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第5話:快進撃

『 夢のようだ…っと人はいう


  しかし その"夢"とは具現化されていないモノ


  全くたとえにならないじゃないか?って

  いつも僕は思っていた


  そう思っていたハズなんだけど

  恥ずかしながら…

  不覚にも頭によぎってしまった


  "まるで夢のような感覚だ"


  思ってからハッと我に返り

  客観的にみる自分がいる事に気がつき焦った 』 


************************************************************* 


運命の期末テストが終わり、久しぶりにのんびり休みの日を満喫していた。


明日のテスト返却を、珍しくハラハラドキドキもなく待っている。

我ながらこの静かな気持ちに驚いている。

              ・

              ・

              ・

テスト返却とテスト直しの半日。

こうして解き直しをしていても、以前のイライラがない。

素直に結果を受け止めて

素直に復習することが出来る。

教室内はまばらで、通路には期末テストの順位なんかが貼り出されたらしい。

うわぁ!とか、うおぉ!とか叫んでいるヤツがいるが、どうせ僕には関係ない話。いつものように机に向かって、ただテスト直しをしているだけだ。


そこにクラスメイトの山田が走ってやってきた。


「速人!見てこいよあるぞ!お前の名前!」

「あ?!何が?」

「今回の順位と上昇率ランキングだよ!」


今回の順位とは、もちろん運命の期末テストの総合点の順位表

上昇率ランキングとは、前回の…要するに中間テストと比較して、どのくらい順位がアップしたか。もちろん抜かした人数分が最も多い人がトップ。

まさか今まで一度も載ったことがないのに…まさか!


「え〜!マジで?どこどこ・・・うおぉ〜!ホントだ、初めてだよ〜!」


まさか!あのうわぁ!とか叫んでいるヤツが何で叫ぶんだ?ウルサイなぁ。なんて思っていたのに、僕も全く同じじゃないかぁ?!

やっぱりそういうものなんだなぁ。つい感動して叫んでいるんだなぁ。

今日は部活もないし、母さんを驚かせてやろう!


「ただぁ〜いまぁ〜♪」

「おかえり。さてはテスト良かったなぁ?!見せて見せて!」

「いやぁ、いい話と悪い話どっちから聞きたい?」


一度にいい話をして喜ばせて、後で怒られるのは嫌だから…勿体ぶらなきゃなぁ。


「はぁ?!やっぱり悪い方からじゃない?残る印象が違うし。」

「では。。数学は前回と全く同じ点数だったんだ。英語もイマイチだし。」

「はぁ〜?!あんなに自信満々だったのに!」

  

そうなんだ、自信はあったけどダメな時もある。

まずは母さん対策の作戦成功!ってところかな?

よしよし、ここでいい話をドカ〜ン!といきますかぁ。


「まぁねぇ。。。でも!!いい話もあるんだよ!理科や数学の幾何、国語も良かったし!順位に名前が載ったんだよ!上昇率ランキングにも50人抜いたんで名前が載ってたんだよ!スゴイだろ?」

「すごい!すごい!速人もいい感じに波が向いてきたねぇ〜!センパイにアドバイスしてもらった甲斐あったね。」


  

その晩、布団に入ってもしばらくは寝付けなかった。

  

決して数学や英語が悪くてじゃない。

順位にも上昇率ランクにもダブルで名前が載るなんて信じられないからだ。まさに夢のような出来事で、いまだに信じられないほどだ。  

そうだ、明日部活に行ったらセンパイにお礼を言っておかないと!

そうかぁ、あの時先輩が言っていたのはこういう事だったのかもしれないなぁ。あの時は迷路に迷い込んだような状態で逆に良かったってことは・・・いまなら、なんとなく分かる気がする。

よぉ〜し!この波もらった!

残るは3学期しかないけど、ここで一気に駆け上がり、登りつめるぞ!

  

なんだか肩の荷が下りたというか、目の前の道が霧が晴れてきて、見えてきたって感じだ。

別に勉強のコツっていうのは教えてくれなかったかもしれない。


ただ・・・各教科の問題を解く時のポイントと

『得意教科は、大事な得点源だから、とれるだけとって来い!満点狙うくらいでな!』

『苦手な教科は、足を引っ張らない程度に努力すべし!発展なんて欲張るな!

 基礎・基本の問題をいかにミスらずに、しっかり得点できるかがカギだ!』

  

そうだよなぁ。教科によってバラつきがあるということは、得意科目と苦手科目の差がハッキリしているから、結果が返ってきた時の落差に愕然として落ち込むんだからなぁ。

現実をしっかり見つめて、受け止めてから対策を練らないとダメだよなぁ。


よぉ〜し!これからまた再スタートだな!

  

  

さてと教室だと落ち着かないし、部室で宿題でもするかな。

高橋センパイがきたら報告もしたいしなぁ。

思い出したくもない中間テスト…やっぱり窮地から救ってくれた恩人だもんなぁ。


「センパイ!高橋センパイ!この間はありがとうございました!今なら、なんだか分かる気がするんです。この前スランプだった時は、そんな状態でいいって言われた訳が。」

「おぉ〜!速人も大人になったか?あぁ?で、結果はどうだったんだ?見せてみろよ。」


そうだった!肝心なの忘れてた。話さなきゃいけないことがいっぱいで順番間違えた。


「あっ、はい。結果は。。こんな感じだったんですが・・・」

「おぉ〜!!これはホントに思い切った感じで分かりやすいなぁ〜!それで自分なりに分析はしたんだろうなぁ?」

「はい。どうしてこういう結果になったか分析した結果、スピードが足りないってところに行き詰って、少しずつ頑張ってるところです。」

「よしよし。そこまで分かって出来れば、もう先は明るいぞ!頑張るのみだな!」

「それから!初めて載ったんです。今回の順位表と上昇率ランキングに!ありがとうございました。」


良かった。またいつもの勢いにつられて忘れるところだったよ。

  

  

ようやく、これから自分がどのように向っていったら良いか、ハッキリではないけれど見えてきた気がする。

やっぱり、僕は僕らしく。。。だけど、新しい僕になって歩き出さなければ。

  




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