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48 頼みの綱は大切な物

「くそっ!」


慌てて手に持っている魚の魔物を投げ、慌てて戦闘態勢をとる。

だが、横の通路から突然現れたからか、判断が遅れた。


「うっ!」


腕に赤い線が走るとともに、危険信号が頭に届く。

周囲の水が少しずつ赤く染まり、肺から少量の気体がコポリとこぼれる。


現れた魔物は、体が銀色で鈍く輝いている。

そして……鱗が逆立っていて、いまにも切れそうだ。


俺は『魔空間の袋』から如意剣を取り出して攻撃しようとするものの、水の中ではうまく動作ができない。剣を振る速度も上がらない。


このままだと……やられる。

その場しのぎの策として、剣を極端に短くして水の抵抗を抑える。

攻撃を主にするのではなく、進行方向上に剣を持ってきて攻撃を受け流す。

受け流すだけなら……剣を振る速度は関係ない。


カキン、カキンと魚が突撃を繰り返し、それに対して剣で受け流す。

だが……終わりが見えない。

いい加減肺が苦しくなり、手元が狂い始める。


そして……一瞬の事で判断を誤り、魔物が、俺の脇腹をかすめた。


ぴしゃりと鮮血が散り、赤い靄を発生させる。

傷は深く、治すことはできるだろうが、時間はかかりそうだ。

だが……魔物は待ってくれずに第二撃へと向かい、こんどは肩が大きく切り裂かれる。


空気が……足りない。

意識が少しずつ朦朧とし始める。


……終わりか。

体が切り裂かれる痛みも少しずつ感じなくなり、視界が暗くなっていく。


だが、途中で一つの事を思い出して思いとどまる。

……スカレアっ!


「っ!」


突然、背中にゾクリとした寒気を感じる。

力の抜けた体を無理やり動かして、地面を軽く後ろに蹴る。


直後、さっきまで自分の体があったぎりぎりの場所に一本の触手が伸びてきた。

触手は魔物に衝突して、魔物を押し倒した。


「ウっ!」


急に肩を引っ掴まれ、投げ飛ばされる。

視界に入ったのは、赤く染まったスカレアの目の残像。


「プハッ!」


膜に体が衝突して、喉に酸素が入り込む。

浮力が無くなり、代わりに重力によって体が地面に叩きつけられた。


俺は痛む首を動かして、スカレアの方に視界を向ける。

すると、スカレアは完全に暴走状態で体を変形させて魚を襲っていた。


「スカレアっ!」


あんなに無茶な動きをしたら……酸欠になる!

コポリコポリとスカレアの周囲には空気が浮いていて、このままだとすぐに窒息するはずだ。


慌てて俺は立ち上がろうとして……手の先に何かが当たる。

そこには……食いちぎられた魔物があった。


「ご丁寧に半分残してるな……」


躊躇している暇はない。

半分になった魔物を引っ掴み、食いちぎる。

直後、腹に熱がこもり、目の前に紙が現れる。


「今行くぞ!」

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