ある神殿の出来事
単発ネタです。テスト投稿を除けば初投稿&処女作ですので、誤字脱字幼稚な表現があると思います。
生暖かい目で見守って下さい。
とある神殿の一室、今は使われていない物や不要な物が乱雑に押し詰め込まれた物置部屋に、二つの人影があった。
「神様!いい加減に仕事をして下さいっ!」
大きな声で『神様』に仕事の催促をしているのは、背中に三対の純白の翼を持つ人物。輝く法衣を纏い無駄に整った顔をしている男性だが、目の下には隈があり疲れきった顔をしている。
「俺は今物置の片付けに忙しいの。仕事ならしばらく君に一任するって言っただろ?天使長」
ヨレヨレのスーツを着用したサラリーマン風の青年は、『天使長』の必死の叫びを物置にある古い椅子に腰掛けたまま、そして片手で本を読みながら答えた。
「百年間はしばらくの内には入りませんっ……て言うか百年前より散らかってるじゃないですか!」
天使長が指差した先には、神様が隣の世界の知り合いから貰ってきた『げえむき』、『てれびじょん』、『まんが』等の訳のわからない物が大量に置いてあった。
「ひゃくねんかん……?え、もう百年も経ったの?」
神様と呼ばれている青年は、間の抜けた表情で天使長を見上げた。
「何でもっと早く教えてくれなかったんだよ……って顔しないで下さい!僕は何度も呼びに来ました!」
「マジかぁ……掃除中に古い漫画とかアルバムとか見始めると止まんなくなるけどさ、まさか百年も経っちゃうなんてなぁ」
本を投げ捨て、溜め息をつく青年。
「はぁ……やっと話を聞いてくれましたか。僕の権限で出来る事はやっておきましたけど、重要な案件は百年分も溜まっています」
ようやく話を聞いてくれた青年を見て、ほっと安堵した様子の天使長。彼はここ百年、青年に無視され続けていたのだ。
「百年分も仕事溜まってるのか……あー悪かったな天使長。今から直ぐに取り掛かるよ」
んーっと、背中を伸ばしながら立ち上がる青年を見た天使長が「やっと……やっと休暇がとれる……」と涙目になっている。
「じゃ、さっさと片付けよう。ちなみに一番重要な案件は?」
キリッとした表情に変わる青年と、持っていた資料の束をめくり始める天使長。普段はだらしない青年だが、一度やる気を出せば立派な神様だ。
「えーっと、はい。三年前に魔王が復活しました」
『魔王』と言う言葉を聞いた途端に、面倒臭そうな顔をする青年。あまり良い事では無いのだろう。
「……あいつまた復活したの?千年前封印したばっかりじゃなかったっけ?」
「はい、また復活しました。」
資料を渡しながら、事務的な口調で答える天使長。
「全く……いい加減世界征服とか諦めろよなぁ。今時流行らないっての……」
ぶつぶつ文句を言いながら資料を眺め、時々誰が復活させたの?天使は派遣した?等と、天使長に質問する。
すると、少し気まずそうに天使長は答えた。
「いや、実は何故復活したのか分からないんですよ。三年前に何の前触れもなく復活し、何をするでもなくぶらぶら下界を移動しているだけなんです。一応下界に駐在させている天使に監視させていたんですが……昨日殉職しました」
殉職と言う言葉を聞き、一瞬で真剣な眼差しに変わった青年が低い声で質問した。
「魔王に殺されたのか?」
天使長は悔しそうに顔を歪め、首を振る。
「いえ、直接殺された訳ではありません」
物置部屋が静寂に包まれる。
「……どういう事だ?」
困惑した青年は、なんとも言えない顔をしていた。
「はい。実は監視していた天使が……あろうことか魔王に惚れてしまったようで……その、えーと、勝手に接触し、告白したのです」
「魔王に惚れた?あ……そう言えば魔王って女型だったっけ……で、どうなったの?」
確かに魔王は人を狂わせる程の美貌だった記憶があるが、それで何故天使が死亡したのかが分からない。
「告白した天使は、見事にフラれました。しかもストーカー扱いされて、です」
「天使は絶望し、酒を浴びるように飲みました。酒が苦手だったにも関わらず!」
「そしてそのまま彼は……急性アルコール中毒で殉職しましたっ……!」
「うん、バカじゃねーの?」
誰がなんと言おうと、それは殉職ではない。
神界は今日も平和です。
ここまで読んで下さった方、ありがとうございました!最後のやっつけ感が酷いですね(笑)
ご意見、ご感想、アドバイス等頂けるととても嬉しいです。
……続く?