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14話 デジャブ

「ここが森か………。」


初めて見る森の光景にハリーは呆然としていた。

そして、アメリはと言うと森を見て大はしゃぎだ。

飛び回って喜んでいる。


「おい!2人ともしっかりしろ!遊びに来たんじゃないんだぞ!ほら、ハリーはなんの魔法にするんだ?」


「うーん、そうだなぁ………水属性とか?」


「俺は土属性にする。」


「じゃあわたし、光ーー!!!」


「もー!アメリはまだ魔法使えないんでしょ?」


「ヤダヤダ!私も魔法出来るもん!!」


「仕方ねぇ、アメリも魔法試して見るか……。」


「うんうん!!」






森は危険だからと、中に入る前に魔法を試すことに

なった。


「ウォーター!」


ハリーがそう叫んだ瞬間、辺りが明るく光る。

3人は初めて見るその美しい光に目を奪われた。


「………うわぁ!!?お前!その手!!」


オリバーが叫ぶので2人はハリーの手を見た。

そこにはとても大きくなった水の球があった。


「な、なんで!?というか!これどうしよう!?」


「ハリー!はやくそれ捨てろ!!はやく!」


「投げて投げて!!」


オリバーとアメリは大慌てしながらそう言う。

しかし、ハリーは困ったように言った。


「でもこんなの投げたらここら辺が更地になっちゃうよ!?どうしよう、もう終わりだー!!」


そんなことを言っている間にも

水の球は大きくなり続ける。


オリバーは真剣な眼差しで決心をした。


「わかった、俺がその攻撃を受ける!待ってろ!」


「アースウォール!!」


その場がまた明るく光った。

そして大きな土の壁が目の前に現れた。


「ありがとオリバー!!助かった!!投げるよ!」


次の瞬間、ハリーは土の壁に向かって魔法を放った。



………………………………………………。

結果は言うまでもない。

魔法による衝撃波であたりは散々な様子だ。

葉は散り、爆音で鳥は逃げ、

3人も耳がおかしくなった。


「………ハリー、それにしてもすごい威力だな……。」


「それはオリバーもだよ!……。とっても頑丈な壁だった。まぁ、木とかが折れなくて良かったじゃない。魔力調整についてはこれから何とかしていくよ。」


「あぁ、是非そうしてくれ……。」


2人は初めてなのに力を使いすぎたようだ。

疲弊し切っている。

そこでアメリが叫んだ。


「きゃーー!!!」


ハリーとオリバーは疲れなどないように、

いっきにアメリの方向を向いた。

どうした?魔物でも現れたか?と言いながら。

するとアメリは走り出しながら言う。


「うさぎさんが!!」


そこには傷だらけで弱ったうさぎがいた。

周りの様子を見るに、さっきオリバーが出した壁の破片が身体に当たったのだろう。

アメリはうさぎを見て今にも泣き出しそうだ。

そしてアメリは言う。


「ねぇ!このままじゃ、うさぎさん死んじゃうよ!」


ハリーとオリバーも今にも泣き出しそうだ。

そう、2人も普通の5歳児と6歳児なのだ。

しかし、2人にうさぎを助ける術はない。

2人はもう自分の魔法属性を決めてしまったのだ。

1度決めた属性はもう一生変えられない。

今から光属性に転換してヒールを使うことは、

どんなに願っても叶わないことなのだ。


「ごめん、俺らのせいで。」


オリバーはうさぎにそう話しかける。

すると、ハリーもすかさずに話に入る。


「うさぎさん、ごめんね。……もし僕が、もっと考えてから魔法を使ってれば……。」


「……なぁ、このうさぎをオスターさん?って人の家まで連れて行って手当てして貰うのはどうだ?」


オリバーはそう問いかける。

しかし、2人の表情は明るくならなかった。

それは、2人がオスターの家で手当てをした所で

すぐに死んでしまうだろうとわかっていたからだ。

……本当はオリバーもわかっていた。

こんなに酷い傷、応急処置だけで治りっこないって。

それでも、オリバーにはもう1つ思うことがあった。

応急処置の手当により少しでも長く生きてほしいと。

……それが、ただの自分たちの罪滅ぼしでも。


静まり返った重い空気の中、アメリが言った。


「わたしが助ける。」


2人はその言葉に驚いた。

アメリはまだ4歳だ。魔法を使うにはまだ早い。

……でも、もし本当に魔法が使えたら……。

オリバーが真っ直ぐな目をアメリに向けて言う。


「試してみてくれ。今は奇跡を信じたい。」


ハリーもそれに続いて言う。


「アメリ!頑張ってーー!!」



「……行くよ!……ウォーター!!!」


…………その場が明るく!……光らなかった。

やはりダメだったのだ。

アメリの歳は4歳。

魔法が使えるようになる歳は5歳。

彼女にはあと1年、足りなかったのだ。


「……う、うさぎさんが…………ごめんね。」


アメリはうさぎを手に抱きながらそう言った。

アメリの目には涙がたまる。

必死に涙を堪えるが、涙が1滴こぼれた。

その涙は、うさぎの傷口に触れ…………

辺りは明るく……光った。


アメリが放った魔法の効果が遅れてやってきたのだ。

ッッ奇跡だ…………!

うさぎの傷はみるみる内に治り、

元気に飛び回り出した。


「じゃあね、うさぎさん!」


アメリはそう言ってうさぎを森へ放した。



ハリーはアメリに満面の笑みを向けて言う。


「いやー、すごいね!おめでとう!アメリ〜!かんしんしたよ!まだ4歳なのに魔法使えるなんて!」


オリバーも続いてアメリを褒める。


「ほんとだよ!すげぇなー!……てか何でだろ??

4歳はまだ魔法使えないんだろ?……あぁ!!わかった!もしかして、5歳で魔法が使えるようになるってのは目安で、才能のあるやつは早めに使えるようになる!みたいなことなのかもなー!」


アメリはと言うと、自分でもまだ魔法を使った実感がないようだった。まだどこか、ふわふわとしている。しかし、オリバーの言葉には納得したようだ。


「たしかに!多分それだね!」


3人はオリバーのたてた仮説に納得した。

まだ幼く、深く考えることの無い3人には、この程度の言葉で十分なのだ。



「さぁっ!気を取り直していっくぞー!!」


「おっーーー!!」


ハリーの言葉に続いて2人も返事をする。


その時、後ろの茂みから音がした。

ガサガサッ


「ま、魔物!?どうしよう!?オリバー!

何か案はある!?私はもう何も思い付かないよー!」


「俺らって今残りの魔力ギリギリだよな!?……仕方ねぇ、ハリーがウォーターを仕掛けろ!もし魔力が足りなくて倒れでもしたら俺が運んでいく!ハリーじゃ俺のこと運べないもんな……多分これが最善だ。」


「アイアイサー!!了解です!まずは手を音のする方に向けて......」


その瞬間、茂みから何かが出てきた。


「今だ!うて!」


「ウォーター!!」


……ん?熊じゃ……ない?


「おいお前!あぶねぇなぁ!!」


「ひぃぃぃ!ごめんない……って人!??」


ハリーがそう叫ぶと、2人も安堵して言う。


「なぁーんだ!安心したー!」


「熊かと思って焦ったぜ!もう!ビビらせんな!」


そう、その茂みから出てきたのはディビットの師匠、オスターだったのだ。


「おい!おめーら!死ぬところだっただろーが!何だかうるせぇなと思って来てみれば!!またこれか!

この!最近の子どもは危ねぇったらありゃしない!」


3人はオスターの怒り口調に縮こまっている。

それもそのはず、3人は普段あの優しくて穏やかな

教会の司教クラインとしか関わっていないのだ。

突然の短気オスターには堪えただろう。


しかし、ここで最年長のしっかり者オリバーが

声をあげた。


「も、もしかして……オスターさん?ですか?」


その言葉を聞いてオスターは驚いたように言う。


「あぁ、そうだが……なぜわしの名を知る?珍しい客人だなぁ。」



「や、やっぱり!俺たち、オスターさんに用があってこの森に来たんです!」


風が吹き、鳥が鳴く。

木漏れ日が4人を照らし、目を細める。

これはきっと新しい物語の始まりになるのかもしれない。それは、結果的に良いものになるかもしれないし、最悪なストーリーかもしれない。



しかし、それはこれからの彼ら次第なのだ。




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