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08話 子どもたちの憂い


「着いてきて下さい!ハリー!!」


俺はハリーの手を強く引っ張りながら言った。

あの伝説が許せないという気持ちが

溢れ出てきてやまない。



……だからだ、俺は考え、思った。

もしも町の人達がハリーの優しさを知れば、

この伝説は嘘だったって思ってくれるんじゃないか?

本当のハリーを知れば、今までのこともぜーんぶ忘れて仲良くしてくれるんじゃないか?

なんてことをだ……。


だってハリーはこんなにも優しい!

よそ者の俺にも声をかけてくれてくれて!

俺なんかの友達になってくれて……。

だから、だから……!!

こんな風にたまたま良い家に転生しただけのクズが

優遇されて、なにも悪いことをしていないハリーがみんなから迫害されるのは納得がいかないんだ!!











「ねぇ、ここってなんの集まり?」


ハリーは教会の前に大勢の人が集まる様子を見ながら言った。

まぁ、大勢とは言っても

30人ほどの人が居るだけなんだけどな。

世代は偏りがなく、老若男女均一って感じだ。


「これは教会のステンドグラスを掃除するために有志で集まった人達ですよ。ほら、あのステンドグラスすごく汚いでしょ?」


俺は少しだけ笑い、冗談めいた感じで言った。

するとハリーは………


「確かに!!あのステンドグラスはもうステンドグラスじゃあないよ!」


と笑った。

ハリーが笑うと嬉しい気持ちになるなぁ。

そしてひとしきり笑った後にハリーが僕に言った。


「じゃあ、僕達もあの掃除に参加するって事でOK?」


「その通り!僕らも一緒に手伝いに行こ!」



………………………………………ふふふ………

これは作戦だ。

ここに来ている人達にハリーのいい所を見せて、

仲間につけようって算段がある……。

上手くいくかは分からないが、

ここは僕の頑張り次第だと思う。

よーし!!頑張るぞー!!!!








「ハリー!まずは元気に挨拶からだよ、僕が手本を見せるから見てて!」


えーっとどの辺に挨拶しに行こうかな〜ってあれは!

あの時遊び部屋で会った女の子と男の子じゃないか!

話したいことは色々あるけど…………

あの二人は仲良くしてくれないのが確定してるしな。

違う人にしておこう。

あっちにはお年寄りの集団……

きっとお年寄りになればなるほど、こういう伝説系の偏見は強いだろう。却下だな!

……………もう!どこにも行けないじゃないか!

仕方がない。どこにも行けないのなら、

ここはもう全員に向かって言うしか……


「こんにちは〜!…………。」


そういえば俺はコミュ障である。全然忘れてた……。

どうしよう、ハリーにお手本するとか言っちゃった。

恥ず………。


しかし、俺の心配はよそに

次第に周りから声が聞こえてきた。

そこに居た人達が返事をしてくれたのだ。

うぅ……ありがてぇ……。

めっちゃ嬉しいよ……ほんとにありがとう!!


みんなが優しく対応してくれたお陰で俺のメンツは保たれた。だから俺は調子に乗って自慢げに言った。

本当に俺ってば恥ずかしいやつだ。


「こうです!ハリー!真似してみて下さい!」


「えぇ、僕はそんなに上手くできないよぉ……」


「そんなことないですから!ほらほら!」



そう言って俺はやや嫌そうにしているハリーの手を

無理やり引っ張り、みんなの前に出した。

自分だって周りの助けがなければ大変なことになっていたはずなのにな!!

ごめんハリー!図々しい俺で!


そしてハリーが……


「こんにちは!今日1日よろしくお願いしますっ!」


と言った。

おぉ〜!上手じゃないか!多分俺の数倍上手いぞ!?

さすがにこれはいい反応待ったなし……

…………………………………………。

なんだ?この違和感は。

なぜ全員無視をする?

………。あぁ、もしかして聞こえなかったのか?

そうだよな!きっとそうだ!!

次こそは頑張ろう!!






「ハリー!次はあの辺を手伝いに行きましょ!」


「そうだね!なんか大変そうだし!」


そう言って俺たちはバケツの水汲みをしている班に声をかけに行った。


「何かやることありますか?手伝います!」


俺たちは2人でそう言った。

しかし、バケツの水汲みをしていた人は少し困ったような顔をして、


「あ、あぁ……ごめんな?君たちにはまだ無理かもしれない。……そうだ!暇ならディビッドは花の水換えでもしてきなよ!……そっちのは……ゴミ捨て場でも掃除してきたら……?」


!???

はぁ?今なんて言った?さすがにこれはないだろ。

こんなに小さい子に向かって。

前世だったら即訴えられていた案件だぞ!?


…………………………………………………。

しかし、俺たちにこの仕事が出来ないのは

一目瞭然だったな。

ハリーを無駄に傷つけてしまった。

ごめんよ、不甲斐なくて……。






「ごめんなさい、ハリー。いつも僕が余計なことをして。今日はこの辺で辞めにして散歩にでも行きましょうか。」


「いいや、僕は全然大丈夫だよ!むしろこっちこそごめん!!いつも嫌な思いさせて…………でもまぁ、

今日はもう辞めて散歩に行きたいかな?」


うぅ……ごめんハリー……

やっぱり辛かったよね…………。



俺は、次から行動に責任を持とうと決めた。

悲しむのは俺ではなくハリーなのだ。

しっかり考えてから行動に移さないとな。






そんな事を考えていると

少し離れたところに人が見えた。


「んー?あれは……あの時の!!」


そう、そこにはあの時遊び場で会った

女の子と男の子がいたのだ。

………………………………………………………。

何か……様子がおかしくないか?

あの2人は今、大人4人に囲まれている。

………………………………………………………。

……それだけならいいのだが、

2人とも大人から怒り口調で話しかけられて

困っている様子だ。

…………いくらハリーを悪く言った人間とは言え、

子供は子供だ。

ここで助けないのは間違っている!

…………とは思う。


でも!!!今、俺の隣にはハリーがいるんだぞ!?

彼は、今もなお虐められている張本人。

物心ついてから毎日辛い思いをしてきた。

「アイツらのことなんて放っておけばいい。」

前世の虐められていた俺ならば

きっとそう言っただろう。

…………だから、俺には出来ない。

気が引けてしまうんだ。



そうだ!そうだよ!!

俺はハリーのことを1番に思って行動するって決めた

じゃないか!

俺の行動は常にハリーを不幸にしてきた!

だから俺は無駄なことなんかしない方がいいんだ!

そうだ!きっとその方がいいんだ!

ここで2人を見なかったことにして、

逃げてしまえばハリーは辛い思いをしなくて済む。

それに、きっとここで見捨てたってきっと誰かが……


その瞬間ハリーは走り出した。


「待って!ハリーどこにっ!!」


あぁ……そうか、

ハリーは俺が思っているほど弱くなかったんだな。

………………。いいや、違う。

君は俺なんかよりよっぽど強いんだな。








俺の予想通り、ハリーはあの2人の所へ助けに行った。俺も加勢しないと!



近くに来ると2人と大人の会話が良く聞こえた。

状況はあまり良くないようだ。

………………ここでハリーが見捨てていたらどうなっていた事か。






【2人と大人の会話】


「だから!俺らもって言ってるだろ!」


あの時の少年はそう怒鳴った。

緊迫した空気が流れる。

しかし、間髪をいれずに1人の大人が言葉を返した。


「いいや!だめだ!お前らは孤児だろ!?きっと犯罪者の子どもに決まってる!そんなやつらとはいっしょに居れないし、配給もわけれない!」


「はぁ!?それは規約違反じゃねーのか!?」


少年は大人の方ににじり寄りながら必死に

規約違反だとうったえた。

しかし、まただ。少年は否定をされる。

大人は規約書を少年に見せるようにしながら言った。


「いや、合ってる。だって規約には掃除に参加した市民に配給って書いてあるだろ?お前たちは孤児で、どこから来たのかもわからない。はなから配給を受ける権利なんてないんだ。」


「それは!…………そうかもしれないけど……。

…………………………………………。じゃあ、せめて!

せめてこいつにだけでも配給を分けてくれないか?

今日は掃除に参加するからって昼飯がないんだ。

こいつ……腹空かせててさ……。」


「ダメだ。ルールはルールだ。あ、それともアレか?

今ここで俺の靴でも舐めるか?そうすれば考えてやってもいいぞ!」


大人たちは嫌な笑みを浮かべながらそう冷やかした。



…………しかし次の瞬間。少年は地面に膝をついた。

そう、彼は隣の小さい女の子のために靴を舐めようとしたのだ。


「おい、こいつマジかよ…………。」


大人も本気で言っていた訳では無い。

多少の計算違いにたじろぐ。

少年は苦痛の表情を浮かべながら

少しづつ体を屈める。








その瞬間、1人の勇気ある少年が割って入った。

そう、その少年はハリーだ。


「悪人めー!!やーめーろォォーーー!!!」


その言葉に少年と少女は驚いた顔をして言った。


「ハリー!なんでお前がっ!!」

「ハリーくん!助けに来てくれたの!?」


少年は険しい顔をして言ったが

ハリーは気にせず、大人をポコポコと殴り続ける。

悲しいが、大人にこの攻撃はまったく効いていないようだ。そこで大人の1人は言った。、


「ハッ!そんなの全く効かないさ、ちびっ子!!

というか、お前も孤児じゃないか?まとめて去れ!」


な、なんという悪役的セリフ…………。

これ中ボスぐらいからしか言っちゃいけないやつ!!

……………………。

なにはともあれ、2人だけが危ない状態から、

ハリーまで危なくなるという事態になってしまった。

3人がピンチだ!ここは助けに入らなければ!

俺はみんなの所へ走って行った。




「辞めてください。皆さん!」


……いや〜、ちょっとうざいか?

後から来たくせに、こんなマセガキみたいな感じ。

いや、普段からこんなんか。

現に中身はそこそこ大人だもんな、そりゃマセるよ。


すると大人たちが言った。


「はぁ!?どうせお前も孤児だろ!去れ!」


!!?なんだと!?暴論すぎる…………。


「なんですか去れって!それになぜ孤児だからってだけで嫌がらせするんです?恥ずかしい人ですね!」


そう言うと大人たちの顔はみるみると赤くなった。

そして、彼らはその赤くなった顔を歪めながら

精一杯の虚勢を張って言った。


「お、お前!許さねーぞ!いいのか、孤児のお前がそんなこと言って、この町に住めなくしてやるぞ!」


「いーですよ!出来るもんならしてみて下さいよ!」


俺も精一杯の虚勢を張って言った。

そう、俺とて中身はただのコミュ障なのだ。

こんな大胆な行動、さすがに冷や汗ダラダラだ。


するとここで黙っていたいじめっ子少年が口を挟む。


「おい!俺らがほんとに町に居られなくなったらどうすんだよ!勝手なことばっかり言って!」


そう言って少年は苦い顔をした。

だが、大人たちはその表情を見逃さなかった。

それを見て大人たちは図に乗る。


「ハッ!いいのか?大人に逆らって!本当に街にいれなくな…………」




その瞬間、大人たちのうち、脇にいた1人が顔を青くした。みるみると表情が絶望へと変化する。


「あ……はぁ、ちょ、ちょっと待ってくれ…………!」


周りの大人たちは、その男が明らかに異常になった

様子を見て心配した。


「???おい、どうした?お前、大丈夫か?」


そう問いかけるも、周りの心配は彼へ届かない。


「ちょ、お前らはいったん黙ってろ!!」


すごい剣幕だ。なぜ突然……。

……すると男は突然にこちらを向き、

深々と土下座をした。

はぁ!?どうした!ついに頭おかしくなったか!?

さっきまで俺らに嫌がらせしてたんだぞ!?

こいつ気分屋にもほどがあるだろ……。

ちょっと引くわ………………。



男は言った。


「申し訳ございませんでした!どうか、どうか無礼をお許しくださいませ!!!」


……なんだ?なんだ?

ここにいる全員がそんな顔をした。

もちろん俺も例外では無い。

……しかしなぜだ。男は未だに頭をあげない。


それをこの男の仲間たちはよく思わず言った。


「おい!なんで孤児なんかに頭下げてん……」


「お前は黙れ!見ろ!ディビッド様なんだよ!」


男は食い気味にそう言った。

しかし、それを言われた男はいまいちなんの事かわかっていない様子だ。


「だからなんだよ。??」


その言葉を聞いて土下座中の男は

さらに顔色を悪くした。


「お前……わかっていながら言ってるのか?ディビッド様だ!ここの次期領主がここにいるんだぞ!?」


………………………………………………。

辺りは1度静まりかえった。

しかし、少しの間を置いてすぐにその静寂は消え失せ

辺りはまた、喧騒に包まれた。


大人たちは慌てた顔をして次々に言う。


「お前が……あ!いや!あなたがディビッド様!?」


「も、ももも申し訳ありませんでした!」


「どうか無礼をお許しください!」



…………はぁ。つくづく呆れる。

謝るのは俺に向けてだけか?

違うだろ。俺以外の3人にも謝れよ。

それに俺がモルガン家の人間だってわかってからの

この手のひらの返しよう……。

本当にどうしようもない。


「今さら何ですか?もうすべて遅いですよ。」


俺はそう言いきった。大人は絶望の眼差しだ。

まぁ、こいつらは自業自得だから

可哀想とも思わないがな。

すると大人の1人は言った。


「そうだ!この配給を差し上げます!特別にそこの孤児たちも含めて4人全員に!」


…………………………。だめだ。

もう救いようがない。せめてもの哀れみをかけようと思ったがやめておこう。


「もういいです。それも要りません。」


また俺はそうはっきり言い切った。

しかし、今度はさっきと違い割って入る者がいた。

そう少年だ。


「おい!それは困る、俺らの昼飯はどうするんだ!」


少年は必死に訴えた。

まぁ、元の目的は昼飯の確保だったもんな……。


そして、こんなことを話していると大人たちは

そうだそうだ!と話に便乗してきた。

大方配給を渡して許して貰おうと思ってるんだろうな、浅はかだ。

……あぁ、恥ずかしいやつら〜!!



「お2人とハリー、あなた達は僕の家で昼ご飯を一緒に食べましょ!配給よりおいしいですよ!」


そういうと少年は……


「まぁ、それならいい。よろしく頼む。」


と言った。


「じゃあ決まりです!家まで案内するので着いてきて下さいね!」




こんにちは、初めまして!作者です。

いつも読んでくれているそこのあなた!

ありがとうございます!本当に感謝しかありません。


突然ですが、最近キャラクター増えてきたなって思ってませんか?当然覚えるのも大変かなと思います!

なのでキャラ一覧をしれっと割り込み投稿しておきました。是非わからない人が出てきたら見て下さい。



報告は以上です。

更新速度は他の人と比べて非常に遅いかと思いますが、

どうぞ最後まで見て頂きたいです。

あと、もし良かったらブクマ等して欲しいなと……!

日々の励みになりますので!


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