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紅い雪  作者: ミンチ
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3章 窮屈な寝床

憲兵にやられ瀕死の重症を負ったマフィニカだったが再度現れたアイボリー色の髪色をした女性、フリケットエクレシアに助けられる


助けて貰ったという事実はあるもののどこか怪しい彼女に様々な疑問を抱き…


 マフィニカがフリケットに拾われ早二日目


 あの後は何とか言い逃れできたがこんな自己開示の出来ていない状況では関係の改善もあったものではない、まぁ彼女達がそれを望んでいるかは分からないが


「……どうすっかなぁ……」


 ベットの上で朝日に当たりながら頬杖をつき窓の外を眺めるマフィニカ、かなり絵になっているように感じるが彼女の姿は下にズボン、上は包帯が巻かれてるだけと、そういうシュミには刺さるだろうが絵になる華があるとは言えない


 ガチャリ


 ドアの方向から音が鳴りそちらに目線を変えるとどこか妖らしい雰囲気を醸し出していた前髪を全て後ろにまとめ、ふわふわとした可愛らしい寝巻きに包まれたフリケットがいた


 彼女はその華がない服装を見ると目を細めいつもの調子で言葉を話す


「お召し物を持ってきました、こんな姿で屋敷をウロチョロされては目に毒ですからね」


 昨日よりどこか毒舌さが増している口に顰めっ面を見せるマフィニカだったが少し考えるように黙るとすぐにそれは笑いに変わりさらに笑い声にもなる


「クハハっ……! 久しぶりにそんな言葉向けられたなぁ……」



「気に入ったぜ、フリケットエクレシアさん」


 質素な部屋に自分の笑い声を響かせると衣服を受け取る手と共にフリケットへの握手を求める手も差し出す、きっとお尋ね者と謙遜せずになりふり構わず言ってくれた彼女が嬉しかったのだろう


 そんな向けられた手に唖然とした表情を見せるが少しため息をついた後仕方ないと言わんばかりにその手を握る、その表情はヤレヤレと顔に浮き出てるがどこか嬉しさも混じった表情だ


「気に入ってくれたのは感謝します、ただそのお洋服も気に入ってくれるといいんですが」


 フリケットの事に夢中で衣服に目がいかなかったマフィニカ、彼女の言葉に気づきその洋服を広げてみるといかにも病人向けな無地のシンプルな洋服だ


「ん〜……まぁダサくはねえな……」


 先程の笑顔も顰めっ面に逆戻りするが、致し方なく自分の素肌をその洋服で隠す


 そんな様子をフリケットはまるで愛娘を見る目かのように眺めている、しかしマフィニカはそれが気に食わなかったらしくすんとした表情で口を開く


「こんな美女の着替えなんてマジマジと見るもんじゃねぇぞ? まぁ見たいってなりゃ夜にたっぷり見せられるがな」


 もちろんこの言葉は馬鹿にしようとする意思八割の意味だが彼女の策略にはフリケットの性格を見極めたいという意味も込められている


 何せ彼女は療法している立場にも関わらずこちらが知っている情報が圧倒的に少ない上、まるで植物のように人間臭さも一向に感じられない、これではこの家に連れ込まれる直前の行動も何が意味があると思われても仕方がないだろう

 

 だからこそまたこんなセクハラじみた発言を送る、しかし彼女は眉をピクりと動かしただけで何か大きい反応がある訳でもなくまた淡々と話を進める


「患者が医者に言うセリフではありませんよ、それに私は出会ってまだ数日の方の裸体に興味が湧くほど拗らせていませんのでね」


 夜のお誘いのような話にも余裕ある表情でマフィニカが脱ぎ捨てたズボンと上着を回収して出口へと体の向きを変える


 マフィニカにとってはこれは逆にしてやられたような気分だ、こうとなっては痴女と思われようがアイツの人間臭い部分をあぶり出してやろう、といつか目的がごっちゃになりそうな事を考えるがフリケットの言葉がその思考を遮る


「私は昼間は基本的に一階か庭、夜には向かいの部屋の寝室に居ますから用があればそちらに」


 ただただなんてないこと、何かあった時のタメという理由の発言のはずが先程のような真っピンクの考えをしていたマフィニカには謎のフィルターがかかりこう認識してしまう


 【昼から朝までいつでもお誘いOK、だから場所を伝えておきますね】


 年頃の女性の考えとは思えないフィルターのかかりっぷりだがフリケットには読心術などあるはずもなくそんな考えも知らずに部屋を出て行ってしまう


 今すぐにでも誘いに乗ってやろうと思い部屋を飛び出しかけたマフィニカだったがそれでは面白くない、もっと不意をついたやり方でやりたいとロクでもない事を考えていたら突然天啓のようにこれまたロクでもないことが浮かび上がる


 時は流れ獣も眠る夜


 マフィニカというまるで狂犬のようなイメージの彼女を拾ってしまったフリケットだったが不思議と昼間は変なことをしてこず安心して家事を進めることが出来た


「(かなりの暴れん坊だと聞いてましたが……これは安心して生活できそうですね……)」


 そんなことを眠くなった頭でゆっくり出力しながら重量が増えた瞼を擦りながら自分の寝室へと向かう


 ふとマフィニカの部屋へ聞き耳をたてるが物事ひとつせずきっと既に眠りについたのだろうと思い安堵した表情でマフィニカの部屋に背を向ける


 いっそ彼女の寝顔でも拝んでみようと考えたが失礼なことだと理性が働きそのまま自分の寝室のドアノブを開く


 開いた部屋は親の顔ほど見た光景だ、目もぼやけ早く安らぎのベットへ行こうと足を運びフカフカのシーツへ腰を下ろす


 しかし突撃布が擦れる音がしたと思い後ろを振り返ろうと首に力を入れたが、ドンッと強い力で押される感触が右腕を覆い暗闇のベットに仰向けの状態になる


 一体何事かと目を開くとその先10cmの所にマフィニカの顔が映り暖かい手の感触が頬に現れると共に彼女の低音で心をくすぐる声が耳を撫でる


「布団温めておいたぜ?フリケットエクレシア……?」

2回目のミンチです、前回の後書きが極限に適当で申し訳ございません

前章まで見て「ガールズラブ要素どこ?」と思われた方ご安心ください、たっぷり用意しております♡


ちょっとした裏話なんですがラストシーンのマフィニカが囁く所、最初は最後にハートつけようかと思ったのですがそれやったらなんか負けだなと謎のプライドが働いてナシになりました

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