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紅い雪  作者: ミンチ
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2章 彼女はドナタ

憲兵を振り切ったもののアイボリーの髪をした女性に森へ誘われるマフィニカ

しかしそこにも憲兵が滞在しており瀕死の重賞を負うことになるが…


 どのくらい時間が経っただろうか


 意識はあるはずなのにまだ深い暗闇に居る


 死んでいるかも生きているかも分からない、そんな中頭に反響するような声が聞こえ始める


「イル…アーレ…ヴィタ…リエ…ララ…」


 文とは言い難い文字の羅列、ただ何処かで聞き覚えのあるフレーズだ


 その文字について頭を捻っていると気がついたら深い暗闇にゆっくりと暖色な光が刺してくる


「あ゙〜……んだァ…?」


 照明が目を強く照らし瞼も半分しか開けられない、しかし目がだんだん慣れていくとシックな雰囲気の天井が映り目線の端には星空と自分を隔てる窓も見える


 遂に憲兵に捕らえられたのかと、もしくは既に死んだのかと思考をめぐらせながら上半身を軽く起こすとまるで質素な宿の一室のような場所のベットで寝ていた


 ふと自分の方にも目線をやると上半身は骨盤から胸の下、そして胸から肩まで包帯が巻かれその上に簡素な麻布の上着が掛けられている、下半身は何故か痺れている為上手く分からないがベットの真横に元来ていた服が置かれているため下も変わっているだろう


「手当されてる……死んではねえか…けどあの女は…」


 そして次マフィニカの頭に浮かぶのは自分が意識を失う前、自分の目の前にようやく現れたアイボリーの女性だ


 必死に気を失う前の記憶を掘り起こすがいくら考えても彼女の記憶が思い浮かばない、精々彼女が発したであろう風を切る音だ


 足の痺れも収まり一旦外へ出ようとベットから立とうとするがその時丁度部屋のドアが開く


「ようやく起きてくれましたか、待ちくたびれました」


 その顔に声色、極めつけにアイボリーの髪色、間違いないあの得体の知れない女性だ


 彼女の突然の登場にマフィニカの頭は今にでもパンクしそうだったが意識が終わる最中耳にしたあの音が頭をよぎりマフィニカの目標は【部屋を出る】から【あの女を事情聴取する】に変わっていた


 アイボリーの彼女はそんな事も知らず、すぐそこにある机に薬瓶と夕食らしきパンとスープを起き一息つくと先程意識がなかったはずの女性が突然自分の目の前まで迫っている


 マフィニカは掴みかかってやろうと小走りをするがまだ足の痺れが治まってなかったのか足をくじかせ転んでしまう


「ってえな……あ?」


 少し目線をしたにやると絶世の美女が自分の胸の下敷きになっておりフガフガと何か言っている、悪いと言わんばかりに体を起こすと彼女は軽く咳き込んだあとこう言葉を続ける


「ゴホッ……いきなり命の恩人を殺す気なのですか貴方は…」


 彼女は軽く息を整えるとマフィニカの方へ手を向けその手が白く光る


 少しキョトンとしてその光景を見ていたマフィニカだったが手を向けられ数秒も経つと謎の力で体が浮かされそのままベットへ逆戻りされる


「まだ傷も治りきっていないんです、次変な事しようとしたらベルトでベットに括り付けますから」

 彼女は髪を整え直すとベットのすぐそこに設置されている椅子に座りその手にはさっきのスープとパンが乗っかったトレイが握られている


「こんな美女に括り付けられるのは構わないが……アンタ一体何者だい?」


 マフィニカは彼女に対してセクハラじみた文混じりに素朴な質問を投げかける、だが彼女はそんな言葉気にする様子一つ見せずに淡々と質問に答える


「ただの魔女ですよ、魔女がそんなに珍しいのかしら?」


 しかしそんな淡白な答えに満足が行かないのかマフィニカは次の質問を投げかけようと口を開こうとする、そして口が開く前にまた彼女が話し始める


「まずはこれを食べてください、質疑応答はそれからにしましょう」


 そう言いながらトレイをベットからも手が届く机に置く、マフィニカにとっては何処か鼻につく女だが結局食欲には抗えず何も言わずパンに手を伸ばす


 クリーム系のスープなのだろうか、ベージュのスープに浮かぶ油がテラリと光り香ばしい匂いが鼻の奥をくすぐる


 マフィニカはそのスープをパンと合わせながらすぐに完食してしまう、それだけ美味く感じたのか、はたまた早く色々質問したかったのか


「…こほん…質問があればなんでも答えます、その代わり私からの質問も応えてくださいね」


 トレイを下げると先程の話通り質疑応答の時間を設けるマフィニカは山程聞きたいことがあったが少しづつ絞りながら質問をする


「えーっとまずはなんだ…あんたの名前は?」


 手始めに在り来りな質問から投げてみる

 

「フリケット・エクレシア、好きに呼んでもらって構いません」


 改めてぺこりと軽く一礼をする彼女、そんな姿に少し違和感を覚えるがいちいち突っかかってはいられない、そのまま別の質問を投げかける


「なんで私を助けたんだ?こんなお尋ね者1人抱えるなんてメリットのひとつ無いだろうに」


 自虐も交えつつ最も気になっていたことだ、そんな質問にもフリケットは構わず答えを投げ返す


「はてなんででしょうか……強いて言うならば困っているマフィニカさんが居たからでしょうかね」


 かなりあやふやとした答えにマフィニカの怪しむ心はどんどん強くなっていく、次の質問を考えているとその間にフリケットが口を開く


「そろそろ私も質問していい頃でしょう?」


 マフィニカは少しの間悩むが結局OKを出す


「まぁいいだろう…」

「ありがとうございます、少しデリケートな所ですがね…」


 そのデリケートのくだりにイマイチピンと来なかったのかマフィニカは少し首を傾げ言葉の続きを待つ


 しかし彼女の顔色は鋭くまさにお尋ね者相手に向ける目に早変わりし


「マフィニカさん、貴方は何故憲兵に追われる身になり、裏切り者と罵られ命まで狙われたのです?」


 文字通りデリケートな質問だろう、余裕の表情を見せていたマフィニカも厄介そうな表情を浮かべどう返答するかを目頭を抑え考えているが、彼女もあやふやな回答しか頭に浮かばない


「……成り行きだ……」

ちかれた

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