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47 新たな難関

もう、数えてもいないぐらい深い。

終わりの見えないダンジョン攻略。


食料は豊富だった。実体のない魔物は、死にかけたあの階以来一度もなく食料の確保は余裕だった。

水は技能で作り出した為、魔法で作った水とは違って消える事はない。


あとは、何回か死にかけたが目立った事はないだろう。


そして、今。


「……これはどうすればいいんだ……」


これまでにない難間が待ち受けていた。


「水の階か……な」


スカレアが呟く様に言う。

フロアは水で埋め尽くされていて、空気の入る隙間が一切ない。

中には魚の形をした魔物がうろちょろしていて、今にもこちらに襲いかかってきそうだ。


今いる場所は、謎のベールによって空気が入っている。だが、このベールはここにしかないようで空気の補給は早急の課題だろう。


そして、一番の問題は……


「このベールが少しずつ縮んでいるね……」

「タイムリミットはわずかってことか……」


これまでに手に入れた技能の中で水中戦闘専用の物はない。

水を使う魔物と戦った事はあるが、水中にいる魔物なんかと戦った事もない。


「とりあえず、呼吸の量を減らすぞ。ベールが消えるより前に中の酸素が無くなったら意味がない」

「分かった!」


できる限り酸素の消費量が減るようにゆっくりと呼吸をする。


「とりあえず……適当な魔物を倒すしかねぇか……」


水中で使用可能な技能を頭の中で生みだしていく。

火系の技能は使わない方がいいだろう。大した効果もなさそうだ。水系の魔法も同様。

雷系の技能は無論。水中で使ったら自殺行為だろう。

いや、自分には効かないかもしれないがスカレアに被害がいくかもしれないから除外だ。


「いや……今だったら使えるか?」

「ソラ、どうしたの?」


スカレアが心配そうな顔でこちらを覗いてくる。軽く俺の心臓が跳ねる。


「スカレア、水に触らないように下がれ」

「うん、分かった。でも……何をするの?」

「ちょっと……な」


人差し指を立て、視界に入っている一匹の魚型魔物に向ける。

そして、技能『電線』を使用する。


指先から一筋に黄色い線が走り、一直線に魔物に向かって突き進もうとする。

だが、謎のベールに当たった瞬間弾かれた様に回りに黄色い粒をまき散らして消えた。


「やっぱりだめか……安全地帯からの攻撃はすでにできないようになっているか……作ったやつは意地が悪いな」

「作った?」


スカレアがこっちに向かってかるく首をかしげる。


「いや、そんな感じがしてな。まぁ、時間はあまりないから説明は後でな」


ベールも少しずつだが着実に縮んでいる。すでに、四分の三は縮んだだろう。


「まぁ、離れてくれ。とりあえず、近くの魔物一体を倒せればいいか」


ベールに手を突っ込む。少し冷たい感触が腕を包み込み、確かな水だという感覚を頭に伝えてくる。

発動条件は満たしている……はずだ。

技能……『帯電』を使用する。電力は……限界まで引き上げて。


技能の使用によって起こる光が水中で発生し、一気に広がっていく。

『帯電』の使用条件は何かしらの物に触れている事。液体に適用されるかはわからなかったが、とりあえず成功したようだ。

だが、、もう一つ心配があった。

水中を通る電流は抵抗により、水中を通る距離が長蹴れば長いほど小さくなる。


まぁ、見れば結果は分かるのだが……


「……やったか」


つい言葉が口からでる。これはフラグ適用範囲内かと、一瞬心配したが……フラグの神は味方してくれたようで光の向こうで魔物がビクンビクンしているのが見えた。


「スカレアはここで待ってろ。俺が取ってくる」

「気を付けてね。他の魔物がいるかもしれないから」

「気配察知があるから大丈夫だ。じゃぁ、よいしょっと!」


体を水の中に突っ込む。

過去に出会った水の魔法を使う魔物への対策として服には防水の機能が付いているが、顔とかにはもちろん水が当たる。

肺にため込んだ空気を逃がさないように注意しながら水の中を歩いていく。


魔物は浮力で上にあるが、自分の体は下に力が働いている。服とか荷物とかの影響だろうが、歩きくいのは確かだ。


気配察知で気を付けながら魔物に近づき、手でしっかりと掴む。

確保……完了。


水をかくようにして戻る事を試みる。肺にある空気はまだまだ足りる。そこまで息も苦しくない。


手の平で水を掴むようにして進んでいく。そして……視界の右に牙が見えた。


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