53 タイムリミット
「とっ!」
水を思いっきり蹴り、穴に向かってまっすぐと突き進む。
穴のサイズは残り少し。
体が入るような隙間が残っているかも疑わしい。
「くそがぁっ!」
さらに足に力を込め、まっすぐと泳ぐ。
あと……少しで穴に!
だが直後……目の前に刃が突き刺さった。
「ちっ!」
反射的に体を後ろの飛ばしてしまう。
そして……一瞬で後悔した。
穴が……閉まる!
このままだと……間に合わない!
「ソラ!」
「スカレア!戻るんじゃねぇ!」
声を張り上げて、二次被害を起こさないようにする。
やられるとしたら……俺だけでいいっ!
肩が背後から突き出された刃によって切られる。
肩周辺の水が赤くなり、じんじんとした感覚が頭にひびく。
死ぬとしても……最後まであがいてやるっ!
目の前にある刃を迂回して通り抜け、穴に向かって真っすぐと泳ぐ。
穴はすでにふさがりかけていて、今にも閉まりそうだ。
「ソラ!これを掴んでっ!」
諦めかけた心の中、一筋の声が耳をたたいた。
穴をよく見ると、スカレアが触手を近くに伸ばしていた。
ただ、俺は無我夢中にその触手を掴む。
これなら……助かるかもしれない。
後で、スカレアにお礼を言わなきゃいけないなと思いながら、体は自分で進むより早くひっぱられる。
「とぉりゃぁぁぁぁぁぁっ!」
思いっきり引っ張られた体が穴につまり、腹が圧迫される。
い……痛い。
だが……生の実感として体にひびく。
「いっけぇぇぇぇぇぇぇっ!」
穴からスポリと体が抜け、水の中にプカリと放りだされる。
「ソラっ!大丈夫!?」
「おう……何とか無事だ。」
壁は完全にふさがり、魔の雰囲気がさきほどの扉から漂っている様に感じる。
「とりあえず……他の休める場所を探すか」
「そうだね。ちょっと、疲れたの……」
体に鞭打って、道を進み始めた。
長らくお待たせしました。
なろうコン突破も受け、最新話です。




