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魔女と王国と声変わり  作者: 睦月はくろ
第一章 転移編
31/33

襲撃開幕

 マコトのアズさんの殺害事件から二日後、マオは屋敷の庭の掃除をしていた。あの事件以降カレンの元気が少しないように感じる。根を詰めすぎてなければいいんだけど。

 そんなカレンは今、西区の方まで行っている。理由としては革命軍が王都に出没したということで、王都の警備が強化されたことだ。その警備にカレンも参加している。まぁ私がカレンと最初に会ったのも巡回中にバッタリだったしね。


 あとは、ナトちゃんが今日からこの屋敷で働き始めた。今はリリーさんが仕事について指導している最中だ。チラッと見た時はめちゃくちゃやる気に溢れていた。


「今日も何事もなければいいけど……」


 あの事件の後、王都では不穏な空気が流れている。革命軍が王都襲撃を企んでいるとかそういう噂が流れている。まるで嵐の前の静けさみたい……


『――マオよ、我が来たぞ。もてなせ』


 そんな不安を抱えていると、空からリファが降り立った。そういえば会いに来るとか言ってたっけ。いろんなことがあって忘れてしまっていた。


「リファ、今日はどうしたの?」


『約束通り話をしようとな。王城はなにやら騒がしくて居心地が悪くてな』


「あー…………」


 そういえば、王城でなんかルートさんについて揉めてるとかカレンが言ってたっけ。なんでも賢老会が余計な口出ししてくるとかなんとか。


『そんなことはどうでもいい。今は話せるか?』


「今なら」


 ウーーーーーッ!! ウーーーーーッ!!


『「!?」』


 今なら大丈夫と言おうとしたとき、突如けたたましい警報の音が鳴り響く。この警報って……


【王都の各地区にて革命軍による暴動が発生!王都に居る国民たちはただちに王国騎士団関係の建物かエル教の教会へ避難を!】


 警報の音共に聞こえてきたアナウンスは革命軍の暴動について知らせるものだった。カレンが近いうちに革命軍の襲撃がある可能性を言ってたけど、まさかこんな早くに来るなんて……っ!


 私が驚いていると、屋敷の中からリリーさんとナトちゃんが出てくる。


「マオさん!」


「リリーさんこれって……」


「…………窓から外を見た時、屋敷の門の近くに暴徒が何十人います。恐らくこの屋敷も狙いの一つなのでしょう」


「私たちはどうしますか?」


 カレンは襲撃があっても屋敷で待機しとけって言ってたけど、サンライト公爵家の役目ってこういう時に国を守ることなんだよね。


 リリーさんもそのことを分かっているから、少し考えたのちに私たちに指示を伝える。


「――私たちは革命軍による暴動を阻止、鎮圧します。私とナトさんはこの南区で起きた暴動を鎮圧、マオさんは…………お嬢様のところへ向かってくれますか?」


「私が?」


 一番近いと思う屋敷がある南区での暴動を鎮圧しに行くのは分かるんだけど、私がカレンのところに向かうの? 戦力的に考えてナトちゃんかリリーさんのほうがいいような……


「戦力的にリリーさんかナトちゃんの方がいいんじゃ? 多分カレンはこの暴動に参加しているであろう舞踊の方へ行くと思いますし……」


 思ったことをリリーさんにそのまま伝える。舞踊はそのくらい強い相手だ。応援には強い人が行くのがいいと思うんだけど。私ははっきり言ってウチで最弱だし。


「ですが南区のほうは私が指示しますので、私ならナトさんに合わせて動くことができます」


「はい!ナトは連携できる自信がありません!」


「自信満々に言わないでナトちゃん」


 まぁそれもそうか。ナトちゃんってただの一般人だったしね。デュアルが戦闘向きだけど。まだ慣れていない銃じゃ誤射しそうだし。あれから練習したんだけど、ようやく的に当たるようになった感じ。でも魔力切れを気にせずに魔法を撃てるのははっきり言って嬉しい。


「それに…………マオさんにはお嬢様のストッパーになってほしいのです。いまのお嬢さまはどこか変ですので…………普段なら冷静ですのに視野も狭まっているように感じます」


「…………分かりました任せてください」


 各々のやることが決まり動き出そうとする私たち。そのためにはまず…………


「門の前に居る暴徒を何とかしなきゃですね」


「はい。それは私とナトさんが…………」


『――待て』


 今まで私たちの会話を黙って聞いていたリファが突如話に入ってくる。リファの声は私しか聞こえていないから二人はなんだ?という顔をこっちに向けている。


『マオ…………お前に一つだけ聞きたい』


「今はそんなことしてる場合じゃ……」


『大事なことだ。よく聞け』


 そんな風にゴリ押ししながら話すリファ。その目はマオを見定めるように真剣そのものだ。


『お前はなぜ戦う?自らが弱いと知りながら、なぜ強者に立ち向かう?』


 なぜ?そんなの…………


「――モヤモヤするじゃん。あとから後悔するのは」


 今ならあの時エースが言った言葉が少しわかる気がする。それでも命を投げ捨てるようなことは絶対しないけど。


『――クハハハ!そうかそうか!これは愉快!お前に惹かれたのがなんとなく分かったぞ』


 私の発言を聞いたリファは一瞬目を見開いたかと思うと、自身の翼を広げながら高笑いし始めた。その姿は勇猛で様になってた。

 リファはひとしきり笑うとこちらと目を合わせるように向かい合った。


『いいだろう、そなたを手伝おう』


「いいの?」


『なんだ不満か?我がそなたの剣となり、盾となることが』


 そう言うとリファは私を無理やり自らの背中へと乗せた。


『そなたの剣は風のごとく切り裂き!そなたの盾は何人も寄せ付けず!そなたの足は空を駆ける!――今一度問おう、我では不満か?』


「いや――最高」


 その言葉を待っていたと言わんばかりに鼻を鳴らすリファ。だけどこの追加の戦力はありがたいなんてものじゃない。


「リリーさん!私たちは空から向かいます!」


「はい。ご武運を」


 その言葉を聞き終えるとリファと一緒に飛び立ち、カレンがいるであろう方向…………西区へと向かう。




△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△




 鳴り響く警報、剣戟の音、魔法の応酬…………王都の西区、いや王都の至る所でそれは起きていた。時折聞こえる悲鳴と愉悦に満ちた笑い声がこの状況の凄惨さを物語っていると言っていいだろう。その混乱の中、西区を走り抜ける人の姿があった。


「どこ……どこにいる……!」


 逃げる人たちの流れに逆らうように走っているカレンは怨敵ともいえる相手を探していた。無論それはなにも考えずに走っているわけではなかった。


(恐らくマコトはこの襲撃に参加しているはず!数人の暴徒と戦ってみたけど、そいつらはチンピラとなんら変わりなかった……。多分、革命軍の奴らにそそのかされた連中ね)


 今の状況を整理、分析していきマコトがいるであろう場所を考えていく。カレンはすでに場所に当たりをつけていた。


(チンピラごときじゃ騎士の相手は務まらない…………でも騎士が大勢いる西区の暴動はまだ鎮圧されていない。そして西区の中でも騒ぎが最も大きな場所……!!)


 西区には王国騎士団関係の建物が多く立ち並び、必然的に騎士の人数も他の区より多いものになっている。


 カレンがその場所に向かうと…………


「チッ、またお前かよ……」


「見つけたわよ舞踊真!!」


 何人もの騎士が倒れている中心にマコトは立っていた。街の建物、道はすでに戦闘の後でボロボロで美しい景観が見る影もなかった。

 カレンは杖をマコトに向けて言い放つ。


「さぁ罪を数えなさい!」


「もう両手足じゃ足んねぇよっ!」


 二日前に中断された戦闘が再び始まった…………!






今回少し短いかな?

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