清洲会議 ~織田グループ・取締役決戦:敏腕営業部長が、後継者争いに『赤ちゃん』を投入して完全勝利する件~
「……おい。会議の資料に、なんで『ガラガラ』と『おむつ』の予算が入ってるんだ?」
清洲城、第一会議室(大広間)。
織田グループの筆頭株主にして、最古参の専務取締役・柴田勝家は、目の前の書類を見てこめかみをピクピクさせていた。
対面に座るのは、先日「山崎の合戦」という名の強引なM&Aを成功させ、一気に発言力を増した営業部長・羽柴秀吉だ。
「いやぁ勝家専務、これからの時代は『次世代育成』ですよ。ベビーシッター事業への先行投資です」
「ふざけるな! 今日は、亡き信長社長の後任を決める大事な取締役会(清洲会議)だぞ!」
そう。信長という「絶対的カリスマ社長」が(勝手に)いなくなった今、織田グループは空中分解の危機にあった。
【議題:新社長は誰にするか?】
まず口火を切ったのは、年功序列を重んじる保守派の勝家だった。
「社長の三男、信孝様こそが次期CEOに相応しい。彼は経験も豊富だ。何より、私が強力にバックアップ(実権掌握)する!」
勝家の隣で、信孝が「よろしくお願いします」と、いかにも「パパのコネで入社しました」的な二世議員スマイルを見せる。
対する秀吉は、鼻で笑った。
「勝家さん、古いですよ。今の時代、世襲だけじゃ株主(諸大名)は納得しません。実績、そう、実績です! 私が推すのは信長社長の次男、信雄様……と言いたいところですが、あの人は論外なのでパスです」
「おい、聞こえてるぞ」と横で信雄が呟くが、無視された。
「……じゃあ、お前は誰を推すんだ、秀吉?」
勝家の問いに、秀吉はニヤリと笑った。
「私は、ダイバーシティと若返りを重視します。……カモン、三法師くん!」
ガチャンと扉が開く。
そこに入ってきたのは、まだよちよち歩きの幼児(三法師)だった。
【秀吉の『パペット・マネジメント』】
「……は?」
会議室が静まり返る。
「紹介しましょう! 信長社長の長男(故人)の息子、つまり正統な孫! 三法師くんです! 彼はまだ三歳! 可能性は無限大! つまり、『何もできないから、俺たちが全部決めていい』という、最高にコンプライアンスに配慮した社長です!」
「ふざけるな! 赤ちゃんに社長がつとまるか!」勝家が机を叩く。
「つとまりますよ、勝家さん。三法師くんを抱っこして『天下布武!』って言わせれば、みんな『可愛い~!』ってフォロワー(兵力)が増えます。これからはSNS映えの時代です」
秀吉は手慣れた手つきで三法師を抱き上げると、事前に仕込んでいたのか、幼児の口に高級な金平糖を放り込んだ。
三法師が「うきゃきゃ!」と笑う。
「見なさい! この圧倒的なカリスマ(可愛さ)! 丹羽取締役、池田取締役! あなた方はこのピュアな瞳を裏切るんですか!? 『おじちゃん、お菓子ちょうだい(=俺に味方しろ)』って言ってますよ!」
「……う、ううむ」
キャスティングボートを握る丹羽長秀と池田恒興は、顔を見合わせた。
二人は、秀吉から既に「山崎の合戦の特別ボーナス」と「ハワイ旅行のチケット(領地の加増)」を握らされていたのだ。
「……三法師くん、可愛いね。よし、彼を社長にしよう」
「私も、時代はベビーファーストだと思います」
「なっ……! お前ら、買収されたのか!?」
絶望する勝家に、秀吉がトドメを刺した。
【エピローグ:勝利のプレゼン】
こうして織田グループの経営権は、三法師という名の「赤ちゃん社長」を抱えた秀吉の手に渡った。
会議終了後。
秀吉は、泣き叫ぶ三法師をあやしながら、軍師の官兵衛と祝杯を挙げた。
「完璧だ。これで俺は『社長代行』という名の、実質的な支配者だ」
「お見事です、秀吉様。しかし、三法師様が成長して『パパの会社を返せ』と言い出したらどうします?」
「その頃には、会社(天下)の名前を『豊臣』に変えちゃうから大丈夫だよ」
一方、負けた勝家は、やけ酒を煽りながら呟いた。
「……何がベビーファーストだ。あの猿、絶対にオムツ替えすら部下に丸投げするタイプだぞ……」
彼の予感は正しかった。
この後、秀吉は「天下統一プロジェクト」という名の超大型事業を立ち上げ、全国の会社(大名)を次々と「子会社化」させていくのだが……それは、また別の「接待(合戦)」のお話。




