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魔女と王国と声変わり  作者: 睦月はくろ
第一章 転移編
4/15

金もねぇ!家もねぇ!......詰みでは?

 露店が並ぶ道を歩きながらこれまで手に入れた情報を整理していく。


「まず、どういう理屈かは知らないけど言葉は通じる。だけど、文字は見たことないものだった...。次に、通貨は円ではなく”ガロン”というもの。私の五千円札が紙切れに......悔やんでも仕方がない。そして、最後にここは”カロン王国”という国らしい。そして今いるのが王都”マクラ”という場所......」


 ここまで、出てきた情報はさっき串焼きを売っていたおっちゃんに聞いた。これからは串焼きのおっちゃんには足向けて寝れないな......。


「この世界の情報や知識はまだまだ足りないけど、今すべきことといえば......」


「衣・食・住の確保だよねぇぇ......」


 最悪、服だけは今着ているものがあるけど他はどうだろうか?今の私は一文無し、しまいにゃ家もない、はっきり言って現代のホームレスと何ら変わりない状況だ。いやもしかしたら炊き出しとかもない可能性があるからホームレスより苦しい状況なのでは?


「悪いことばっかり考えても仕方がないか......とりあえず住み込みで働けるような場所を探すとか?」


 とりあえずの目標は固まった。あとはそれを達成するにはどうするかだけど、やっぱ人に聞くしかないよね~、なんて考えながら歩いていると道の途中で人が集まっているところを発見する。なんだろうと思って近づくと、その中心らへんから若い青年の声が聞こえてきた。


「王政という制度はそもそもが間違いだった!前王は絶対的な権力を持っていることをいいことに国民を奴隷のように扱い、私腹を肥やす愚者であった!ゆえに革命軍という野蛮な組織まで結成された!私の友は革命軍に食料と金を強奪され、それに反発した妹が目の前で斬り殺されたそうだ!今は前王の息子が前王を排斥し玉座に君臨しているが、いつ心変わりして前王のように愚物となるか分からない!王の血筋を絶やし、我々民衆が物事を決めていく国を作るべきだ!!」


 遠くまで届くように声を張り上げながら青年は語る。だんだんと言葉の語気を強くすることで聞いている人たちの心を揺さぶろうとした。それを聞いて私は


「ああいう人って異世界にもいるんだなぁ~」


 なんて他人事のようなことを考えていた。だが、今の演説にも気になることはあった。


「どうやら前の王様は独裁を敷いていたっぽい?それに革命軍が国民を襲う?具体的なことは知らないけど、革命軍って王様に対して不満をもっていたんだから王様が敵ってことだよね。それなのに民衆も襲うっておかしくない?」


 この世界の新しい情報を手に入れ、考察する茉央だったが突如聞こえてきた声によって現実に引き戻された。


「あなたたち!ここは露店街よ。ここでの演説等は認められていないわ。即刻立ち退きなさい!」


 後ろにくさりかたびらのようなものを着た衛兵を2人連れた、全体的に顔のパーツがきつめな印象を与える金髪の高貴そうな服を着た少女が人混みに対して立ち退くよう要求した。


「チッ......公爵家。王の飼い犬が.......そんなに王政に対して否定的な意見を抑圧したいか!!」


「別に王政なんて私はどうでもいいし、演説なら広場でしなさい。あそこなら禁止区域じゃないことは分かっているはずでしょ。まぁ人が多く集まる露店街(ここ)で演説したくなるのは分かるけどね」


「意見の抑圧は否定しないのか。見たまえ民衆よ!これが王のやり方だ!国は今も腐敗が進行しているのだ!」


「だから、演説は広場でしなさい!そもそもこの国では言論の自由はあるわ。それにルールを守らない人が抑圧されていくのは当然のことよ」


 そりゃそうだ。一定のルールを守らないと真面目にやっている人が損ばかりするし、過激になると治安悪化にもなりかねない。そうなると衛兵たちが出張ってくるのは必然だろう。


「チッ......くそ!どけ!」


「!待ちなさい!」


 そんなことを考えていると、しばらく話していて分が悪いと思ったのか青年は人混みを掻き分け逃走し始め、金髪の少女と衛兵はそれを追いかけ始めた。っていうかあの青年こっちに向かってない......。


(ああいう奴には関わらない方がいいし、適当に道を開けて.......)


 と、そこまで考えている時にこの状況使えるのでは?っと思わせる一つの名案が浮かんだ。すまないが青年、私のために生贄になってくれ!まずは、向かってくる青年に対して道を譲ろうとする動きをします。次に私の横を通り抜けようとする青年の足をひっかけます。


「っな!?」


 おおう...思いっきりこけたな...。受け身もとれてなさそうだったけど大丈夫か?まあ衛兵に追いかけられるようなことをする奴が悪いとして許したまえ。


「てめぇ!!何しやがる!!」


「ごめんね~。でも私にかまっている時間なんてあるのかな?」


「やっと追いついたわ。さぁ詰所まで来てもらおうかしら」


 赤い顔をして私に文句をいいながら立ち上がった青年に私は注意喚起を促す。すると後ろから金髪の少女と衛兵が追い付いていた。よしよし!そんなに距離が開いていなかったから転んでいる間に追いつけるんじゃないかと思ったけどうまくいった。まぁ青年も私のことなんて気にもかけていなかったから転ぶのも仕方ないかな。さぁ後はお願いします!少女と衛兵さんたち!


「くそっ早く逃げ...」


「”ヒータ”!」


「!?」


 再び逃走しようとした青年に対し金髪の少女は呪文を詠唱し、青年の足元に炎を出現させた。初めて魔法が使われる瞬間を見たけど迫力あるなぁ...と思うと同時に、ここがもう自分の住んでいた世界とは違うことを改めて認識させられた。頭では分かっているんだけどねぇ......。そして、金髪少女なかなかにアグレッシブすね......。


「今から指一つでも動けば、次は当てます。ご安心を当たっても死にはしませんので。ものすごく痛いですが」


「っく」


 完全に諦めたのか青年はおとなしくなり衛兵2人に連れていかれた。一件落着と思っていると、金髪の少女が声をかけてきた。


「協力感謝します」


「いえいえ!たまたまですよ!」


 よし!この状況までもってこれた!あとは友達が一人もいない私のコミュニケーション能力の出番である。


「ではこれで...」


「あのーちょっと待ってくれませんか?」


「うん?どうしたのかしら?」


「いえ~実はここらへんで住み込みで働ける場所を探していまして.....恩着せがましいかもしれませんが、さっきのお礼ということでおすすめの場所を教えてもらえたらなと......」


 そう、私の目的はこれ。見知らぬ素性の分からない道行く人に聞くよりも衛兵さん等の公権力の人たちに聞いた方がはるかに安全だろう。騙されて臓器を売れってことになったらたまったもんじゃない。


「?あなた、スラムの子なの?それにしては服装が綺麗だけど...」


「え~と、それはですねぇ......」


 なるほどそうきたか。けどそう思うのも仕方ない。さて返答をどうするかだけど......

 ①正直に異世界から来たことを言う。

 ②スラムの子として話を合わせる。

 ③でっちあげる。

 この三択かな。まず①に関しては論外。単純に信じてもらえない可能性が高いし、なによりこの世界のことに関して全然知らない。もし異世界人は殺せ!とかいう世界だったら即アウト。次に②だけど...まぁ頑張ればいけそうって感じかな。けどいまの時点で不信感を持たれているし、それなら③の選択肢を使った方が早い。ということで③、君に決めた!!


「実は私とても田舎な村で生まれ育ったんですが、今まで箱入りで育てられてきていまして......。それで常識知らずな部分もあるんですが、それを矯正することと社会勉強ということで、しばらく家に帰ってくるなと言われたんです。それで今、住み込みで働ける場所を探しているというわけです」


「ふーん、あなたの親けっこうな人なのね」


 いえ、嘘です。実の親は幼いころに死んでいます。顔も覚えていないです。育ての親の人たちは私に無関心だったし、私から見ても夫婦間は冷え切っていたしね。ほんとなんで私を引き取ったのかな~いつも疑問に思っていた。

 まぁそれは今置いといて、ちょっと信じてもらえてないけどこれくらいなら何とかいけそう。ていうか咄嗟に嘘をつくのってこんなに難しいの......。私のコミュニケーション能力が低いだけ?


「まぁ教えてもらえましたらあとは私の方で自力で行きますし、あなたに紹介されてきたとは言いませんので」


「なるほどね......」


 さぁ!これでどうだ?だめなら素直に諦めるしかないが......。


「......あなた家事とかはできる?」


「!まぁある程度できますけど」


 これはいったのでは!それに家事とかなら元の世界にいたころから身の回りのことは自分でしていたし、バイト先で学んだこともある。これは勝ったな!


「そう。ならいい場所があるわ。ついてきてちょうだい」


「?場所さえ教えてもらえれば自分で行きますが......」


「大丈夫よ。なんてったって.......私の家なんだから」


「え」


 え?




 


この主人公割とメンタル強いのでは.......

と思い始めた今日この頃

ちなみに捕まった青年は初犯ではないです。何回かあそこらへんで演説していました。

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