第15話:菫の章《霞初月》
勢いづいたのでしょうか?菫ちゃんバージョン第2弾となります。
『霞初月は新年を迎えた月で気持ち新たにすがすがしい季節
母は 昔の…若い頃の話をよくしてくれた
どんな俳優が好きだったとか
どんなファッションが流行っていて
雑誌を真似て 色々楽しんだとか
もちろん……どんな恋をしていたかも
どこまでホントか分からないほどドラマチックな恋物語だったかを少女のような瞳で語る
私もいつかそんな風に
自分の娘に話せるのだろうか?もし仮に私が男の子だったとしても
母は話してくれたかしら?
もし仮に私の子供が男の子だったら
私は話せるかしら? 』
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最近、恵に質問というか、"変わった"っと言われ続けている。
「なんとなく、可愛くなったけど、何か始めた?」とか
「作品の雰囲気が明るくなって、イイ感じになってきたけど、何かあった?」とか
「よく笑うようになったねぇ。イイことあった?もしかして、彼氏ができたとか?」なんてところまで聞いてくる。
確かに自分でも"あの時"から変わった気がする。
前向きになったというか……気分が軽くなったっていうか……
何をするにも楽しんでできる気がする。
そう、あの時とは…生徒会の書類を放送部に届けた時の事。
彼はどんな風に感じたかしら?
まぁ、恐らくただの生徒会から来た女子っとしか見てないと思うけどねぇ。
もしかしたら、もう顔も忘れているかもしれない。
そう思うと寂しい気もするけど…私にとって衝撃的な時だったのは変わらない。
私にとって宝物のような時間なのは変わらない。
だからいいの……彼が覚えてくれてなくても。。。
また一緒に行事の仕事が出来るだけで、私はとっても嬉しいから。
今回の文書の件では、色んな事が分かっただけでも収穫だわぁ。
昔かららしいけど、犬猿の仲の『放送部VS生徒会』その事自体はショックだったし、普段は別々の仕事だけど、イベントや行事では一緒に仕事をすることが多い。。だから、恵に誘われて生徒会に入ったのは、今までからしたら一歩も二歩も前進したって感じ。
これからも時々は話すチャンスがあるかもしれないわけだし…他の情報もゲットできるかもしれない。
そうそう、生徒会に入ってから知ったのは、彼は中学から上がってきた内進生…だという事。
中学時代から放送部では抜きん出て活躍していたらしい。
だから高校から入ってきた私なんか名前どころか顔も知らないハズ。。
あんなこんなで浮かれているうちに冬休みに入っていて、冬期講習と文学部の毎日。
今まで体育の時間や移動教室とかチェックしていたから、短いとはいえ冬休みはツマラナイ。。。
早く新学期が始まればいいのに!!っと密かに思っていた。
すると生徒会の新学期に向けての会議が、あと数日で新学期っていうくらいに召集がかかった。
なんとそこで重大な…びっくりニュースが発表された……!!!
なんと犬猿の仲なのに、新年早々、色んな移動教室で使う部屋がある建物が建て替えになるので、生徒会室の隣に放送部が引っ越してくるっという事らしい。
船橋生徒会長はとっても残念そうにどんよりと話していた。
メンバーからは大ブーイングの嵐。
「来年度の進級が関わる3学期なのに…揉め事に巻き込まれるのは勘弁して欲しい。」っというのがメンバー大半の意見らしい。
中には別に直接コワさを体験していない人などは、嫌がりもせず傍観者的だった。私もそんな風を装っていたけども……内心はバンザ〜イ\(^O^)/っと飛び跳ねていたわぁ。
その会議の後、船橋生徒会長から予餞会を初めとする、いくつかの資料を見せてもらった。
私は更に新学期が待ち遠しくなり有頂天になっていたかもしれない。
その直後に大失敗をしてしまった。
船橋生徒会長と職員室に向かう途中で、話しながら階段を降りてゆき、誰かが逆に下から上がってくるのは分かっていた。
だけど…まさか彼だとは気付かず…っていうか気付いたのはすれ違う瞬間だった。確かにチラッと彼は横目でこちらを見た。
しかも私が今までに見た事のない冷たい瞳をしていた。
初めて彼をコワいと感じた瞬間でもある。。。
「資料見たくらいじゃ覚えきれないだろ?何でも教えてあげるから、俺に聞いてよ。すみれちゃん。」
「ありがとうございます!じゃあ、お言葉に甘えて…たくさん聞いちゃおうかなぁ?」
こんなおバカ発言している時にすれ違うなんて!!!最悪最低!自己嫌悪で天国から地獄へ急展開の瞬間で、今でも泣き出したくなるほど思い出したくない過去だわ。
絶対に……望みは消えた。絶望的だわ!
今まであの時を覚えていてくれたとしても、完全に今ので削除されたわぁ。っと思った。
みんなが言うコワさってなんとなく分かる気がした。
その日は家に帰ってから泣いた。
翌日が学校でなくて良かったって思ったくらいに目の周りが醜く腫れ上がって、一日中部屋に閉じ込もっていた。
いかがでしたでしょうか?感想などありましたら、よろしくお願いします。ありがとうございました。