嘘を手紙に滲ませた話
高校教師である父が事故死し、主人公は中学1年生の弟と二人で生きていく事になった。自身もまだ高校1年生だが、弟を守るために、家の書類関係の管理や、貯蓄のために毎日バイトする生活を一人で担う決意をする。2年後、高校3年生となり進路を決める時期だが、今の生活が手一杯で将来を描く事が出来ず、ひとまず就職しようと考える。ある日、父の昔の教え子から父宛てに数年ぶりに手紙が届く。当時海外にいたため父の死を知らず、また手紙のやり取りをしたいと頼まれる。父が居ない事を知らせるために返信しようとするが、教え子からの手紙は、父が今も近くに居るかのように感じられるものだった。このまま自分が父のフリをしていれば、これからも父を感じられるのではないかと思い、主人公は父になりすまして手紙を返信し、やり取りを続ける事にする。しかしそれが、今後自分を苦しめる事になる。