第六節 策謀の罠
近江、小谷城。
諸葛亮は、報告を受けて顔色を変えた。
「呂布が...少女を連れて、こちらに向かっている?」
「はい。しかも、その少女は貂蝉様に似ているとのこと」
「!」
諸葛亮が立ち上がる。
「主公!」
劉備が駆けつける。
「どうした、孔明?」
「呂布が、少女を連れて来ています。貂蝉殿の妹だと...」
「貂蝉の妹...!?」
劉備も驚く。
「本当か?」
「...わかりません」
諸葛亮が羽扇を握る。
「ですが、怪しい」
「怪しい?」
「はい。あまりにもタイミングが良すぎます」
諸葛亮の目が鋭くなる。
「これは...おそらく曹操殿の策です」
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数時間後。
呂布が、少女を抱いて城門の前に現れた。
「劉備!出てこい!」
呂布の声が響く。
劉備が城門を開き、呂布を迎える。
「呂布殿...」
「劉備!この娘を見てみろ!」
呂布が少女を下ろす。
少女は、意識を取り戻していた。
「貂蝉様の...妹...です...」
少女がか細い声で言う。
「姉は...近江に...捕らえられていると...」
「!」
呂布が劉備を睨む。
「劉備!本当か!?貂蝉を捕らえているのか!?」
「いえ、私は...」
「嘘をつくな!」
呂布が方天戟を構える。
「この娘が言っているんだ!貂蝉を返せ!」
その時、諸葛亮が前に出た。
「お待ちください、呂布殿」
「...諸葛亮か」
「その少女、本当に貂蝉殿の妹ですか?」
「!」
呂布が黙る。
「どうやって確認したのですか?」
「それは...顔が似ていたから...」
「顔が似ているだけで?」
諸葛亮が少女を見る。
「少女。あなたの名は?」
「...私は...」
少女が口ごもる。
「貂蝉殿の妹なら、名前があるはずです」
「...それは...」
「答えられないのですか?」
諸葛亮の目が鋭くなる。
「では、貂蝉殿の故郷は?」
「...」
「貂蝉殿の好きな花は?」
「...」
少女が何も答えられない。
「呂布殿」
諸葛亮が呂布を見る。
「この少女は、偽物です」
「!」
呂布の目が見開かれる。
「偽物...?」
「はい。おそらく、曹操殿が仕組んだ罠です」
諸葛亮が羽扇を揺らす。
「呂布殿を近江に誘い込み、我々と争わせる。それが目的でしょう」
「...くそ!」
呂布が少女を見る。
「貴様...偽物か!?」
少女が、急に表情を変えた。
「...バレたか」
少女の声が、男の声に変わる。
「忍者...!?」
劉備が驚く。
少女の姿が煙に包まれ、やがて一人の忍びが現れた。
「曹操様の命令だ。呂布を近江に誘い込めと」
「...曹操!」
呂布が怒りを露わにする。
「また、俺を利用したか!」
忍びが煙玉を投げ、逃げ出す。
「待て!」
呂布が追おうとするが、煙で見失った。
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城内。
呂布は、怒りで震えていた。
「曹操...許さん...!」
劉備が呂布に近づく。
「呂布殿...」
「劉備...すまん」
呂布が頭を下げる。
「俺は、またお前を疑った」
「いえ...」
劉備が首を振る。
「呂布殿が、貂蝉殿を想う気持ち、わかります」
「...」
「だからこそ、曹操殿はそれを利用したのです」
諸葛亮が言う。
「呂布殿。貂蝉殿は、必ずどこかに生きています」
「...ああ」
呂布が拳を握る。
「そして、俺は必ず見つける」
「呂布殿」
劉備が呂布を見る。
「私たちも、貂蝉殿を探します」
「!」
「見つけたら、必ずお知らせします」
劉備が約束する。
「...ありがとう、劉備」
呂布が小さく笑う。
「お前は、やはりいい男だ」
「呂布殿...」
「だが、俺は曹操を許さん」
呂布が立ち上がる。
「曹操...お前を、必ず倒す」
呂布が城を出ていく。
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その夜、劉備の部屋。
諸葛亮が訪ねてきた。
「主公。呂布殿は、曹操殿に向かうでしょう」
「ああ...」
劉備が頷く。
「止められなかったな...」
「止める必要はありません」
諸葛亮が微笑む。
「呂布殿が曹操殿を攻めれば、我々には有利です」
「孔明...」
「これも、戦です」
諸葛亮が羽扇を揺らす。
「呂布殿という駒を、うまく使わせていただきましょう」
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一方、小田原城。
曹操は、忍びからの報告を聞いていた。
「失敗した...だと?」
「はい。諸葛亮に、見破られました」
「...」
曹操が舌打ちする。
「孔明め...やはり、侮れん」
荀彧が口を開く。
「丞相。これで、呂布は我々に向かってくるでしょう」
「ああ」
曹操が立ち上がる。
「呂布が来る。あの殺しても死なない化け物が」
「どうなさいますか?」
「...牙を向くなら迎え撃つのみよ
何度でも処刑するほかあるまい。」
曹操の目が鋭く光る。
「呂布を倒せば、劉備への威嚇にもなる」
「ですが、呂布は天下無双の武人。正面から戦えば...」
「わかっている」
曹操が笑う。
「だからこそ、策を使う」
「策...?」
「ああ。呂布を、罠にかける」
曹操が地図を広げる。
「呂布という獣を、狩ってやる」
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そして、美濃。
呂布は、赤兎馬に跨っていた。
「曹操...お前だけは、許さん」
呂布の目に、怒りの炎が燃えている。
「貂蝉を利用し、俺を利用し...」
方天戟を握りしめる。
「必ず、お前を倒す」
呂布が馬を駆った。
向かう先は、小田原。
曹操のいる場所へ――
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各地で、新たな動きが始まっていた。
呂布の怒り。
曹操の策謀。
劉備の苦悩。
そして、織田信長の野心。
すべてが交錯し、やがて――
最終決戦へと、向かっていく。




