頼むから 寝てくれ
深夜いちじにじゅっぷん
飲み会帰りの彼女はへべれけ大魔王で、布団でうつ伏せに寝てた明日も朝早い彼にぐりぐりと頭を擦り付けてのし掛かります。
「あのぬあのね!きょうねきょうね、おいしいの!美味しかったの!お店が駅近にあってね」
「頼むから寝てくれ」
「魚しんせんで、くりぐりいこってて」
「頼むから寝てくれ」
「こんどっこんどね、ぜったいいこーねっ」
「頼むから寝てくれ」
「あさごはんね買ってきたの、れーぞこにね、サンドイッチとー」
「うん。頼むから寝てくれ」
寝惚けまなこに立て板に水のような物言いは辛く、半覚醒のまま懇願すれば、やー風呂はいるーの一言に腰に回された手は離れていった。
しばし、微動だにせず。
しかし、微妙にねこの子一匹あいた襖からはリビングの明かりが煌々と差し込み
半生半死のゾンビのように這う這うの体で、ぴしゃんと戸を閉めたのだった。
遠くに、シャワーの音を聞きながら目を閉じる。
うつらうつらと意識が微睡み始めたとき、カラカラとなるべく静かに開閉される戸の音がして
「ねちゃった…」
残念そうな囁きと、布団を掛けなおす衣擦れの音と感触。
ちゅ、と優しいキスが米神に落とされたのであった。
酔っぱらった彼女を頭ごなしに怒れないのはきっと惚れた弱味で、照れてるのがバレるのが嫌で
とりあえず彼は寝たふりを続行する事にしたのであった。
お目汚しいたしました。
ありがとうございます




