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23 現状と勇気

ダンジョンに転移してから、だいたい5日。

この階層の攻略はほぼ完全に終了し、魔物もだいたい倒せるようにはなって来た。最後の方には一日に五体とか十体とか倒せるようになっていた。

大怪我も何度か負ったが、自動身体回復でなんとかなる程度の物だったから、命に別条もなく今を生きている。


もちろん、多くの魔物に出会い、喰らいまくった結果、いろいろな技能も手に入っている。

今のステータスは、最初のころよりは強くなっている。


==================================

天竜 ソラ 16歳 男 レベル:730

種族:人間(?????)

職業:?????

称号:?????


HP:60000/60000

MP:60000/60000


筋力:750

体力:2000

耐性:800

敏捷:4000

魔力:2000

魔防:2000

技能:自動魔力回復Lv.MAX、爆地(+瞬間加速(+制御不能速度))、空蹴(+自動制御)、極足、体感時間強制変更(+無意識)、魔法複合、危険察知(+予知)、『炎獄』、『暴食』、『風纏』(+遠隔)、『??』、『闇霧』、『地爆』、『火弾』、『現象発生』、『武器生成』(+属性)(+形状変化)、自動身体回復Lv.9、言語自動翻訳(聴覚のみ)、『??(??)』

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体もなかなか強くなり技能もいろいろと増えたが、韋駄天が消えた分はカバーできていなかった。

韋駄天には、反応速度の上昇効果もあったそうで、敵の攻撃一つ避けるのも大変だった。

敵の攻撃が見きれずにあっさりと喰らってしまった事もあり、防御にはこれまで以上の注意を払う事になっている。


そして、新しい技能。派生技能さえも増えていた。

まず、極足は一時的に足の力が相当強化され、十倍ぐらいに力になるそうだ。だが、代償として効果が切れると足への疲労と共に足の機能が十分の一まで下がる。

俺の場合、一度使って魔物を倒した事があったが、直後に歩けないぐらいに足の痛みが襲ってきて死にかけた。

あそこで魔物が現れたらほぼ確実に勝てなかったであろう。


次に、派生技能の予知。これは、名前の通りに頭に少し後の出来事が浮かび上がる事だ。

しかし、発動条件がこれを食らったら確実に死ぬという攻撃だけだ。だが、そのぶんイメージは鮮明で、避ける事ができない状況に追い込まれなければ死ぬ事はないだろう。

なかなか便利な物だなと実感している。


そして、『炎獄』。これは、自分を中心にして十メートルぐらいの円ができ、そこに炎の大きな壁が生成される技だ。

触ったら敵にダメージを与える事ができるので、敵の逃走を防ぐことも可能だ。他の使い道は思いつかないが、ちょっとした時に便利だろう。


そしてその次に『風纏』の派生技能、遠隔。これは、手から離れたら霧散していた風が、離れても消えないようになり、少しだけならコントロールできるようになるものだった。

例えば、うでに纏わせた状態で腕を振るい、風を飛ばせばそのまま刃のような形で風が飛んでいくというわけだ。


さらには、『地爆』。地面を爆発させて破片を飛び散らせる事が可能だ。爆地と似ているが、違いは示したところならどこでも爆発させる事が可能というところだ。

ちょっとした攻撃手段とか、敵の足元を不安定にさせるのには十分だろう。


『火弾』。これは、名前のままに火の弾丸の様な物を作り出し、指定の方向に飛ばす物だ。指先に弾の様なものが生成でき、指の指し示す方向にまっすぐと飛んでいく。

威力もなかなかの物だが、速度は本物の銃弾よりも少し遅いぐらいだ。また、反動も少々あるため、連射は腕に負担が掛かる。


『現象発生』は、魔法の現象を起こすだけの物だ。ただ、火を発生させたり、氷を発生させたりすることができる。これだけでの応用はできないが、日常生活には使えるはずだ。


そして、一番目新しいのは『武器生成』。名前のままに簡単なナイフを作ることができる。基本は土属性でできた何の変哲もない石のナイフだが、切れ味はなかなかの物だった。

派生技能の属性は、石でしかできなかった物を火のナイフとか氷のナイフとか作ることができる。だが、元となる物が必要で、鉄のナイフを作るには鉄が、火のナイフを作るには火が必要というわけだ。しかし、『現象発生』と組み合わせるといろいろと便利だ。

もう一つの派生技能、形状変化はナイフしか作れなかった『武器変化』で他の武器を作る事ができるという物だ。

例えば、単純な長い剣や、刀。大剣に斧。ハンマーに鎌に短剣も作れる。さらには弓などまで作る事が可能だ。だが、作れる物の条件として大きさは無制限だが、単純な仕組みの物だけで、チェーンソーや銃までは作る事ができない。


リヒテンからもらったナイフより良い物は作れないが、いろいろな種類の物が作れるから便利だ。

特に弓は唯一の遠距離攻撃の手段と言っていい物で、練習したとはいえ命中率は低いが、重宝している。


五日間で習得した技能はこれだけだ。倒したであろう魔物の数と合っていないのは、同じ魔物が何度も出てきたりすることがあったからだ。

でも、同じ魔物を食べ続けるだけで効果があるのか、それとも同じ魔物でも個体差によるものなのか、新しい技能が生まれたり、派生技能が追加されたりすることはあった。


そして、今。俺はダンジョンのボス部屋の前にいた。

一階層と似ているような扉だが、威圧感は比較不可能なぐらいに感じる。背中には薄い汗をかいているのを感じ、腕が少しだけ震えているのが自分でもわかる。


「次の階層に行くには……この扉か……」


俺は、魔物で作った水筒に溜めてある水を口に少量流す。現象発生で作った水で、何にも含まれていなくて、味もなにもない真水だ。

元の世界で飲んだ事のある蒸留水と似た味で、正直言って不味いけどこれしかないからしょうがない。

味付けに使えるものもこんなところにはなく、血を混ぜようと血迷った時も、さらに不味くなってすぐに吐き捨てた。


軽く口の中で水を転がし、そのまま喉に入れる。ぬるい感触が喉を伝い、乾いた体をうるおしていく。

ここでは現象発生で氷を発生させて水を冷やす事は出来なくもないのだが、この水筒ではすぐにぬるくなるし、中に氷をいれてもすぐに溶けてしまう。

持っていると硬い感触が体に当たってうっとうしいのもあり、ぬるいので我慢しているというわけだ。


「周りの魔物はあらかた殺ったし……この階層ではこれ以上身体性能が上がりそうにないな」


最初のころはレベルもガンガン上がっていたが、段々とのびも緩やかになり、最後の方には一体倒してもレベルが8上がるぐらいまでになってしまった。

もう、この階層も見切りを付けてボスに挑むべきだろうと決断した。


「装備よし……宝箱から出た一つだけの回復薬よし……持ち物は完璧だな……」


何十回目の確認を終え、扉に今一度向く。

荘厳な形に威圧されそうになりながらも、なんとか足で耐えて見続ける。手を伸ばして……扉に触って冷たい感触が伝わった瞬間につい後ろに引っ込めてしまう。


「ふぅ……」


少し水筒の水を口に含んで心を落ちつける。

手を胸元に持ってきて冷たい感触を握りしめる。リヒテンのネックレス。

握りしめて決意を一気に固める。もう、迷わない。時間も無駄にしない。


扉に手を当て、冷たい感触を無視して中の広大な空間を開放する。


「さぁ!ボスなんか思いっきり倒してやろうじゃないか!」

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