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55 思考回路の直結

なんで……こんなところまで破片が飛んでいるんだ?

ナイフが割れた場所から、ここまでは少し距離が開いている。

しかも、そこにある小さな小さなかけらは、壁に綺麗にめり込んでいる。


「あ……」


喉の奥底から、かすれた声が出る。

頭の中で拾い合わせた欠片を思い浮かべて、一つ一つ組み合わせていく。

普通ならできない芸当だが、俺の技能『脳内組立』を駆使すればできないことではない……


「うっ……」

「ソラ!?大丈夫!?」


代償として、頭にかかる負荷も尋常なものではない。

普通に戦闘に使う技能と比べても、全然割りに合わないぐらいの負荷がある。


「が……」


砕けたピースの断面と、それと合うペアを合わせていく。

砕けた時にでる小さな粉もすべて組み合わせ、完全につなぎ合わせていく。

目の前にある、壁に刺さった小さな破片も頭の中にたたき込み、同じように合わせていく。


「うそ……」


完成した脳内のイメージに驚愕の意を隠しきれなくなる。

これが本当なら……これまで俺は大きな勘違いをしていたのかもしれない。

いや、勘違いでは済まされない、大きな……過ちを犯したのかもしれない。


「どうしたの?」

「そうだっ!」


かみ合わない会話を交わしながら、俺は周りのかけらを全てかき集める。

手元にあるのは、壁に刺さっている欠片以外の全て。


「『修復』」


錬金の派生技能で、壊れた物などを元通りにする事ができる技能だ。

だけど……これはいわゆる時間を巻き戻すような事を疑似的にやっているのだ。

事前の状態を事細かに把握していなければいけないし、ばらばらになった物を元に戻すにはそれ相応の代償がある。

それは……膨大な魔力と脳のキャパティシイ。

今ならぎりぎり使用できる範囲だったが、迷っている暇などなかった。


手元で欠片が魔力によって動かされ、欠片が組み合わされていく。

小さな粉になったものから、大き目の欠片までが、割れ目でぶつかり、薄い青い光を立てて割れ目が消える。


それも高速で組み上げられていき、あっという間に元のナイフになった。

朦朧とする意識と、少しずつかすんでいく視界の中で、確認できた物。

……ナイフはかけていた。


「はっ……」


小さな笑い声が出た直後……意識が手放された。


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