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紅い雪  作者: ミンチ
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4章 暖かく、そして

フリケットに拾われ2日目に突入したマフィニカ

掴みどころのない彼女になにかしてやろうと色々ちょっかいを出してみるが尽く失敗、色々フリケットの素を出し抜く方法2考えてみるが…


「布団温めといたぜ? フリケットエクレシア……?」


 マフィニカの低い声がフリケットの鼓膜を撫でる、まるでメスを誘う獣のような声色だ


 そうしている間にも手は頬から下へと動かされようとしており、このまま無抵抗でいればされる事など火を見るより明らか


 しかしそんな誘惑にも構わずフリケットは彼女を思いっきりベットの外へ蹴り飛ばした後、倒れたマフィニカを見下げ布団だけを回収し再びベットへ戻る


「ふん……温めてくれた事だけには感謝します……」


 そう言うと布団をかぶりそのまま深い夢の中へと向かってしまう


 一方頭を掻きながらあぐらをかいた状態で体を起こすマフィニカ、その顔には反省の色はなく次の策を考えているようだ


「ってえ……こういうのはシュミじゃねえかァ……?」


 目的こそ違うが次何をしようと頭を悩ませるその姿はフリケットの想像していた狂犬というより主人にかまって欲しい為にイタズラをする猫のそれだ


 そんな猫耳が生えそうな雰囲気を醸し出していると突然ベットから聞き慣れた声が聞こえる


「……一緒に寝たいのなら好きにすれば良いですよ……たまには誰かと一緒に寝るのも悪くは無いです…」


 こういう言葉を言い慣れていないのか少し緊張していることも感じ取れるだろう、だがマフィニカは先程のフリケットと対照的に言葉を言い切る前に足を動かし言い切った頃にはベットで横になっている


「思ってたより随分随分積極的だったなァ…? さてどういうふうに抱か…」


「先に断っておくが変な気を起こしたらその饒舌な舌ごと頭が吹き飛ぶことになりますからね……」


 マフィニカの言葉を遮りふわふわとした声色からは考えられない物騒な文面だ、流石のマフィニカもこれには怖気付きすんとした表情で静かになる


 数分の間なんの動きのないマフィニカだったが悲しげに瞼を半分閉じながらフリケットの体に手を伸ばす


「(……人の話を聞かないのですかこの馬鹿者は……)」


 仕方なくベットの下の魔法の杖へと手を伸ばそうとするがすぐにその考えは一変する


 マフィニカから伸ばされた腕は彼女の枕になり、向かい合わない形でも軽く体を近づける


「……先に謝るが……この位は許してくれ…」


 先程の闘犬のように強気な姿勢は小さな物に変わっており腕枕している相手を抱こうとしていたとは思えない変貌っぷりだ


 きっと彼女も【誰かと一緒に寝るのも悪くは無い】、否それどころか【誰かの一緒に寝ないと悲しい】と解釈できるほどだ


 フリケットも鬼ではない、そんな悲しげな彼女の腕を拒否することなくただ受け入れる


「(……こんな心地よかったっけか……)」


 久しぶりの人肌、嫌、人を抱いたことはお尋ね者になっても何度かはある、しかしきっとどんなに快楽の強い懐抱(まぐわい)でもこれには勝てないだろう


 暖かく、心地よく、安心する、マフィニカがきっと欲している物だ


 二人の抱擁が続いて居ると気づけば澄み切った朝日がその二人を照らす


 先に起きたのはマフィニカだ、瞼で塞がれた暗闇の光景が朝日で白く塗られ、そのまま瞼を開く


 早朝一番目線に飛び込んできたのはアイボリーの髪、フリケットの後ろ姿だ


 どうやら寝ている間に彼女を自分の体に近づけ腹には腕を回していた、これではまるで愛人同士の光景だ


「起……こさねぇでいいか……」


 反射的に彼女を夢の世界からコチラの世界に戻そうとする為の言葉が独り言に変わる、彼女の寝顔を見ていたらそんな気が失せてしまった


 まるで人形のように綺麗な肌に髪、輝いて見えるかのような可愛らしい美貌、絵画に描かれていてもおかしくはないだろう


 そう考えながら再び瞼を閉じると夢の世界へ戻っていく


 再び元の世界へ戻るといつの間にか腕の感覚は軽くなっていてベットもすっかり広くなっていた


「こりゃぁ…寝起きの顔も拝んでやろうと思ったが…」


 重くなった表情筋を放ったらかしにし、頭を掻きながらベットから立ち上がる


 それと同時にドアが開きそこには出会った時のようにバッチリと決まったフリケットの姿があった


「おはようございます、朝食をお持ちしたので是非」


 立ち上がるために入れた力もすぐに抜かしそのままベットに居ることにした、今回の朝食はパンにホットコーヒー、レタスに生ハムとバターのおまけ付きだ


 その何気ないパンに、生ハムとレタスを挟む。ただそれだけだがバターの香りが鼻腔をくすぐり、そしてコーヒーの苦さは昨日の疲れを少しだけ肩代わりくれる気がした。味わうほどに、フリケットの普段は表に出さない優しさが沁みるようだった


  そんな心優しい朝食を食べていると横からフリケットが柔らかな表情を見せながら話しかける


「美味しいでしょう?この街自慢の食材を使っていますから」


「あぁもちろん最高だよ、金払ってでも食いたいぐらいだ」

 

 マフィニカもいつもの男らしい笑いを見せながら食を進めている、だが突如フリケットの空気が変わりマフィニカに近づく、それは重くピリピリした物で何かを決意したようにも見える


 そんな様子に全く気づかないマフィニカだったが目線の端に彼女が移ると飲んでいたコーヒーを置きそちらに目線を向かせる


「どうしたよ?急に立ち上が…ァッ…?!」


 フリケットは突然マフィニカの頬を掴みこちらを向かせる、急な出来事に流石のマフィニカも頭の整理が付いておらず言葉も出ない


「グランド…ミーシャ…ウロ…ライノ…」


 言葉の羅列を言い始めるとマフィニカの頭の周りに突如黄金色にひかる魔法陣が現れフリケットの目も似たような色に変わっている


「なんだいなんだい……? 冗談にも程ってもんがある気がするが……」


 そんな困惑した様子の彼女も無視していると顎を掴み顔同士の距離が五センチ近くなる


 突然目に映る寝ている時とは違った美貌、事務的とは言えキリッとした雰囲気に何か変な感情が蠢いているのを感じていた


 だが何事か黄金色に輝いていた魔法陣はバチバチと音を立てて色を失いそのまま消えてしまう、フリケットの目も元に戻るが表現は唖然としたものに変わっていた


「アナタ……本当に何者……?」

3度目のミンチです、ぶっちゃけ疲れたで済ませたいです(現在時刻0:41分)


まぁそんなことは置いておいて今回も百合要素盛りだくさんです喜べ

やはり書いてて楽しいものですね強気な女性というのは、今回はあまり深く語ることは無いのでアレなのですが伏線は色々なので見てみるといいかも

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