49 斬殺
『変化』を使い、水の中でも呼吸できる様な状態にする。
特に体に変化はないが、水に浸かってもまったく息が辛くなる事は無かった。
喉に軽い違和感があることから、喉の辺りが変わったのだろうが、それを追求している時間はない。
再び『変化』を使い、手の足にひれの様な物を作り出し、水泳の要領で突き進む。
「おりゃぁっ!」
スカレアは一旦後退したところに割り込み、手のひれから出した鉤爪で思いっきり切りつける。ここは下手に技能を使わずに、物理的に倒した方が得策だと判断した結果だ。
カキンという音と共に、魔物は弾かれた様に飛んでいく。やはり、防御力も高いのか大した怪我は見えないが、一旦考える猶予はできた。
普通の単発の攻撃じゃ、ほとんど痛手を負わせる事はできないだろう。だが、連続して攻撃を加えられるような技能は水中では使えないのがほとんどだ。
電撃もスカレアがいるから使えない。正常な状態だったら避難してくれるだろうが、暴走状態では碌に話は聞かないだろう。あの状態は……敵を殲滅するまで続く。
「ならっ!」
鉤爪を変形させて、二つの大きな鋏に変える。
水中でも使えて、なお且つ継続的な攻撃が可能な武器。それは、単発ヒットの刃や金槌などではなく、両方から挟み込み続ける武器。
狙いを定めて、一気に突き出し、そして力を込めて閉じる。ガキンといつもより硬い音が響き、みしみしと軋む様な音も同時にひびく。
暴れる魚を無理やり押しとどめ、力を込めて潰そうとする。
「おりゃぁぁぁぁぁぁぁっ!」
最後と言わんばかりに力を一気に込める。
ピシリという、割れる音が響き……魔物は二つに割れた。




