悪魔ではないな
悪魔って昼間っから出るの?あっもう4時か。まだ明るいけど。
音がした方を見ると、目の前を薄茶色の小人が5人横切って行く。
歩く姿は、ハイホーハイホー♪って感じで可愛い。
『小人か!悪魔じゃないじゃん!』うっかりつっこんでしまった。日本語で。
“!!!誰が悪魔だ!”
『つっこみ返された!?やるなっ!?』しかも通じてる。
“こんな可愛い俺達を見て、悪魔とは失礼な!”
『くっホントに可愛いから、そこはつっこめない・・・』
くやしー!とか悶えてると、
“ところで、あんた誰?”
『あっ初めまして。私、日本人の鷹山桃香と言います。ちょっとクジでこのお城当てちゃって、どうしようかと見に来たんだけど、町長さん逃げちゃうし、悪魔の代わりに可愛い小人出てくるし、私どうしたらいいんですかね?』
しゃがんで挨拶と相談をしてみる。
“そりゃあ、好きにしたらいいんじゃないの?当てちゃったもんは仕方ないし”
ざっくりしてるな。しかも斧やら鍬やらを肩に担いで、ガテン系オヤジみたいだし。
『そっかー。ところであんた達、前に住んでた人と喧嘩でもしたの?』
“いや、手入れが悪いからさ、もうちょっときれいにしてよ。って言いに出たら、向こうが出てっちゃったんだよね”
『あーそうなの?ところで、どっから出入りしてるの?』
“俺達は、普通の生き物とはちょっと違うからなー。いろんなところから出入りできるのさ。まあ、妖精ってのはそんなもんさ。この辺にも昔は沢山いたんだけどな。すっかり減っちゃって”
『それはさみしいねえ』
“あんた、ここ住むのか?”
『う~ん。でも日本で学校もあるし。』
「・・・桃香ちゃん、誰と喋ってるの・・・?」
『ええ!?』
“おお、あんたのおばさんとおじさんか?じゃあ、姿見せるよ”
「・・・小人・・・だねえ。」「・・・」
『そうですねえ。』
とりあえず、おばさんと相談の上、もう一度学校に連絡することにした。
『あの、ちょっと事情があって、こちらで大おばさん達と住むかもしれないんですけど、すごく迷ってて、学校もあるし、どうしたらいいのか・・・』
先生からは、「語学留学になっていいじゃないか。飛ばされた先なら、これも縁だろう。すぐ転校できるように手続きしとくよ。地元の人とは仲良くするんだぞ。お前のノリなら大丈夫だから!」
『ええええ!?そんなあっさり?』
ガーン!!ちょっと都合よすぎない!?怖いんだけど?
『やっぱ悪魔かも』
“違うわ!やっぱりここの土地に縁があるようだ。土地神に好かれたようだな”
『土地神さまって、こっちにもいるの?』
“どこにでもいるさ”
そうなんだ・・・
『じゃあ、土地神さまにお礼を言いたいんだけど、どうしたらいい?』
“まあ、感謝すればいいんじゃないの?”
『・・・じゃあ、土地神さま、ありがとうございます。ここ、気に入ったので、しばらくご厄介になります』
とりあえず、窓の外の庭園に向かって言ってみる。いや、土地神さまだし、土のある所に居るかと思って。
「とりあえず、外に出て町長さんに住む事を伝えないとね。」
『そうですね。じゃあ、またね、小人さん達。仲良くしてね。はい、握手!』
“・・・変な人間だなあ”