13話 いざ森へ!GO!
時刻は昼下がり。
ハリー達はディビットの居ない日々を
3週間過ごした所であった。
「はぁ……………。」
「なんだ?ハリーため息なんてついて。」
オリバーはキョトンとした顔でそうたずねた。
するとハリーは何を言っているんだという顔で言う。
「はぁ!?なんだ?じゃないよ!ディビットが3週間もここに顔を見せてないの!!心配してるの!!」
するとオリバーはやれやれという顔をして言う。
「あのな〜、ディビットだって忙しいんだ。そんな日が続くことだってある。そう心配するなって!
きっと明日にはひょっこり出てくるさ!」
「それじゃダメ!もしかしたら何かあったのかも!僕、心配だよ!!」
ハリーはオリバーに詰め寄りながらそう言う。
じりじりと近づいてくるハリーにオリバーはお手上げだと言った表情だ。
このハリーをどうしようかと考えていると、1人の女の子がこっちへやってきた。
そう、アメリだ。
彼女はそんな2人を見て言う。
「じゃあみんなで会いに行こうよ!ディビットに!」
「……なぁ、本当に良かったのか?ディビットは俺らに親身に接してくれるから忘れがちだけど、一応貴族様なんだぞ?こんな孤児の子どもが気安く訪ねて来ちゃいけないだろ。」
オリバーは不安そうな顔で言う。
しかし、それを聞いても2人の意見は変わらない。
僕はディビットが心配だから会いに行く、
わたしはディビットと遊びたい
のそれぞれ一点張りだ。
「こんにちは〜!ディビットくんはいますか!!」
「おいハリー、早まりすぎだ!もっとこう、みんなで何て言って呼ぼうかとか考えてだな……!?」
すると次の瞬間扉が開く。リリーだ。
「あら、誰かと思えば可愛いお客さん達ですね?」
リリーは微笑みながらそういった。
しかし、微笑みとは裏腹に少し悲しげな表情だ。
「ディビットくんはいますか?」
ハリーはそう尋ねた。
「………ディビット様は………お部屋でございます。」
リリーは俯きながら話を続ける。
「……もう3週間、部屋から出てこないのです。何をいっても出てこない。返事もしないのです。ディビット様が生きていることは確認できています。ご飯を部屋の前に置いておくと無くなっていることもあるので。
………私たちはもう、どうしたらいいのか……。」
「僕たちをディビットの所へ連れて行って!!」
ハリーは真剣な目をしていた。
自分が彼を助けるという闘志に満ちていたから。
3人はリリーに引き連れられ、
ディビットの部屋の前まで来ていた。
「おい、なんて言って呼ぶんだ?何か事情があるなら無闇なこと言わない方がいいよな?……」
オリバーは何て声をかけたら良いのだと悩んで固まっていた。すると……
「やっほー!!ディビット!遊ぼー!!」
ハリーはいつもと変わらずにそういった。
「ねぇハリー、これでいいの?いつもとなんも変わんないよねーー!」
アメリはそんなものでいいのかときょとん顔で質問する。するとハリーは答える。
「僕にはこれぐらいしか出来ないよ、何が最善か何て僕の頭では考えられないし、いつもと同じように遊びに誘うことしか出来ない。………あとね、僕はディビットと同じだって信じたいんだ。どんなことがあっても友情パワーだけで乗り越えられる何て軽いことは思ってないけど、少なくとも僕はディビットといる時間が1番楽しい!辛いことも忘れられる気がするんだ。
だから僕はディビットを遊びに誘う。何気ないこの日々が1番の幸せだって僕はすごくわかってるから。」
「んー、難しくってわかんない!でもわたしもディビットとは遊びたいし!手伝うよ、それ!」
「ああ、そーいうことなら俺も!……これが本当にディビットにとっていい事なのかはわかんないけど。」
ハリーの言葉に2人は精一杯答えた。
3人で真剣に、時には笑顔を交えながら会話した。
その時メイドのリリーはと言うと………
「何て素晴らしい友情っ……!もう私は邪魔者ですね………リビングにでも居ます、何かあったら私の所まで来て下さい、それでは!」
リリーは嗚咽しながら泣いていた。
「ディビット〜!おーい!ディビットってばー!」
ハリーは必死に叫ぶがディビットからの応答はない。
どうしたものかと思っていたその時、
アメリが言った。
「ね、ちょっと静かに!何か聞こえない?」
アメリ以外の2人は何も聞こえないという顔をしていたけれど、静かに耳を立てるアメリにならって2人も部屋の中からする音を聞こうと耳をすました。
…………………………………………………。
耳を澄ますと2人は驚愕した。
それは一見何も聞こえず静かに見えるこの部屋だが、中から魔法を連発する音が聞こえたからだ。
そしてハリーにだけは聞こえた。
ディビットのすすり泣く音が。
それを聞いてからのハリー一行はただ事では無いと言うことを感じて、より行動をヒートアップさせた。
「おい!ディビット!!出てこいよ!どうした!?」
「ディビット〜!どうしたの〜!!」
ドアを叩いたりもしてみるが、
中からの反応は一切ない。
そこでハリーが言う。
「……お願い、声だけでも聞かせて……。」
………………………………………………………。
オリバーとアメリは悲しい顔をしてハリーを見る。
しかし、静まり返ったこの場所はオリバーにとっては耐え難いものであった。
だから、ハリーに"今日はもう諦めて明日また来よう"
そう伝えようとしたその時、部屋の中から声がした。
「……帰って下さい。僕はもう死ぬだけなんです。」
「!!死ぬ!?なんでっ!?」
3人は口々にそう言う。
しかし、ディビットは無常にも風魔法を放った。
その風魔法は3人を乗せて玄関へ連れて行った。
あの恐ろしく荒々しい風魔法の姿はもうない。
3人を包み込むようにやさしいものであった。
ハリー達3人は、さすがに諦めて教会へ帰った。
3人は暗い顔をして俯いていた。
それを見兼ねたボスことクラインは3人に話しかけた。ディビットの家で何かあったのかと。
すると3人は少しだけ言うのを躊躇った後に言った。
ディビットが3週間自室に籠っていること、
あとは死ぬだけだと言ったことを。
クラインは驚いた顔をした。
しかし、それは一時的なもので
すぐに真剣な顔へと移り変った。
そして彼は言う。
「森に行ってオスターに会いなさい。」と。
3人はオスターって誰?森のどこにいるの?と質問攻めをしたが、それはクラインにもわからないらしい。
しかし、冒険者時代の写真を見せてくれた。
「この人だよ。」
クラインは集合写真の真ん中で棒立ちしている男を
指差しながら言った。
するとハリーが言う。
「なんでこの人がディビットと関係があるの?」
「この人がディビットの師匠をしているからです。」
そのクラインの返答に3人は深く頷いた。
だから5歳なのにあんなに魔法を使えるのかと。
……………………………………………………………。
するとまた、沈黙に耐えかねたオリバーが言う。
「まぁ、とやかく考えても仕方ない!出発するぞ!」
「ま、待ってください!これを!!」
出発してしまいそうな3人を見て、
クラインは慌ててハリーに本を渡した。
「ん?これはなに?」
「魔法と魔獣について書いてある本です。森にはごく稀に魔獣が出て危ないんです……。オリバーとハリーはもう魔法が使えるはずですよ!それで魔法の使えないアメリを守ってあげてください。魔法は1人1属性しか一生のうちに使えないので、真剣に選ぶように!」
そうして3人は森へと出掛けた。




