、反発してただろうなあ。
適性診断とは、自分が持つ魔力はどの属性が得意か診断するものだ。
属性は地水火風の四大属性、そして光闇無の三属性、計7つの属性がある。
適性が複数あれば、得意な魔法が増える。
適性、という形なので、適性がない魔法が使えない訳ではない。詠唱が長くなったり、威力が弱くなったりとデメリットもあるけど。
それに7つの属性と言ったが派生属性、という1つの属性を極める事によって更に強力な属性に変化する場合もある。
聞いたことがある話だと、風属性を極めた者が更に荒々しく激しい魔法を使えるようになり、その後調べると適性属性が嵐、と変わったそうだ。
ドガアァァアアアンッッ!!
「!?」
「おー派手だねえ」
グラウンドを見れば、激しい火柱が上がっていた。かと思えば火柱は渦を巻き、炎の渦となって激しい熱風を浴びせてきた。
「な、なっ…誰?!」
「この規模で発動出来んのはレオニダスしかいねぇだろうなぁ」
「はあっ!?」
強力な魔法の発動、そして違う魔法への変換と安定、初等部5年生で出来ていい事ではない。しかし見れば炎の渦の近くには黒髪がいて、やはり発動したのは彼なのだろう。
レオニダスは適性診断の後の検査、魔力検査の真っ最中のようだ。魔力検査は自分が習得している最も魔力の消費する魔法を発動させ、魔力量を測る。
「なあ、聞いたか?レオニダスの奴、地水火風の4つの適性があったらしいぜ」
「マジかよ!去年は水なかっただろ!3属性でも化け物クラスなのに…」
「…!」
周りの人々の話を聞いて驚愕する。
適性属性は修練を積めば派生属性へと変化するように、無い適性を増やす事も出来る。ただそれにはとてつもない魔力量と時間が必要な筈で、噂を信じるなら1年で彼は属性を増やしたのだ。しかも彼の最善の適性は火属性であり、反属性の水属性を、だ。
ん、ちょっと待って……?
この、主人公や攻略キャラを容易く超える設定、
レオニダス?
………レオニダス・イフリート・アリヴァ!?
蒼海の奏者、ゲーム本編の隠し攻略キャラじゃないか!!




