第12話:キミへの手紙
なぜか私もドキドキしちゃっていたりします。
『この空をあなたも見ていますか?
あなたには何色に見えていますか?
あなたの今は 朝ですか? 昼ですか? 夜ですか?
あなたの空は 晴れですか? 雨ですか? 曇りですか?
返事の見えない疑問は 次から次へと湧いては消えて・・・ 消えては湧いて・・・
また今夜も目を閉じて あなたに逢いにゆきます 明日も明後日も 』
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「OK、じゃぁもう一つ先に進むよ。菫は僕の事が好きかい?」
僕自身の中でも驚いたが、もっと気の利いた言葉で話すつもりだったんだが……あまりにもストレート過ぎたなぁ。っと反省しつつ、まぁこれが"僕"だから仕方ないかぁ。っと自分勝手に納得してみたりする。
そんな僕の前では、彼女の目がパチパチして…みるみる頬を赤らめていって…唇が小さくパクパクして、まるで小さな金魚のようだ。
「ごめんごめん。だけど、これも菫の謎解きの大切なキーポイントなんだよ。」
一応謝ってみるが…そんな動揺する仕草が、内心は微笑ましくもあり愛しくもあり、悪いなんてみじんも感じてなかったりする。
でも、自己分析する限り"怪しいオヤジ"みたいでヤバくないか?微妙に。。
「そっ、そうなの?……すっ好きだけどぉ、、、だい・き・よぉ。。。」
勢いよく聞いてきたものの、初めの勢いはどこへやら…だんだん小さい声になっていってしまっていた。
「はい。よく出来ました(^-^) では、次は…来週からミッションを開始しよう!
まずは生徒総会で、一気に知らしめるカタチで【生徒会&放送部】を統合させる。」
「ちょっ、ちょっと待って!?それとさっきのキーポイントは何の関係があるの!!!」
「あるんだなぁ。僕たちの知恵と勇気と愛が、この学校の歴史を変えるパワーになるんだよ(^_-)-☆」
いつも理詰めでいく僕にしては、かなり…いや、充分苦しいっというかキザな展開になってしまったが善しとしよう!
「そんなぁ〜!それだけじゃ足りないよぉ〜!みんなの愛でしょ?」
「うっうん、まぁそうなるかな?……っで、生徒総会で承認されたら、組織内の部門を整理したり色々動かなきゃならない。そして、その動きがまとまる頃に菫の選抜テストがあるはずだよね。そっちの方は頑張るんだよ!確固たる結果を出して、お母さんに実証するためにもね。。。とこの辺まで謎解きをしたら、自分で難問も解けてきそうだろ?」
「うん。だけど、肝心の答えが出せないよぉ。速人の心が見えないもん!!私のストーリーばかりを組み立ててくれても、速人と別々の土地でいなきゃならない悲しみの問題は解決できないよ!」
僕自身、話したかった事も・・彼女の気持ちの整理もついただろうって事も・・解決して良かったと感じた瞬間の爆弾発言というか大胆発言に驚いた。いやぁ僕もストレートだけど、まさかキミもそんなにストレートとは思わなかった。今日最大の予測不能な大展開だな。
うっすら宵が迫ってきている空を背に、ためらいの微塵も感じさせずに僕の目をしっかりと真っ直ぐ見つめている彼女。
「OK.後者に対しての解決策は初めにヒントを言ったろ?いつでもつながれる。大丈夫、大丈夫さ。長い人生そういう時間も、神様が与えてくれた大切なプレゼントと思えば乗り越えられると思うよ。第一、今の菫は若い。人生の中で一番キレイな時期なんだ。だから、もっと羽ばたいて世界を見ておいで。。下手をすると僕は化石となって、キミに探してもらえなくなってしまうかもしれないよ。」
「そんなことないよ!!もし化石になっても、絶対に掘って掘って掘り返して速人を見つけてみせるわ!!」
「分かった。分かったよ、ありがとう。ぜひそうしておくれ。それから、さっきの前者の質問だけど・・・僕の中では、去年の冬に初めて菫が部室に来た時から、何一つ変わっていないよ。大好きだし・・大切だし・・愛しいと思っている。だから心配しないで、向いたい将来へ行きたい道へ真っ直ぐ進みなさい。僕が出せる力を出し切ってでもバックアップはするからね。」
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そして、この学校の歴史を変える奇跡を起こして・・・キミは夢の扉を開く鍵を手に入れた。
『キミと初めて会った季節がまたやって来る。
だけど、それを待たずにキミは扉を開ける。いとも容易く…身軽に…そう、野原へ散歩にでも行くように。。
いつも帰り際、胸の辺りで小さく左手をふる…あの仕草、もうしばらくお預けってことかぁ。
寂しいのはキミばかりじゃないんだよ。口に出したら自分自身がどうなるか怖かった。キミを困らせてしまうし、壊してしまうかもしれないから。。。これで良かったんだ。
やはりちょっと意地悪な神様からの贈り物なのかもしれないね。有り難く頂いて、神様を見返してやろうじゃないか。
意地悪な神様と僕達とどちらが我慢強いか。
キミがこれを読んでいるということは、気持ちを揺るがす何かが起こったか…日本が恋しくなったっていう事だね。
いつでも連絡してくれていいよ。。僕はいつでも傍にいるから。 速人』
この後、彼女が校舎に姿を表すのは、更に一年と数ヶ月後の―運命的な出会いのきっかけとなるあの日から2年以上の―予餞会とそして、卒業式。だけになる…
代わって…速人の方は、二人で奇跡を起こした【生徒運営議会】の活動を全体的にフォローする立場に徹し、後輩指導にまわった。
それ以外の時間は、―あの時―以前と全く変わらない生活に戻った。そう、氷の速人に。。。どうやら中身はまだまだ年相応なのか?元来自身の事においては要領の悪い性格なのでしょうか?不器用な生き方しか出来ない人間なのでしょう。
そうそう、手紙は……つらくなったり、困った事が起こったり、悩んだりしたら開けるように。っと手渡されたのに!!!菫は、飛行機の中で開いてしまう!
しかし、その後帰国するまでの1年間、手紙がボロボロになるほど見返されて、大事なお守りになって、彼女の支えとなっていた。何故かお互いに連絡は一切しなかった。彼女が帰国する頃は、速人にとっても進学先の大学が決まる頃…苦しい時には相手もきっと辛いのだろう。。と思ってのことかもしれませんねぇ。
一気に書きまくりました。頭の中で勝手に速人と菫ちゃんが発言してくれてて……って感じで。