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八番目の大罪  作者: 七転び八転び
1/5

第壱話 

七つの大罪、という物を皆さんはご存じだろうか。

キリスト教の用語で、人間を罪に導く欲望や感情のことだそうだ。

その七つとは傲慢、嫉妬、憤怒、怠惰、強欲、暴食、色欲である。

そしてそれぞれには司る悪魔がいるらしい。


アニメや漫画等で良く出るので、上記を知っている方は少なくない筈だ。

しかし、僕の町に伝わる八番目の大罪を知る方はいないだろう―――――











登校中、道の向かい側に警察がたくさんいた。

そしてその周りには人だかりが出来ている。

無視しようかと一瞬思ったが好奇心が勝った。


「何があったんだ?」


たまたま近くに居た友達、世良せらに話しかけてみた。


「お、おぉ、詩稔か。実はだな……」


そう言えば自己紹介がまだだった気がする。

僕は大罪ひろつみ詩稔しねん

大罪という苗字は珍しいという事がいるが、この辺りでは比較的多い。

僕は目に掛かる位の黒髪で、赤みがかった茶色の目を持っている。

話が逸れたな…。

世良はロボットのようにこちらを向いて口を開いた。


「変死体が見つかったんだとよ……」

「は…?」


突然そんな事を言われても困る。

困るというのはおかしいな。


「変死体って何だよ。訳解んねぇよ。解り易く説明してくれよ」

「これで解らないか。ならお前には一生縁のない話だな」

「説明してくれるという優しさはお前には一生縁のない話だな」

「むぅ、そう来たか」


さて、世良は放っておいて人だかりの中心に行ってみよう。

こらそこ、人の事をヤジウマだとか言うな。


「どうなってんだ…?」


人だかりの中心には難なく行けた。

勿論、変死体とやらは既に運ばれている。

そこにあるのは血溜まり。

しかも尋常ではない程の量だ。


「な、んだよ…こりゃ……」


どうすればこれほど血が出るのだろう。

体中の血液全てが出たみたいだ。

そんな事よりも僕はあることが気になっていた。


『八番目の大罪………早く手を打たないとまずいな……』


自分と大して年が変わらないだろう少女が警察に混じっていたからだ。

いや、それは少し違うな。

警察は少女に気付いていないようだ。


『ふむ、早いとこ良い囮を……』


少女と僕の目が合う。

何故だろう。

僕の危機察知本能がサイレンを響かせていた。


『なぁ君―――――』

「逃げるが勝ちィッ!!」


僕は人をかき分けて人だかりの外に出る。

よし、ここから猛ダッシュで……。


『残念ながらその慣用句は私には通用しないぞ。逃げても負ける時は負ける。諦めろ』

「オーマイガー……」











少女の名前は断斬たちきり小太刀こたち

身長は大体僕と同じで、可愛らしい顔立ちに膝裏辺りまで伸びる黄金の髪が特徴だ。


彼女は八番目の大罪の噂を聞いてこの村まで来たらしい。

そしてその調査をしていたのだとか。

更に見つけたらぶっ潰すとのこと。

ひゃー、物騒だね~。


「僕に囮をやれと?」

『その通り』


その通り、だってよ。

コイツは僕を何だと思ってやがる。


「何で僕なんだ?」

『私が見えてるようだったし。捜すのが面倒だった』

「後者の理由がデカイだろ」


ってか待てよ…?


「私が見えてるってどういう事だ?何お前、もしかして幽霊とかそういうタイプ?」

『失礼な。私は列記とした悪魔の遣いの知り合いのいとこだぞ』

「それ悪魔とほぼ無関係じゃね?」

『冗談だ。私はルシファー様に認められた人間だ』


ルシファーと言えば七つの大罪のあれだ。

確か傲慢を司る悪魔だっけ?


『ルシファー様に頼まれてしまってな。面倒だから回想だ』

「おいおい……」






数日前。


「お呼びですか?ルシファー様」

「ああ、えーっと、八番目の大罪、こいつを地獄に連れてきて。抵抗したら力づくで」

「畏まりました」






『―――っと回想終わり』

「この位口で言えよ!!」


コイツは一々面倒がるんだな。

ってかルシファーもそこそこ面倒がってね?


「で、八番目の大罪の詳細をどの位知ってんの?」

『まだ情報収集中だ。何も知らないといっても過言ではない』

「そうか、なら僕が話してやるよ」


八番目の大罪、それは"横奪"、司る悪魔は"サムピゲロ"。

"サムピゲロ"に憑かれてしまった者は、人の物が欲しくなり奪ってしまう。

そして、最終的には人の命、更に憑いている者の命も奪うそうだ。

その際、体の中身(臓器など)を全て奪い、潰すらしい。


「とまぁ、この位だ。で、どうするんだ?」

『勿論命令通り力づくで連れて行くけど?』

「そうかい。じゃ、僕達の平和を守るために頑張ってくれよ」


僕はそう言って学校に戻ろうとした。

その時小太刀に肩を掴まれる。


『私はお前に協力してほしいんだが』

「そう言うと思った。だが僕はやらないぞ」

『バカめ、その台詞を言ったな。その台詞を言ったキャラは十中八九協力する事になる』

「マジでか………仕方ない。協力してやるけどちゃんと僕を守ってくれよ?」


え?女の子にこんな事頼んで恥ずかしくないのかって?

日本は『両性の本質的平等』がどーたらこーたらだから、女の子に~とか男の癖に~とか通じないんだぞ?


『死なない程度に、位なら考えよう』


とまぁ、こんな感じで僕は小太刀と共に八番目の大罪へと立ち向かう事となったのだ。

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