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魔女と王国と声変わり  作者: 睦月はくろ
第一章 転移編
11/16

出動

筆がのったので投稿します。火曜日にも投稿しますので気にしないでください。

 この屋敷で働くことが日常に感じてきたある日……。今日はカレンは外出中である。なんでも貴族の人たちを集めた会議が王城であるらしい。行く前はすっごく嫌な顔で身だしなみを整えてた。なんか時折


「あのクソジジイどもの面なんて見たくないっての……」


 とか小言で言ってて怖かった……。気になってなんでか聞いてみたら、どうやら”賢老会”っていう国王の政務の手伝いやご意見番をしている機関が嫌いらしい。保身馬鹿しかいないくせに、口出しだけは多くしてくるとか、とにかくカレンの口からはいい話は聞かなかった。カレンにここまで言わすのは相当じゃね……?


 ということで屋敷にはリリーさんと私しかいない状態。今はリリーさんと一緒に食材などの買い物したものを、調理室で分けて保管している最中。3人しかいないからそれほど量はないけどね。


 すると、外に備え付けられているチャイムのような魔道具の音が聞こえた。今日はカレンもいないのに来客の予定なんてないはず……なんて思っていると、次に大声が屋敷に鳴り響いた。なんて言っているかは聞こえなかったけど。玄関から調理室までは意外と距離があるからな~、やっぱこの屋敷広くね?


 私もリリーさんも急いで玄関に向かうと、そこには汗をダラダラと流しながら真っ青な顔で”誰かいねぇかっーッ!!?”と叫んでいる、少し見すぼらしい恰好をした中年のおっさんがいた。あまりの気迫に私が気圧されていると、おっさんは私たちを見つけると、すぐさま駆け寄ってきて私たちに縋り付きながら早口でまくし立てた。


「あ、あんたら”サンライト公爵家”のもんだろ!!? 強いって有名な! 頼む! 助けてくれ!!? お、俺の……俺たちの村が大変なんだ!!!!」


「落ち着いてください。まずは息を整えて……」


「そんなのんびりしてる暇はねぇーんだ!!!! 早くいかないとみんな死ぬかもしれねぇんだよっ!!?」


 興奮状態のおっさんを落ち着かせようとリリーさんが言葉をかけるが、それでもおっさんは収まらずまくし立てることをやめない。私はその様子を見て、ただならぬことが起きてると感じた。死ぬとか言ってるしね……だけど、おっさんが興奮してて状況を教えられるような状態じゃない。まずは落ち着かせないと……


「もし、誰かが死ぬかもしれない状況なら、落ち着いて何があったのか話してください。じゃないと助かる命も助かりません」


「えっ、……あっ、…………」


「その通りです。あなたの様子からただならないことが起きたことが分かります。あなたの言う、みんなを助けるためにも、私たちにできる限りのことを教えてください」


 リリーさんと一緒に必死におっさんを宥める。私たちの言葉が通じたのか、おっさんも冷静になって呼吸を整え始めた。一体何が起きてるの…………




△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△




「んぐっ…………ぷはっ……ふぅ……」


 ソファと机しかない小部屋にて、私が持ってきた水を飲んで、落ち着くおっさん。だが、まだ焦っているのか手は震えており、右足は絶えず貧乏ゆすりをしている。落ち着いた様子を見計らってリリーさんが口を開く。


「それで何が起きたのですか? みんなが死ぬかもとは?」


「――あぁ、今日の早朝……俺の故郷の村が魔物に襲われた……」


「「!」」


 おっさんの一言を聞き、驚愕する。リリーさんも目を見開いていて、驚いているようだ。ていうかやっぱり魔物も居るんだこの世界。そんな私たちを尻目におっさんは話を続ける。


「襲ってきたのは、キメラベアっちゅう蛇の尻尾や鷲の爪を持った熊の魔物なんだが……、そいつは村の先にある大森林を縄張りにして森から出ないはずなのに……」


「……村にやってきて襲われたと」


 私の言葉に力なく頷くおっさん。まぁ普通の熊でも命を落としかねないのに、そんな属性過多な熊、それも魔物に襲われたらそりゃ恐怖心も芽生えるか……。私はまだ魔物に会ったことないけど想像するだけで身震いするね……。私は項垂れているおっさんに同情しつつ話の続きを聞いた。


「手を出さなきゃ大人しい魔物なのに、明らか狂暴化しててな……俺含めた村の男たちが相手しつつ、女子供どもはエル教の教会に避難させた」


「魔物の中では温厚なキメラベアが狂暴化していたのは気になりますが……ひとまず被害や怪我人はどのくらいですか?」


「俺が村から出る時には、怪我してたのは男どもぐらいで、爪で引っ掻かれた傷や打撲しているやつもいるが……命に別状はない。村のみんなも教会に神父が結界を張ってくれたから大丈夫なはず……。それ以外は建物に傷をつけられたぐらいだな……」


「そうですか……よかったです」


 うーん、あんまり被害が出てないっぽい? けど、あの焦りようはどう見ても異常だったし、なにより王国の騎士団じゃなくてウチに助けにきたのも引っ掛かるなぁ……。なにかいいようのない不安に絡まれる……


「しかし、なぜ私たちに? 先に王国の騎士団に言うべきでは……」


 リリーさんも同じとこ気になってた。そうだよね、王国の騎士団って魔物の討伐やらも仕事の一つだし。


「あぁ、もちろん騎士団にも助けを呼ぶつもりだ。だが、一刻も早く行かないといけない理由があってな……。それで一番近くにあるここに助けを求めてきたっちゅうわけだ」


「そんなに急ぐ理由とは……」


 不安そうな声でリリーさんが尋ねる。雰囲気も少し暗そうだ……顔は無表情のままだけど。


「――神父がキメラベアを見た時に気づいたんだよ……【魔女】の魔力が付いてることに」


「!!」


「?」


 深刻そうに言ったおっさんの言葉に、さっきより大きく目を見開くリリーさん。一方で私は首をかしげる。なに? 【魔女】の魔力ってやばいようなもんなの? ソティスとか間近で魔法使ってるとこ見てる私に影響とかないのか……? いや、あれって私の夢の中だし関係ないのか?


「恐らく”魔女の残り火”が近くにあるって神父が言ってたぜ……」


「それは……一大事ですね」


 完全に私を置いてきぼりにして会話が進む。すると、頭の中から声が聞こえ始めた。


(大変そうね、ママ)


(! ペルリア!ちょうどよかった説明してほしいんだけど……)


(えぇ、そのために来たようなものだし)


 声はペルリアのもので、どうやら私が困っているのを見て、手を貸しに来たらしい。頭の中から声がする感覚は慣れないけど、こういう時に説明とかしてくれるのはすごく便利だと思う。


(まず【魔女】の魔力のことね、これは別になにか影響を与えるものではないわ。自然中に存在している魔力や誰もが体に宿している魔力と同じものよ)


(? じゃあおかしくない? なんであんなに深刻そうな顔に?)


(ただし、ソティスの魔力だけ例外ね。”魔女の残り火”もソティスが原因で世界中に散らばったものだし)


(ソティスの魔力は魔物を狂暴化させる力があるのよ……”魔女の残り火”にいたっては一度、何かの拍子に魔力を放出し始めると、空気中の魔力を吸って永久的にソティスの魔力を放出するものだから……)


(それって……)


 説明を聞いて、たどり着きたくない答えにたどり着く。ていうかソティスはなにしてんの…………。あれか? 世界滅ぼすとかなんとか言ってたしそれの一環?


(えぇ、つまり魔力を放出している”魔女の残り火”に近づく魔物はすべて狂暴化するということよ。まったく迷惑なものよねぇ。ちなみに大量に狂暴化した魔物の軍勢が村や街を襲うことを”魔物進行(モンスターパレード)”というわ)


(つまり、今の状況って”魔物進行(モンスターパレード)”の一個手前の状況?)


(そういうことよ)


 うわぁ…………そりゃ焦るわ。どうやら、”魔物進行”によって滅んだ街や村もあるらしいし、みんな死ぬとか異様な焦りようにも納得がいった。ていうかそのキメラベアとかいう魔物が狂暴化している理由、間違いなくそれだよね?


「……事情は分かりました。今すぐ出発します。マオさんも一緒に」


「ホントですかっ!! ありがとうございます!!」


「うえっ!? 私もですか!? 私、攻撃魔法とかまだ使えないんですけど……」


 ――正直な話、あまり行きたくない……。魔物とか怖そうだし…………。でも……私でも役に立つことがあるっていうなら行くしかないよねぇ……。


「たとえそうだとしても出来ることがありますので。私一人だと出来ることに限りがありますので……むしろここで助けに行かないとお嬢様に怒られてしまいます」


「会議に行ってるカレンはどうしますか?」


「……一応、部屋に書き置きを残していきましょう。もっとも、”魔女の残り火”があるとなると、会議を中断して、騎士団の人やエル教の方たちと一緒に向かってくると思いますが」


 そう言って立ち上がるリリーさん。その眼は覚悟に染まっていて、放つ気迫に気圧されてしまう。それを見て、私はことの重大さを再確認する。そうだよな……死ぬ可能性だってあるもんね……。そんな不安や恐怖に蓋をして立ち上がる。


「村はどこにありますか?」


「王都から南の街道を走って三時間ほどだ……行くなら注意して行ってくれ。狂暴化した魔物がいつ、どこで出てきてもおかしくねぇんだ……」


「分かりました。あなたはこのことを騎士団とエル教に連絡を」


「あぁ」


 屋敷を出て、門の前まで来た私たち。おっさんはこれから騎士団の方に事情を言いに行くみたい。おっさんは返事をすると、すぐさま走って衛兵の詰所の方に向かった。


「では、私たちも行きましょう」


「はい!」


 元気よく返事をすることで少しでも気を奮い立たせようとする。そうして、私とリリーさんは襲われている村へと向かった。






賢老会は革命後に前王の過ちを繰り返さないために、貴族が王族を止めることのできる機関を作るという名目で発足した機関です。その実、革命後の前王の排斥やハウンドの国王としての即位など王家がゴタゴタの時を狙って、保身重視の貴族が自らの地位を守るために作ったものという王家としてはクソ厄介な機関。多分、出てきても名前だけの存在になる予定。

あと、魔女の残り火の追加の説明もしました。ソティスさんェ……

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