一服目 ~緑茶の殺菌効果ってうれしいよね~
このお話は一人の少年が不思議な少女のせいで日常をかき乱されていく様を描いたほのぼのコメディーです。壮大なスペクタクル、不思議ファンタジー、ハラハラドキドキアドベンチャー、情熱バトルをお望みの方は他の作品をご覧ください。
キーンコーンカーンコーン……キーンコーンカーンコーン……
今日も授業が終わった。毎日代わり映えのない教室でつまらない授業を聞きながらうたた寝したり、次の授業の宿題を必死こいてやったり。
そんな一日が今日も終わってもう帰る時間だ。僕はこの授業が終わった時の解放感がたまらなく好きなんだ。それは放課後の楽しい時間が始まる!! みたいなものじゃなくて、今日も一日代わり映えはないけれど、楽しくて、平和で、かけがえのない一日を過ごせたんだなっていう達成感もある。
そんなことをふと思いながら僕は鞄に教科書をしまいこんだ。
あ、申し遅れました。僕の名前は御手洗 だんご。この県立丘詞山高校に通う二年生です。よろしくお願いします。身長は163センチ、体重は46キロ痩せ型でよく中学生とか、女の子とかと間違われます。僕はもうちょっと男らしくなりたかったのにな。
さて、荷物も片付いたところだし返ろうかな。そう思ったとき、
「だんご君!」
後ろから声を掛けられた。僕は反射的に振り返った。そこにいたのはとてもかわいらしい女の子だった。
「やあ、もなかちゃん、どうしたの?」
この目がくりくりとしていてポニーテールが愛らしい女の子は粳 もなかちゃん。とても可愛くて、頭もよくて、運動もできるミスパーフェクト。学校男子皆の憧れでファンクラブまでできてるんだ。このクラスの男子は全員はいってる、もちろん僕も。
「一緒に帰ろうよ!」
やった!! 思わずガッツポーズしたくなったけどここは抑えなきゃ。
「もちろん!」
僕はそう返事を返した。
もなかちゃんのうちは僕の家の近所にあって幼馴染。こうしてたまに一緒に帰ろうって誘ってくれるんだ。帰るときの男子たちの視線が怖いけど、もなかちゃんと帰れるなら平気だ。
そうして僕らは帰宅の途についた。帰る間はとりとめもない話をずっとしていたけどすごく楽しかった。
「それじゃあ、また明日ねだんご君!!」
「うん、バイバイ!!」
僕の家の前でもなかちゃんと別れた。少しさみしい気持ちになるけどその分すごく楽しかった。
僕はもなかちゃんを見送って自宅に帰った。ドアノブにカギを挿してぐるっと回す。いつも通りのしぐさだった。
「ただいま~」
居間にはいつもお母さんがいるから、聞こえるようにただいまを言ってからいつも僕は二階にある自分の部屋に向かうのだけれど、今日は様子が少し違った。
「お、お帰り~……」
ん? なんだか少し声がかすれてる気がする。僕は気になって居間に行くと僕の母、御手洗 桜がソファに横たわっていた。
「お母さん!? ど、どうしたの?」
「あ、だんご? うん、なんかお母さん風邪ひいちゃったみたいなの」
た、大変だ。僕はすぐさまお母さんの寝室に行って布団を敷いて何とかお母さんを寝かしつけた。
「だんご、ごめんなさいね。お母さん迷惑かけちゃったわね」
「そんなこと良いから」
いつも迷惑かけてるからこれくらいのことはしなきゃ。そう思ったとき僕はふと気が付いた。
「お母さん、夕飯どうしようか?」
「あらあら、準備しないといけないわね」
お母さんは立ち上がろうと手をつこうとする。調子が悪いときは無茶しないでほしいな。
「無茶しないで。お父さんは今日は食べてくるんだよね? だったらお弁当かなんか買ってくるからお母さんは寝てて」
僕はそういうとこれ以上お母さんに無茶をさせないようにすぐに立ち上がった。
「ありがとね、だんご。お金はいつものとこにあるはずだからそれ持って行って」
「わかった、いってきます」
僕はいつものところから二千円を取り出して財布にしまった。
ガチャ
「これでよし」
戸締りを確認して僕は弁当屋さんに向かう。そんなに大した距離じゃないから歩きでいいかな?
どんな弁当にしようかな? そんなことを悩みながら歩いていると僕は神社に差し掛かった。いつもながらこの神社は暗いな。周りが木で囲まれてるせいかな。そう思いながら少し神社の方を覗いてみると、木々の間で何かが動いてるのが見えた。
「ん? なんだろう……」
ううううう、ううう、うう、うううう、う、う、ううう、うううう
なんだか唸り声のようなものまで聞こえる。
「な、なにかいるの!?」
僕は怖くなったけど目が離せなかった。足がすくんで動けなかった。
やばいよ!?どうしよう、どうしよう。そう思っていても僕の足は一向に動かない。その何かがすぐ近くまで迫っていた。
「っひ!?」
もう駄目だ、ぼくはもう諦めることにした。ごめんお母さん。あなたの息子はとてもビビりで弁当もろくに買ってこられないような子です。
そうしてる間にも何かはどんどん近づいてくる。
そしてぴたりと動きが止まったと思った瞬間、それは僕に向かって飛びかかってきた!!
「だんご食わせろ~~~!!」
「ぎゃ~~~!?」
そう言って飛びあがってきた何かは僕の腕にかぶりついた。僕はパニックで何が何だかわからず抵抗さえできなかった。だけどその何かは僕の腕に飛びかかってきてから動かなくなった。
ん? なんだろう、むしろぐったりしているような……
僕はぎゅっと閉じていた眼をゆっくり開く。そこにはなんと少女が僕の腕にかじりついていた。噛り付いていると言ってもとても弱い力だけど。
昔の農村で着ていたようなぼろぼろの服を着た少女が僕の腕でぐったりとしている。
「どうしよう……」
僕は途方に暮れていた。
忙しいくせに、メインで書いている方もろくに更新できてないくせに書いてしまった。だがアイデアが固まってしまった。だから書いてしまった。仕方がない、仕方がない……
感想あったらください、ください……