56 結論=終わり
「かはっ!」
急激に意識が浮上し、頭の思考回路が強制的に回転させられる。
「ソラっ!」
頭に載せられた布を下ろし、俺は顔を上げる。
しっとりとした感触を額に感じ、わざわざ濡れた布を準備してくれたんだなとスカレアに心の中で感謝を告げる。
「頭は大丈夫なの!?急に倒れて!」
「おう……ぬれタオルのおかげで今はだいぶましだ」
心の中だけの感謝というのも味気ないと思い、一応口に出す。
それだけで、スカレアの顔はパァと笑顔に変わった。
「まさかと思ったが……こんなものとはな……」
「何か分かったの?」
「おう……このダンジョンの……答えだ」
頭の中で導き出すことに成功したひとつの結論。
それは、あまりにも単純なものだった。
「ここは……ループしている」
「……どういうこと?」
「本当に単純な話だ。このダンジョンは永遠に同じ物を繰り返している。およそ……十個ぐらいのダンジョンの形だ」
今思い返せば、明らかに似ているところがあった。
壁にある模様。
地面の小さなでこぼこ。
部屋の場所などはばらばらだったが……明らかに同じようなものがあった。
「ある程度決まった形はあったんだ。完全に部屋の配置はばらばらだったが……いくつかの場所に共通点があった。たぶん……パズルのようにいくつかの通路や部屋を作っているんだ」
「でも……これまでに見たことの無かったような地形も……」
「それは違う。この階層も、水を注がれただけで……俺がこのダンジョンに入った時の配置と……ほとんど一緒だ」
俺は、壁にあった小さなかけらを取り出す。
「この欠片は……本来、俺がダンジョンに入った時にいた階層にあるはずだ」
「え……ってことは……」
「そう……この場所にくるのは……おそらく二回目か……それ以上だろう」
このヒエライの形見の小さなかけらから導き出すことができた、最後の結論。
そして……このダンジョンの……答え。
「このダンジョンは終わらない……永遠に繰り返す……終着点のないダンジョンってことだっ!」
喉の奥底から声を絞り出す。
本来なら絶望してしまいそうな結論。だが、不思議とこれで全てが解決するはずだという謎の確信があった。
終わりのないダンジョン。
なら……それに何の意味がある?
ダンジョンは、精霊が作り出した人間への試練という内容がとある本に書いてあった。
なら終わりのない、もしくは答えのない問題は、試練と言えるのだろうか。
このダンジョンの答えは……このことに気が付く事。
もし、このまま何も起こらなければ、これまでの推測は全て外れてしまう事になる。
そしたら、万策尽きる。無限のダンジョンを彷徨い続けるだけ。
地上などの夢もすべて消え去るだろう。
俺の体が……ぐらりとゆれる。
いや、魔力の大きな変動に、意識がぐらりと揺れる。
その直後……近くの空間に……一枚の大きな扉が出現した。




