第13話:懐かしい仲間
なかなかまとまった時間がとれず、ちょっとずつ書きためて…たどり着きました。いよいよ速人も大学生になりました。夢まであとわずかです。
『いつも僕は前を向いて歩く
6年前も同じように
晴れやかな気持ち と 慣れない制服
そしてしっかり前を向いて歩いていた
これからも 後ろは振り向かず 歩いて生きて行こう』
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また、春がやって来た。
新しい環境に慣れないながらも毎日を過ごすのは新鮮で嫌いじゃない。
6年前はまだ小さかった僕、背丈は大きいとは言えない母さんとちょうど同じくらいだった。
今では、その母さんより30cmほど高い父さんと同じくらいか?更にデカく成長したか?っていうほどになった僕。
そう6年前は母さんが入学式について来てくれて、盛大なお祭りのような入学式に感動して泣いていたっけ…
さすがにこんなデカくなって恥ずかしいから辞めてくれ!っと言ったが、きっと後から登場するのは分かっている。
今日はどうやら父さんも来る気配を感じた。
なぜなら、しきりに僕の服装チェックをしてきた。
普段は髪型や服装の乱れをチェックする程度だからだ。
僕の中では、父さんはカッコイイ歳のとりかたをしていると尊敬している。
もちろん、嫌な面だってある。
だけど、高校時代に母さんに『最近、良いとこも嫌なとこも速人は父さんそっくりになってきたわねぇ。』っと言われ始めてから…妙に意識して仕草なんかをチェックしてしまうんだ。
しかし、母さん迷子(?)にならなきゃいいが?心配だ。。。
まぁ子供じゃないからなんとかするだろう。
父さんも一緒ならまぁ大丈夫だろう。っと言いたいところだが、都会に電車で出ると地図オタクのはずが、からっきしダメで方向音痴になるんだよなぁ。
大人二人だ!なんとかするだろう……
広いキャンパスを講堂に向かってゆっくり歩いてゆく。昔、友達と来た。学部は違うが、公開体験講座に申し込み、男ばかり3人で来たんだったなぁ。そして、7年後はココで再会しよう!!って約束したんだ。
あの時は、なんの根拠もなく今の歳をイメージしていたが、色んな事を頑張ったり乗り越えたりした今は、あの頃イメージ出来なかったとても大事なものがある。それは内面的な今の僕だ。とても晴れやかな気持ちと自信・充実感が身体中をいっぱいに満たしている。
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とりあえず、厳かに式も終わり…サークルPRの行列だ。
まぁ焦る事はない、ゆっくりココでの生活に慣れてゆこう。僕のなりたい夢に更に一歩近づいたわけだから…ゆっくりと、しっかりと……っと自分自身に浸っていると、思いっきり頭を叩かれた。っと同時に勢いある元気なっというより…ウルサイ声を浴びせかけられた。
「よぉ〜。速人だよな!
やっぱり速人だよ。久しぶりだなぁ〜。
初めは分からなくて素通りするところだったよ。
また会えて良かったぁ嬉しいぜ〜!」
「……え?っあ!!達也か?」
本当に申し訳ないが全然分からなかった。ただ…日に焼けた肌、細身のスーツ。ツンツン立てた髪型と早口でしゃべる話しぶりや目元などから突然思い出した!っていう感じだった。
達也は学校は一度も同じになっておらず、小学生時代の塾仲間だった。
他には直樹っていうヤツもいて、3人でつるんで騒いだり、勉強を教えあったりしてた仲間だ。
「え?達也か?って疑問符つきはないだろうよぉ!忘れたっていうのかよぉ!!
散々苦楽を共にした仲じゃないかぁ〜!」
懐かしい気持ちも沸き上がってくるが、やかましかったのと…シカトしても確実についてくるって分かっていたので、僕はただ黙って目をつぶり歩き出した。
「おいおい。今度はシカトかよぉ!直樹もそろそろこの辺りに来るはずだから、待てよ〜!」
僕はピタッと足を止めて目を開けた。
そして、ついつい興奮気味になって捲し立てるように話してしまった。
「直樹もホントにココなのか?!
お前ら連絡とってたのか?
っていうかなんでこの辺りに来るって分かるんだよ!」
「ようやく口を開いたかぁ(^O^)
なぜってこの先に史学科があるからさっ!
速人は必ずいる!!だからこの辺りで待ち合わせっていうか待ち伏せしよう!って事だったのさ!……おぉ噂をすればなんとやら〜♪」
どうやら僕の後ろから来ているらしく、達也が少し頭を右に傾け遠くを覗いた。
つられて僕は後ろを振り向いた。
相変わらず坊っちゃん育ちの直樹が、爽やかなアーガイルのベストにベージュのジャケットのいかにも坊っちゃんスタイルでヘナヘナと走ってきた。
「達也ぁ〜!いたいたぁ…やっと見つけたよぉ二人ともぉ…ハァ…ハァ…」
「お前、直樹か?デカくなったなぁ!6年の月日はやっぱり長いなぁ。懐かしいや。」
「おいおい!俺の時とは全然リアクション違い過ぎるしぃ!!なんでだよぉ。」
久しぶりの顔ぶれが揃って、新しい場所で不思議なカタチの友情を携えてスタートしようとしている。
コイツらには何でも話せる。気兼なく付き合えて、ラクでいい。
長い間接点がなかったからって、コイツらなら直ぐに埋められる。
多少の食い違いが出て来ても、大丈夫。
っていうか、違う環境下で6年間も生活してきたんだ、多少の意見や感覚の違いは仕方ない。
『菫、僕は大丈夫だよ。
この様子だと、これからの大学生活もなんとか楽しく過ごせそうだ。
キミの方はどうだい?
系列の大学に進んだから、友達もたくさんいるだろう?
そんなに日にちが経っていないのに、懐かしく感じるよ…
また、たくさん話をしよう キミの笑顔のもとで』
心地よい風向きを感じながら、新しい場所・新しい生活・懐かしい仲間…とても好奇心をかきたてられるのが、背中からビンビンと感じている。
ただ、となりにキミだけがいない。。。
自分自身で選んだ事なのに………
はぁ。またちょっとずつ書きためていくと思うので、次回が計れませんが、頑張ります。よろしければ感想など聞かせてください。書くパワーになりますので…ここまで読んでいただき、ありがとうございました。