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クラスメイトside02 結界と隠された秘密

「早く……行かなきゃ!」


十字路から陰を現したのは……愛香先生。

驚きで体の動きが止まってしまったのと、急に先生が方向を変えたせいで……正面衝突してしまう。


「きゃっ!」

「いたっ!」


お尻から一気に落ちてしまい、体に痛みは走る。

じんじんとするお尻をさすりながら、私は立ち上がり、ぶつかった先生の方向に目を向ける。


「先生……大丈夫ですか?」

「いたた……ってリナさん!大丈夫ですか!?」

「いや、先生の方が慌てていて大変そうでしたよ……」


目をマルマルとしていた涼香も、ようやく現状の把握に成功して鉢植えの陰からおずおずと出てくる。


「先生。無様です」

「す、涼香……それは辛辣すぎるわよ……」

「って……すみません!ちょっと急いでいるんで!」


そう言って、無我夢中で愛香先生は走り出す。そして……数秒でスッテンコロリンと転んだ。


「……先生大丈夫ですか?」


少しだけ呆れながらも、私は先生のところに向かい、立つのを支えてあげる。

さきほどまで気を張っていた心が少しだけ楽になった気がする。愛香先生は空気を和ませる天才だわね……


「先生って……ソラのところに行こうとしていたのですか?」

「……はい」

「方向……反対ですよ」

「……本当ですか?」


張りつめていた様な先生の顔も赤く染まり、恥ずかしそうに顔を足の間にうずめている。


「私達もソラのところにいくのですが……一緒に行きませんか?」


単調ながらも、芯の籠った涼香の声が後ろから響く。

たしかに、複数人で向かえば、国の人もダメとは言いづらいわよね……ましてや、全員の士気を操る事も可能な先生という立場の人もいっしょにこれば、ほぼ確実に通れるだろう。

まぁ、愛香先生がそんな事をしようとは思わないはず……だわよね。


「あなたたちも……分かりました。一緒に行きましょう」


三人で一緒に道を歩み始める。もちろん、先生の方向感覚はあんまり信用できないから、涼香の案内だ。

階段の前まではテキパキと進むことができた。だが、ここから下に行くのは初めて。

少し階段を下ると、綺麗だった壁も、いかにも牢獄ですという石の冷たい壁に置き換わっている。

触ると、背筋が冷たく凍るような悪寒が体を通り抜ける。魔法で何か結界が貼られているのだろうか、謎の違和感が感じられる。


「ここです……ね」

「はい」


先生の慎重な声と涼香の冷静な声が、冷徹な空間にこだまする。


「あとは……この道をまっすぐ進めば……」

「ここでお止まりください」


私が、声を出した瞬間、横から冷静な声がひびいてきた。

何者か!

忍者の様なセリフは口から跳び出そうになるのをこらえ、慌てて横を確認する。そこには……鎧を着た衛兵が立っていた。


「ここから先は勇者様であろうと立ち入る事はできません。ここからは、穢れているところです。あなたたちを穢れさせるわけにはいきません」

「穢れているとは……なんですか!?」


愛香先生が怒りの声を上げる。


「悪に汚染された者や、悪の道に進んだ者しかこちらには居ません。どうぞ、ご引取りください」


取り付く島もないような冷徹な声。拒絶の言葉しかない。

兵士が道をふさぐように突き出している槍はきれいにもう一本の槍とクロスして門番のように……もう一本?

慌てて私が振り返ると、おなじような体勢で槍を構えている兵士がいた。


「通して下さい。ソラと話があるんです」


涼香の声も聞いていないようで、兵士が動く隙もない。

これは、話し合いの予知はないわよね……なら……強行突破しかないじゃない。

自然な流れで、涼香と先生の後に回り込み、兵士の視界に入らないようにする。

そして……隠密の技能を発動させる。


兵士と壁の隙間をなんとか通り抜け、一気に駆け抜けようとする。直後……体に強い電撃が走り、反対方向に思いっきり吹き飛ばされた。

私は回転しながら、吹き飛ばされて、先生に衝突する。なんなのよ……


「だ、大丈夫ですか!?というかいつの間に!?」

「先生……ここはだめです。通れません……」


誰かが人為的に発動させた物ではないだろう。考えられるのは……永住している結界というところだろうわね。


「御引取り下さい。ここからは立ち入る事ができません」

「リナ。先生。戻ろう」

「……うん」


涼香の一言と共に……私達は撤退することしかできなかった。


「何なんでしょうか……」


先生の声はどこか儚げで、消えてしまいそうだった。

地下からの階段を上り、すごすごと戻る事になった。


「くっそ……なんでなのよ……」

「とりあえず、汚い言葉はだめ」


悪態を付いた事をたしなめる涼香。

そこに……新しい足音がひびいてきた。

だが……ゆったりと忍ぶような足音。


「先生……誰かいます」


曲がり角から手が伸びてきて……手招きの動作が行われた。

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