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クラスメイトside05 国の策略への反逆

「処刑って……勇者なのに……」

「だからです」


ヒエライさんは悲しそうな表情で続きを話し始めた。


「彼は、もう勇者とは言えません。勇者の力を強制的に奪い去ったからです」

「でも……」


そんな簡単に、救世主とか言っていた人が殺せるとは思えない……わ。でも……あり得ないわけではない。


「光は闇が強いほど光り輝く」

「なんですか、それは?」


先生が問いかける。光……闇……これだ何に当てはまるものなのだろう。


「国は、忠誠心の向上の為に……ソラ君を殺そうとしているのかもしれません」

「……不満の矛先を……」

「どういう事?」


涼香の謎の一言が気になり、私は聞いてみる。涼香は、難しそうな顔をしながら話し出した。


「たとえば、国の不満が高まっているとき。なにか、怒りの矛先を一つ作り上げれば、不満や怒りの矛先が国からそれに向かう。普通なら、戦争を起こして敵となった国に怒りの矛先を向ける物……だけど、今回は……仲間殺しの悪の勇者として……ソラを怒りの矛先にするつもりだと思う。そして、処刑という手段で……国民のストレスを発散させるという意味合いも……」

「ほぼ満点の解答ですね」


なんとなく、ソラから聞いた事のあるような話だわね。たしか、国政で良くあることだった気がする。


「一つ付け加えるなら……勇者の評価を上げるというのもあるでしょうね。悪魔と契約して大切な仲間を殺した悪の勇者。それを、成敗した同じ光の正義の勇者……そんなシナリオを国に流す……この国は今のところ平和ですが、他の国との戦争という可能性もあります。心強い味方がいると国民に安心させて、同時に他の国への威嚇という意味にもなりますし」

「なにとなく……分かりました」

「なるほど……」

「……何のことでしょうか……」


三人三色な答えを出す。全く理解できていないのは……先生のようだわね。


「簡単に言うと……ソラ一人を悪者にするという事です」

「それって……大変な事じゃないですか!」

「そうです、大変な事です」


涼香の冷静な一言とは違い、先生は慌てた顔になる。

愛香先生って……先生なのに先生っぽくないわね……なんというか、ぽわーんとしたクラスのムードメーカの様なきがする。

まぁ、愛香先生にもすごいところはあるのだけど。


「やるなら……早急に何か手を打たなければいけませんね」

「少しだけ……時間をもらえますか?」


ヒエライさんが、地面に屈みこみ石の床に指で何か文字を書き始める。特に埃とかがあるわけではないので、文字が見えるわけではないが、何かを思い出しているのかしら。


「たしか……一か所だけものすごい怪しいところがありました」

「どこでしょうか……」

「とある場所です……でも……そこからは死体のような腐ったにおい。いわゆる死臭の様な匂いがしたんです」


ヒエライさんの言葉に……背筋が凍りつく。死体の様な匂い……相当大変な物だろう。

簡単に近づく気にはなれない……わね。


「なにか、怪しい呪いとかがあるかとソラと近づかない事で決定していたんですが……今回は行くしかないですね……」

「死臭……悪質な牢獄ならありえるわね……」


中で人が餓死しようとも、そのまま死体を放置するならば、死臭の発生も簡単に引き起こされるだろう。その匂いも……結界で防いだりしたら無事だわね。


「行くしかありませんね……」

「思い立ったら吉日。早く行きましょう」


うずうずとした感じの涼香が声を出して、足の体操を始める。


「こっちです。ついてきて下さい」


ヒエライさんの案内について、私達は道を進んでいく。ヒエライさんの暗記力って……なかなかのものだわね。

明りで照らされているとはいえ、進むにつれて不気味な感覚が体を襲う。


「この匂いは……」


鼻孔を少しだけ付く匂い。ぜったいになれる事のないであろう、最悪の匂い。


「う……」


涼香の顔は既に真っ青で、頭を振り続けている。私は、ポケットから四枚のハンカチを取り出して、渡そうとする。

先生と涼香は受け取って、鼻をふさいだが、ヒエライさんはすでに白い布を取り出して、鼻をふさいでいた。

おとなしく、一枚はポケットにハンカチを仕舞い、残った一枚で鼻をふさぐ。


「ここに、万物をせき止める光を集わせ、浄化を伴うベールで覆え。『結布・聖』」


涼香の魔法で、全員のハンカチや布が薄く輝き、匂いのほとんどがシャットアウトされる。おかげで、微かながらに私の体に害を与えていた感じの匂いが気にならなくなった。

涼香の結界系魔法はすごいわね……本当にうらやましい。


「ここの扉です」


ついたのは、一本道の奥にあった扉。匂いは、布を一瞬放しただけでも匂いが鼻孔を突く。吐き気を催す……最悪の気配。


恐る恐る扉を押しあけ……中からひびいてきたのは……呪詛の様なうめき声だった。

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