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大陸戦争  作者: 野谷
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大陸会議

 2人の戦士に割って入ろうとするものはいない。いや、入れないのだ。別に一騎打ちの申し込みをどちらかがしたわけではない。ただ、周りの兵士達からすれば実力が違いすぎた。わざわざ死に急ぐ必要もないだろう。それに、お互いの戦士を信じているから。1人を除いて、彼は持っていた扇を捨て、ジルに弓を構えていた。倒し損なった者に次こそ一矢報いる為に。ムジョリだ。彼はとても冷静にこの状況を見ていたこの乱戦の中、突然矢が飛んできても避けきれないだろう。確かにこれは卑怯かもしれない。だが、なんと言われようが関係ない。勝てばいいのだ。この矢にも無論毒がつ付いている。かなり致死性の高いものだ。ジルがどれだけ身体をきたえていようが、毒の廻りを抑える事は出来まい。一度大きく息を吸い込みそして、集中し矢を放つ。の前に彼の腕からは鮮血が飛んでいた。矢は空を切った。「間に合った!!」ジルが一瞬目を見やる。そこにはサルナ将軍が立っていた。一瞬安堵の顔を浮かべ、ガルーダは突然の表情変化に一瞬気色悪がった。

 何故何もかも上手く行かない!ここまで多くの策略を巡らせ、自ら行動したのにも関わらず、全くもって上手く行かんわ!彼ははらわた煮えくりかえるような気持ちになったが、そんな隙をサルナがわざわざ見逃す筈がない。更に一歩前へ踏み出し、敵の大将袈裟斬りしようとしたが、その攻撃は空を切った目の前には馬に跨った可憐な女性がムジョリをひょいと自分の馬に乗せ間一髪、とだけ呟いた。ムジョリは「あ、姉上様!?」と驚いた表情をしていた。サルナは追いかけようとしたが、すぐにその足を止めた。ジルとガルーダの激しい戦闘は終わりを知らなかった。しかし、ジルの方が長丁場に強かったらしく、遂にガルーダは握力が足りず剣を落とした。ガルーダは驚いた表情をしていた。自分の限界が先に来たと言う事実に。「貴様とまだ打ち合っていたかった。これほどの強者は我が国にはきっと居ないであろう」ジルはガルーダに一歩一歩近づいて行ったが、踵を返した。「お前程の強者をここで討ち取れないのは残念でならない。次にまた戦場で会った時は確実に殺す」ガルーダは本物の武人に敬意を表し、膝を着いた。彼は武器を持たない無抵抗な自分を殺さなかった。何よりも、自分の兵士が少しでも早く生き残って帰れるような選択をしたのだ。ジルキーン法国軍もといプラトン連合軍は速やかに撤退を開始した。敗因は、敵の援軍である。ムジョリに危険が迫れば自らを犠牲にしかねないと感じた兄ムジョル国王とその妻、女王アシュビは他の将軍達の反対を押し切り5万の兵士を引き連れ出陣したのだ。結果、バンジャ川防衛戦は成功に終わった。死亡者数は法国側6万、サラディーナ側5万2000である。この戦いはサラディーナ側の辛勝となった。援軍が間に合わなければ、流れは法国側に傾いていたであろう。この戦いは両国に大きな傷跡を残す結果となった。法国軍撤退の際、追撃をかけるものは誰1人いなかった、王国側もすぐに傷ついた者達の救護にあたり幕を閉じた。これ以上の戦闘を誰も望んではいなかったからだ。

 結果として考えよう。はじめにバルサ帝国が連合脱退を表明し、ウラノ王国には攻撃を開始。周りの諸外国軍とウラノ軍で時間を稼ぎ、援軍と合流した上で帝国軍を殲滅するつもりが一瞬で勝敗が決まってしまい、ウラノ周りの2カ国も消滅。更に帝国は侵撃し、他の小さな2カ国もある程度の兵を送ったものの蹴散らされあえなく消滅。サラディーナは帝国側についた訳ではないが物資の供給を見過ごすわけにはいかず、7大国の1つジルキーン法国を主に据え、討伐軍を結成。後一歩で勝利だったが、敵の更なる援軍により撤退。バンジャ川を奪取する事に失敗。である。これはもう一度開くしかあるまい。バルボッサは嘆息しながら呟いた。「大陸会議」クロシナ聖王国は大陸中の国に招待状を送りつけた。「各国の要人に伝える。大陸会議を行うべし。直ちにゲベーツ帝国の首都ペルビアへ向かえ」

 ゲベーツ帝国とは、特に砂糖文化と芸術文化が進んでいる国だ。他の国では貴重品な砂糖をふんだんに使用した、フエルノと言うお菓子が有名だ。とてもシンプルな作りで小麦を薄く伸ばして一度焼き上げ砂糖をまぶしてからもう一度焼き上げるだけで完成と言うかなり簡素な作りだが、他の国ではそもそも砂糖が貴重と言う事と、この状態から各店や家庭におけるオリジナルでいくらでも化ける事から、とても人気のある伝統的なお菓子になっている。更に、音楽や絵画の文化にも力を入れていて、首都ペルビアでは頻繁にパレードが行われ、各国から画家が集まり競りを行う会場がいくつか用意されていて、芸術の道に進みやすい土台も出来ている。この国は勿論7大国だ。その為軍備にもかなり力を入れ、いつ他国から攻撃されても迎撃可能な部隊が用意されている。   このゲベーツ帝国ペルビアの会議室に、全員とは言わないまでもかなりの国から要人が送られた。「まずは、お集まりいただきご苦労。」バルボッサ統括が切り出した。この話を要約すると、まず今まで聖王国のバルボッサが連合の統括者としてきたが、バルボッサは統括補佐となり、統括者はゲベーツ帝国の元帥フラジールに担当してもらうと言うもの。これの理由としては、聖王国は大陸のかなり北西側に偏っており、北東に位置するバルサ帝国から近いとは言えない。その為、大陸の真ん中に位置し、兵を集結させやすい上に、各国からの評価も高いゲベーツ帝国の元帥に指揮を取ってもらおうと考えたからである。しかし正直な話をすると、あくまでバルボッサが統括となって連合を指揮し、負けていると言うことになっているので、少なからず各国からヘイトを向けられやすい立場になっていたからと言うのもある。これに関しては、元帥にも相談した上で了承済みである。次に、連合所属の周辺国同士で合同演習を行うというもの。今まで、何度も援軍として連合軍同士で送り合ってはいたが、実際に戦争が起きる前にそれぞれ近い国同士で演習を行う事により、信頼出来る関係を築く事が大切だと考えたからだ。更に、連合への裏切り行為をした国への処罰の厳罰化である。今までは、軍を出すこともあったが最初は経済制裁程度で落ち着く事が多かった。これからは宣戦布告も必要ないし、すぐに攻撃体制に入る姿勢に変更した。そして、この連合に所属するかしないかを改めて決定させた。勿論の事、連合国に対して攻撃を仕掛けない限りは基本的に干渉しなく、取引も自由に行っても良い(ただし、連合に入っていない場合プラスで税金がかかる)と言うものだ。ただ、この大陸では多くの国が連合に入っている為ほとんどの国にとって抜けるメリットはあまり多くはない。会議の結果、7大国で連合参加を表明したのは、ゲベーツ帝国、ジルキーン法国、クロシナ聖王国の3カ国である。バルサ帝国、サラディーナ王国は無論今回の会議には不参加であり、アトランカ連邦は未だ内戦を続けているため不参加だ。それ以外の中小国家の多くが、今まで通り参加した。

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