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27 メイド服と邪悪な服と謎の手紙

「よいしょっと」


横倒しになっている宝箱の上に乗っている小石などを手で飛ばし、重い箱を持ち上げて縦に直す。


「さて……何が出るかな……」


箱のふたを押しあけ、中を確認する。そこには……洋服セット一式が入っていた。


「実に……タイミングがいいな……」


ご丁寧に、女物の男物の二種類が入っている。下着から、上着まで全てがそろっているところからして、準備が良すぎる気がする。

とりあえず、男物の下着を取り出してじっと見つめてみる。


==================================


『鑑定結果』


「防呪の下着」


呪いから守る為に作られた下着。

石化、死の呪いへの耐性もある。

特殊効果として自動修復機能、自動洗浄機能も付いている。


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たしか、宝箱の中身はランダムだったはずだ。下層の方がいいのが出るのは確かだが、これは比較的辺りの部類に入ると思う。

防呪の物は、めったになく、値段とかも相当高かったはずだ。これは、他のものにも期待できるだろうか。

他の服を全て見ると……まとめて大きな一枚の紙が現れた。


==================================


『鑑定結果』


「メイド服セット」


主を敬い、主を守る為に作りだされた、家事兼戦闘用の防具。

武器を隠し持つ為のスペースもあり、何も身に着けていない時よりも、体を身軽に動かすこともできる効果がある。

主と決めた者の近くにいると、身体性能が約二倍にまで向上するが、主より長い距離を離れると、身体性能が二分の一まで低下し、この服を脱ぐ事ができなくなる。

特殊効果として自動修復機能、自動洗浄機能も付いている。


「血の呪縛セット」


呪いに耐え、呪いを制する為に作りだされた防具。

呪いの暴走などを止める効果も高く、物理防御、魔法防御と共に一級品。

血の呪いが掛かっていて、服に血が掛かればかかるほど、身体性能と魔法性能が強制的に向上する。

段階を超えるごとに見た目も性能も向上する。

特殊効果として自動修復機能、自動洗浄機能も付いている。


==================================


「……メイド服って……」


使い道はないに等しい。男の俺が来たら変態になるだけだ。

なら、残された道は一つ。ボロボロの服を脱ぎ捨て、血の呪縛の服一式を身にまとう。


「気心地はいいな……でも……」


赤と黒で構成された荘厳な感じの服。見た目は動きにくそうでも、何も付けていないように身軽に動ける。

まるで……魔王の服の様だ。というか、魔王そのものだ。


「魔物の覇者……って感じでもあるな。まぁ、敵の血が掛かるだけで強くなるなら儲けもんだな」


くるりと回って、上着の裾をふわりと浮かせる。意外と厚着なのに蒸し暑さとかを感じさせないのもすごいと思う。


「メイド服はどうしようか……着るわけじゃないけど……なかなか優秀な装備みたいだから持っておいて後で売っても損はないだろうし……」


とりあえず、上着の部分だけ持って持ち上げてみる。ふりふりの部分が多い、お城の物よりも可愛い物だ。

個人的にはお城のよりもデザインはこっちの方がいいが、好みが分かれそうなデザインだ。


「まぁ、これは畳んで持っていくか」


地面の石や砂をパラパラとはたき、きれいになったところで地面に広げたメイド服を畳む。間にできるだけ触らないようにして下着を入れる。


「これで、戦利品は全部かな……」


しゃがんだ状態から、立ち上がり、服に着いた小さなかけらをはたき落す。

近くの噴水の端に俺は腰掛けて、今の状況を一旦整理する事にした。


「あの階層のボスを倒したっと……で、そしたら変なところに落とされた……のか?」


確かに、あの時には落下の感覚があった。意識を取り戻したときにも尻の痛みはあった。でも……落下の距離から考えてもあの尻の痛みは小さすぎる。浮遊感から考えても、普通なら尻を骨折して動けなくなっていてもおかしくはない。

なら考えられるのは……落下途中での転移。それなら、落下距離に関係ないはずだ。

転移魔法は場所を変えるだけでその時にかかっていた力は変わらない。

だから、落下中に転移しても下への力は働き続けている事になり、尻が痛い事の理由にもなるのだ。


「あとは……ここはどこかという問題なんだよな……」


噴水と大きな部屋。唯一気になるのは……壁に開いた穴だけ。


「とりあえず、あの壁の穴を調べるしか道はないよな……水はあるけど、食料は残り三日分しか持っていないから早めに脱出して早めに魔物から食料を確保しないと」


俺は健康ぴんぴんの足を動かして壁にある穴に近づく。もう少し早めに気がついていても良かったかもしれないが、少し陰になっていた場所だからしょうがないだろう。

近づいて見てみると……そこあったのは一つの大きな箱。力を込めてそれを開けると……


「うっ……」


白骨化した遺体が……箱……いや、棺の中で横たわっていた。

肉は付いていないし、悪臭もしない。でも……死体を見る抵抗は残っていた。

魔物じゃないんだ。襲ってくるはずもない。怯えていても仕方がない。

自分の心を叱咤しつつ、遺体を見る。だが、ひとつ不思議だ。

白骨化したという事は、肉が腐ったという事だ。ならば、少しばかり悪臭がしてもいいと思うのだが、まったく感じられない。

そして気になるのが、いくつかの装備品の様なものが箱の中に転がっているところだ。


その中から俺は……一通の古ぼけた手紙の様な物を見つけた。

茶色の封筒に入れられた物で、何かの紋章で封をされている。


「読んだ方がいいよな……遺書かもしれないし……さすがに、呪いとかは入っていないだろうから。まぁ、呪いがあったってこの服があるから大丈夫だろうけど」


慎重に、封をはがして中身を取り出す。そこには……


「この言葉……まさか……!」


この国の言葉ではない文字……なお且つ俺が知っている文字……

『日本語』でかかれた手紙が中に入っていた。

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