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第21話:菫の章《卯花月》

『 ひらひら ひらひら  ふわふわ ふわふわ


それは 蝶のように 


それは 雪のように


私たちの上を 自由に 優雅に 綺麗に舞う


あなたの上にも 自由に 繊細に 爽やかに舞い降りている


いつか二人で見上げた 


あの空も あの雲も あの花びらも


いつかまた手を繋いで・・・歩きたい あなたと 』


************************************************


また、この季節がめぐってきた。桜の花が舞い。。。辺りを淡いピンク色の絨毯を敷きつめた様に一気に模様替え。



以前もお話した通り、私の小学校卒業と姉の中学卒業を待って、田舎から都会に引っ越してきました。

今までは父の転勤にあわせて転々としてきたけれど、母の願いもあってその時の引越しは移り住むって感じだった。

私の中では別に気にも留めていなかったけど、やはり中学生ともなると思春期。特に女子の仲間意識は強かった。

地元小学校からの繋がりが出来ていて、初めて「馴染めない」と感じた。

そして、新しい環境に対して恐怖感というか消極的になってしまったのもこの頃から。

そんな私をみていてか?母の母校でもあり、系列大学へ6〜7割進学しているっていうこの学校を母が強く勧めてくれた。


そして15の春に、この坂道を一所懸命に上って・・・上って・・・この高校へ入学。

さらに18の春にはこの坂の途中にある系列の大学へ。


敷地は広く、緑に囲まれていて過ごしやすい。

周りも見知った顔も多いので、いつもなら下を向いて歩いていた私も、ここでなら安心して過ごせそうって思った。

ただ、恵はライターとしての夢を叶える為に別の私大に進んだので、高校入学から色々相談にのってもらったりして、私にとって初めて親友と呼べる友人だっただけに本音を言えば少し寂しい。


    ―――――――――――――――――


ほどなくして私の大学生活はスタートし、一緒に留学した仲間たちとは今でも仲良くしています。

初めのうちはライバル心や自分の事で精一杯で周りを見る余裕なんてなかった。だけど同じ環境下にいる仲間意識とでもいうのでしょうか?色々助け合いながら教えあいながら過ごしてきた。。。同志って感じです。


彼とは学校生活がなじむまではお互い忙しく時間も合わないので、メールでのやり取り。

内容は大したことではないのだけれど、日記をつけるように彼へのメールを送っていました。もちろん彼の方も一日の出来事を日記のように綴って送ってくれました。

初日は。。。彼からメールが届いたので、嬉しくなって直ぐに返信を送ってしまいました。



『菫、僕は大丈夫だよ。


この様子だと、これからの大学生活もなんとか楽しく過ごせそうだ。


キミの方はどうだい?


系列の大学に進んだから、友達もたくさんいるだろう?


そんなに日にちが経っていないのに、懐かしく感じるよ…


また、たくさん話をしよう キミの笑顔のもとで』



『。。この様子とは?どんな風なの?


・・・もしかしてカワイイ子でも見つけた?


私の方は友達はたくさんではないけれど、見知った顔ぶれがチラホラいるので大丈夫です。


だって、留学している時は周り中が知らない人・言葉が上手く伝わらない人ばかりだったから、それに比べれば全然大したことじゃないわぁ。


私も速人に話したいことが、たくさんたくさんあります。その日まで。。。』



その後も徐々に楽しくなっていき、充実した大学生活を送ることが出来た。もちろん勉強も頑張ってたo(^-^)oちゃんと。



今になっても確信できるのは・・・私の中での転機はやはり彼との出会い。

今までの私だったらきっとこんな風には言ってないだろうなぁ。って思う時がしばしばある。

第一彼と出会っていなかったら、彼の構想を聞いていなかったら、絶対に生徒会長になんて立候補してなかった。

それまでの私と出会ってからの私では180度違うといってもおかしくないと言い切れる。


静かな炎をいつも心の奥に灯しているようで、計画的に物事を進めていき…常に自分だけのビジョンを持っている。

たとえ周りがどうであれ…自分自身の持論を追求して、初めのビジョンを確実なものへと変えてゆく。


となりで見ていたり、一緒に活動することで、その先を一緒に見てみたい気になった。

自分にも何かが出来るのではないかな?なんて思ってしまうくらいで…だから生徒会長にも立候補したし、留学することも決断出来た。

前向きに、積極的な私に変われたのは、すべて彼のおかげだと思っている。

帰国して、自分自身少し成長したかな?これで少しは彼に近づけたかな?なんて思ったくらい。



そして、春も終わりに近づき、そろそろ衣替えを意識しだした頃のある朝、目が覚めた私はなんかソワソワとしていた。

「何なんだろう・・・この感じ。なんでなんだろう。」

こういう感じを胸騒ぎとでもいうのかなぁ。

心当たりは全くないし…母に隠し事でもあったかな?それもないし。。。

ない頭をひねっても出てくるのはレポートの事。


そっかぁ。。あったわ、レポートが完成していないからだわぁ、きっと。

今週末に提出なのに、一応出来てるんだけど、どうもまとまらないっていうかしっくりこない部分があって完璧さに欠けてる。

今日は少し早く行って学校で頑張るかぁ。


とりあえずメールチェックして…

ご飯もしっかり食べた。

あとは身支度したら出発だわぁ。


気分がイマイチな日は周りからテンション上げなきゃ!

先週末、恵と久しぶりに逢ってショッピングした時に買ったワンピース。

ここ最近で一番のお気に入りだったりする。

街は衣更えで半袖率が高くなってきたけど…至る所でエアコンが効いているから、この七分袖でちょうどいい。

色もアップルグリーンに白い模様がランダムにあって。

今日はヘアも珍しく一回で決まったしイイ感じ♪

とりあえず外側からテンション上げた分、気分良く駅までの道を急いだ。


っとそこまでは普通の朝だった。


駅に向かう人たちの中には、もう半袖の人がいるくらい蒸し暑い。

でも、お気に入りのワンピースを着て軽やかに歩いてゆくと、真っ直ぐ眼に入ってきたのは・・・

ビシッとスーツ姿の速人。表情も緊張しているのか?視線が痛いほどに刺さってくる。

それでも私は真っ直ぐ歩き続けた、彼を見つめながら。

その間も私の方をじっと眼を凝らしながら真っ直ぐ立っている。

ロータリーの端にある外灯に少しもたれながら、顔と視線だけはしっかりと私の姿をとらえて離さない。っといわんばかりに。

しばらくすると・・・こちらに向かって歩いてくるし!!

なんかいつもと違ってカッコ良すぎる。だけどこれはナイショ。

だって、そう見せたくての演出なんだって事くらい分かるから。


「おはよう。。そして、おめでとう。」

目の前で立ち止まると、周りの視線なんか無視してサラッと言って優しく微笑む、彼。

私は彼が立ち止まるよりも少し前に足が止まってしまった。っというか動けなくなってしまったと言った方がいいかもしれない。


「あっ。おっおはよう。。。え?おめでとう?」

全然頭は回らずにただ口先だけで挨拶した感じになっちゃっているはず。

だって、足が動かなくなっただけじゃなくて、全身動かなくなってしまったから。

しかも朝から「おめでとう」って何なんだろう。何かあったっけ?私。


「アレ?俺、間違えたかな?・・・今日、菫の誕生日だったろ?19歳、おめでとう。」

今度は彼が慌てて何かを差し出した。それは小さな小さな綺麗なペーパーバッグだった。

私自身、今度提出するレポートの事で頭が一杯の毎日だったから、今日が自分の誕生日だったことすら忘れていた。


「あっ!そうだった。。あっありがとう。」

ワザとじゃなく、本当に忘れていたんだけど・・・とりあえずお礼を言わなきゃ!って感じで返事をした。


「良かったぁ。間違えてなくって。今日最初におめでとうを言いたくてさ。メールとかじゃなく、ちゃんと目の前にして俺の言葉で言いたかったから。」

それはそれは間抜けな私・・・ロマンチックのかけらもない感じの自分の返事に恥ずかしくなった。

彼からのプレゼントをそっと覗き込んだらジュエリーボックスが入っていた。

まさか!まさか!の連続でまだ夢の中なんじゃないのか?と疑ったくらい。

急な展開に頭の中がぐるぐるしてたら、彼が話しかけてくれたのに呆然としちゃってた。


「学校だろ?とにかく歩いて電車に乗らなきゃな。」

そう言ってくれたのに、私の手をとってくれるまで気が付かないくらいだった。


「うん。だけど、ゆっくりで大丈夫だよ。今度提出のレポートを早めに行って書いていようと思っていただけだから。。って言っても速人も学校だよね。」

何言ってるんだろう。別にレポートの事なんて言わなくてもいいのに…

しかもなんでこんなにドキドキしているんだろう。手を繋ぐのなんて初めてじゃないのに。

ホント…まるであの雪の日みたいにドキドキが止まらない。


「今日は特別だ。代返頼んでおいたから大丈夫。ゆっくり出来そうなら、お茶でも飲んでいくか?」

強引さはなく、優しくエスコートする様に私を駅へと連れて行ってくれる。小さな街の小さな駅が、さながら素敵な洋館に見えてしまうような…。


それから2つ先の大きな乗換え駅で降りて、新しく出来たオープンカフェのある可愛らしい喫茶店に入った。

明るい窓際の席で、彼はエスプレッソ。私はカプチーノを頼んだ。

久しぶりにゆっくりたっぷり話をした。

新しい学校生活、新しい友達、少し前に恵と逢ってショッピングした事…たいした話じゃないけど、一つ一つ頷きながら聞いてくれて、自分でも分からないけど止まらないくらい話してた。


一気に話してノドはカラカラ。一息つくと私の身体中がまたドキドキし始めた。

そんな私を気付いてか…彼は半分ほど残ったエスプレッソを一気に飲み干すと緊張しながら…でもしっかりと優しく丁寧に話をはじめた。


プレゼントはシルバーのリングだという事。

どうしてこれを選んだかというと、速人のお母さんが「女の子は19歳の誕生日にシルバーのジュエリーをもらうと幸せになれるんだって♪」

って話していたのを聞いて、夕べ3つくらいお店を回って決めた事。

もちろん一人で行ったから恥ずかしかったとか…彼のイメージを崩すような可愛い話も聞けた。

しかも、先日恵からのメールで一緒に食事をしたりショッピングに出かけたのは、速人からの依頼を受けての事だったことまで発覚!

正直驚いた。。。けど、改めて考えると”緻密な計画””段取り””行動派”の彼なら頷けるかも。


「どうして今日はスーツなの?」

本音も聞けたことだし、彼の可愛い一面という意外な所も分かったし、楽しい空気になってやっとドキドキも落ち着いてきた頃に、勢いあまって聞いてみた。

もちろんカッコ良すぎて見惚れてしまった事はまだナイショだけど。


「自分自身に気合を入れるためにキチッとした服装が良かったから。」

なるほどねぇ。なんとなく分からないでもない。

今まで何度となく彼の色々な場面に立ち会わせてもらったけど、制服のボタンをキチンと閉めて戦場に向かうべく眼差しでステージなりに向かっていっていたからだ。


そろそろ恋に恋する年頃は卒業かな?なんて思っていたけれど、まだまだ彼に恋してドキドキしていたいなぁ。。。なんてリングを右手にはめながら考えていた。


これで菫の章は終わりになります。

すみれちゃん視線のお話は、楽しんでいただけたでしょうか?

まだまだ稚拙な文章で読みにくいかとは思いますが、あともう少しお付き合い願えたら嬉しく思います。


そして、いよいよ速人の夢が実現する日を迎えるまであと少し。。。なので。


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