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八番目の大罪  作者: 七転び八転び
4/5

第肆話

世良から黒い靄が飛び出してくる。

それと同時に世良は地面に倒れ伏して、グチュッという音と共に潰れた。

赤黒い液体が噴水のように噴き出し、雨のように降り注ぐ。


「おい…世良…?世良!返事しろよ!おい!!」

『もう無駄だ。あの男…世良はサムピゲロに全て横奪され、潰された』

「なっ……嘘、だろ……」

『残念ながら本当だ』


世良が……死んだ?あの世良が?

いつもチャラチャラしてて、ノリが軽くて、僕との言い合いの後に「むぅ、そう来たか」って言うあの世良が…?


何で死んだ?

八番目の大罪のせいか?サムピゲロに取り憑かれてしまったからか?


何で取り憑かれたんだ?

世良が何かしたのか?おかしいだろ…!


『おい!詩稔!ボサッとするな!!』

「お前……世良に何した…?」


世良から出た黒い靄は形を人の様な形に変える。

そして形が定まると黒い靄は消し飛んだ。

中から出てきたのは怪物だった。

牛の様な頭に大きな角が二対生えており、体は人間、袖からは大量の蛇が蠢き、足はドロドロに溶けている。


『欲シィ…欲シイヨ……全部欲シイ…!!』

「聞いてるのか?世良に何したって聞いてんだよ…!!」

『コイツ?コイツハ……ビミョーダッタナ。普通ノ臓器、普通ノ脊髄、普通ノ脳ミソ……ビミョーダ』

『おい詩稔、取り乱すなよ―――――っ!!』


小太刀は何か感じ取ったのだろう。

僕の頭の中は段々とスッキリしていく。

今まで怒ってたのが嘘のようだ…。


『詩稔…?』

『何ダ…オ前?ソノ力……大罪クラスノ悪魔並ミダト…!?』

「お前ごときが大罪…?調子に乗るのも大概にしろ」


僕は手に力を溜める。

黒い力、悪魔の力。

そう言えば小太刀が僕にも悪魔の力があるとか言ってたな…。


『詩稔……お前、この力…!』


僕は一瞬でサムピゲロの前まで移動する。


『オ前……欲シイ…!!』

「黙れ」


僕は悪魔の力を溜めた腕でサムピゲロを貫いた。

しかし、サムピゲロの角もまた僕の胸を貫いていた。


『詩稔!』

『ハハハ…!!オ前も道連レダ…!地獄デオ前の全テを奪ッテヤルヨ!』

「道連れ?何を言ってるんだ?僕は死なない……死ねん(・・・)ってね」


こんな時に思い出した。

僕の両親が付けてくれたこの名前。

確か由来は『どんな時でもどんな事にも負けない死ねんような奴になれ』とかそんなだっけ?

その時は確かダジャレで名前決められた、って拗ねたな…。

ははっ、今となっちゃ良い思い出なのかもな…。










数週間後、ある所にある墓地。

そこにある墓の内の一つに大罪詩稔、と掘られている。

墓の前に立っている金髪の少女は複雑な表情を浮かべている。


『詩稔……すまなかったな。死なない程度に守ると約束したのに……私は何も守れなかった。だが、今度こそは守って見せるからな』


少女は一度空を見上げた後、どこかへ消えて行った。

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