スクランブル
if童話参加したかった!!!!!!!!!!!!!!
スクランブル
ここは童話に出てくる登場人物が童話での活躍を記憶したままの状態で学校生活を送るスクランブル学院。ここでは毎日たくさんの事件が起きている。
灰を撒き散らす校長が通った後には蕾だった桜があっという間に咲き誇り、春風に花びらを泳がせる。そう、ここはスクランブル学院。数多くの問題児を抱え込む学校だ。偏差値はけして高くない。
本日、本校は入学式というめでたい日を迎えていた。
「きったない服ねーw入学式なのにもっときれいな格好で来ないと駄目じゃないシンデレラ。ねえお姉さま。」
「まぁしょうがないじゃない。学校に通わせてもらってるだけパパとママに感謝してもらわないとね。」
罵声を浴びせられたシンデレラは悔しそうに唇を噛むことしかできない。
「あんま大きな声でいじめてると誰かにちくられるわよ。ほどほどにしときなよ。それより帰りにカラオケ行こうよ。どうせ午前中で終わるんだしさ。」
「いいねえアリスちゃん。また、いろんな王子様たちも誘おうよ。ユッキーも呼べばたぶん大抵の王子連中はついて来るわよ。」
「でもユッキーの周りにいる7人のチビがうざいのよねー。誰か毒りんご持ってないの?w」
「いやそれ禁句だからw」
ゲラゲラと品のない笑い声をあげ3人は教室から出て行く。そんな中、シンデレラに声をかける者がいた。
「大丈夫かい?よかったら学校が終わったら僕たちと遊びに行かないかい?あ、きびだんごもあるよ。」
それは犬とサルと雉を連れたちょんまげだった。
「おいモモ!抜け駆けする気かよ。俺もつれてけよ。」
亀に乗ったちょんまげが会話に加わる。
「じゃあ僕も一緒に行きたいな。午後から暇だし。」
鉞かついだおかっぱも加わった。
「あの、ごめんなさい。ちょんまげはちょっと・・・」
勝ち誇った顔でおかっぱが一歩シンデレラに近づくと。
「あと裸エプロンみたいなそこの赤い人もそれ以上近づかないでもらえますか?それに午後は用事があるのでごめんなさい。」
辛らつな言葉が教室に響く。
「「「あ、はい。すみませんでした。」」」
三人は肩を落とし自分たちの席へと戻っていった。
「だからいったじゃん。外人だし俺たちじゃ絶対無理だって。」
「それでも、それでも俺は女の子と遊びたいんだよ!竜宮城でちやほやされたお前と違って俺の周りには動物と鬼ばっかなんだよ!」
「僕なんて熊と相撲とってばっかだよ・・・」
「ざっけんな!オメーら二人ともハッピーエンドだろうが!表出ろや!喧嘩だ。喧嘩。腕っ節ではっきりさせようや!」
「上等だよ!剣使っていんだよな?」
「「いい訳ねえだろ!」」
「あほらしい。」
シンデレラのため息の様なツッコで三太郎の寸劇は幕を下ろした。
そのころ校舎の裏にある飼育小屋では鳥たちの自慢大会が起きていた。
「アタシは機織できるけどアタシみたいに何か特技があるやつはいないのかい?」
「アンタすごいな。同じ鶴とは思えないや。俺なんか狐に意地悪されて仕返しに同じように意地悪していい気になってたけどそんなことしてないでもっと自分を磨かないと駄目だよな。」
「そーよ。動物だからってそこに胡坐かいて餌待ってたら生き抜けないわよ。この時代手に職つけないとだめよ。そこのアンタはなにか特技ないの?」
「いや、今の俺には何もないんだ。でも卒業して大人になれば俺は本来の輝きを取り戻すのさ。そう、それは決定事項なのさ。」
小さく醜いひな鳥が自信満々にそう答える。
「今度いい病院紹介するから一度診てもらうといいわ。」
「皆そうやって馬鹿にしてればいい。最後に笑うのはこの僕。そう、これは決定事項なのさ。」
もはや誰も相手をしなくなっていた。
「アンタはどうだい?」
「私?私も特にはないかな。強いて言うなら逃げ足かな。昔から人間に見つかると必ず追い回されてたのよね。私が幸せを呼ぶって噂が広まってるらしくてさ。いい迷惑だわ。」
「大変なのね。でもこうして捕まってるからこの学校にはいいことが訪れるんでしょうね。それにしてもどんなやつがアンタを捕まえたの?」
「別に捕まった訳じゃないのよ。未経験者大歓迎。そこにいるだけでお金が稼げる。三食飯付で住み込み可だったし何より募集要項が[青い鳥]だったから、これは私にしかできない仕事だわって思ってね。やっぱりやるからには自分にしかできない仕事よね。」
「「「楽したいだけじゃん!」」」
その場にいた全員がツッコまずにはいられなかった。
こうして今日もスクランブル学院の一日は終わり、明日という新たな一ページを刻もうとしている。