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45 生の実感

「はぁ……」


首筋から、スカレアの口が離れる。

軽いめまいの様な物が襲ってきて、ふらりと俺は倒れ込んでしまう。


「そ、ソラ!?」

「大丈夫……少しめまいがしただけだ」


頭が少しばかり痛い。

やっぱり、一気に技能を使うと……頭に負担がかかる。

以前、ボスとの戦いでいくつもの技能を同時に使って倒した事があったが、戦いの後に相当の負担がかかった。簡単に言うと大きな頭痛だ。

今回はそれほどではないにしても、結構な負担が掛かっているだろう。

『炎弾』とかは、使い続けて慣れたけど、『神器一時変更』『地獄炎ヘルフレイム』に『変化』など、使い慣れてなく、なお且つ負担が大きい物ばかりだったから、こんなに小さな痛みで済んだのは……

しかし、魔法とは違って、肉体への影響はないからいいものの、頭へのダイレクトな痛みは結構キツイという事もある。


「くっそ……少し横になるぜ……」


倒れたからだを無理に起き上がろうとせずそのままにして、楽な体勢に変える。


「それにしても……お前、首が取れても生きてるってすごいな……」

「これは……『血の呪縛』の一つだと思う。血が体の中に残っている限りは……永遠に蘇生させ続ける力なの。絶望で自殺を試みた事があったけど……死ぬ事すらできなかったの。たぶん……全身の血が抜けないと死ねないという事だと思うの」

「それは……たぶん俺にもあるってところか……死ににくいのはいいことだが、死ぬ事ができないというのはマイナスになるかもな」


この選択肢を選ぶ事は一生ないだろう。人の命のおかげで俺は今も生きているのだ。自分から投げ捨てるのは……これまで俺のせいで死んだ人の命が無意味だと証明するようなものだ。

そんなことは……できない。


「まぁ、死ににくいという事がある時点で十分だな」

「もはや、私たちはバケモノみたいだからね。簡単には死なないだろうけど」


スカレアが軽い笑みを浮かべる。それと同時に自分の鼓動が早まるのを感じる。


「そうだな……俺らはバケモノだな」


もはや、人間なんて物はここで生きるために捨てている。

スカレアも、獣人を捨てているようなものだろう。


「これから……どうする?今すぐ行ってもいいけど……」

「まぁ、少しは休んでもいいんじゃないか?お前も重傷を負ったんだから」

「そう……かな」


スカレアも僕の前にパタリと横になる。

至近距離に現れた人の顔に、少しだけどぎまぎしてしまう。


「お腹はすいてないか?焦げた肉ならあるけど」

「別に大丈夫だよ。食べる気力もないって方が正しいね」


俺は這うようにして地面を移動する。そのまま、焼け焦げた魔物の前まで移動して、腰からあの時から使っていたナイフを取り出す。

深く突き刺した後、奥の完全には焦げていないであろう場所から肉をくりぬいていくつか取り出す。

そのまま這うようにして元の場所に戻り、比較的焦げてない方をスカレアに渡す。


「いただきます」

「いただきます」


意味のない形式美の言葉を口に出して、肉をかじる。

腹の奥底に軽い熱を感じ、ようやく生を実感する。


生きて……られたんだな。

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