クリフの苦悩
「クリフよ・・・そのことについては本当にすまなかった・・・わしも最初はおまえさんに対して憎さしかなかった・・・こんな風になったのはあんたのせいだって・・・しかしな、今回こういう風にみんなに声をかけたときに、わしたち自身の問題も知った」
フランクさんはそう語る
「・・・」
その言葉をクリフは黙った聞いていた
「ここにいる者たちは話し合いを望んどる。タケシさんの言う通り暴動などしないそんなみんなだ・・・しかし、話をした者のほとんどはクリフを排除してしまおうという連中ばかりだった・・・あいつがいる限り自分たちにお金が回らないと・・・結局は自分の身がかわいい連中ばかりだとな・・・」
そういってフランクさんは沈黙した
少しの間の後カートレットさんが話す
「けど、クリフ!あなたが今までやってきたことはけしていいことではないわ!お金の問題もそうだけど、何より私たちに対してやったことそれはあまりにひどいことよ!!」
「では、どうやって町を維持するというのだ!!お金がなければ財政は回らない!!そんために商品の値上げそして買取りの値下げは致し方ないだろ!ギルドがくれば品物も流れるかと言ったら金額を安くしてギルドで独占!!そんなことがあれば敵視するだろ!!」
カートレットさんの言葉にクリフは反論する
「わたしの苦悩を横目にのうのうとギルドで買い物・・・それが憎かった!!その者たちが許せない!!」
クリフはクリフなりに苦悩していた・・・
しかし、その怒りの向け方が違った
町の人々への憎悪という形になっていたのだ
しかし、それはどこか子供っぽくもある・・・
うまくいかないのはみんなのせいだ!!的な
まぁ、それだけ大勢を束ねるのは大変
ましては町一つ・・・
そうなると多くのことを考えないといけない
それを一人で出来る器ではなかったのだろう・・・
なおのこと人との話し合いまた、相談できるような
そんな機会があればよかったのにな・・・
「クリフよ・・・だからじゃ、もう一度やり直さないか?」
フランクさんが言う
「何をどうやりなおす!?ここまでやってもなにもかわらない・・・ギルドへの流れを抑制しても・・・商人たちにお金を流しても・・・なにもかわらない・・・」
クリフの声はすこしずつ小さくなり途切れる
・・・
正直この展開は考えてなかった
クリフを排除または行動を抑えることで
問題は解決すると考えていた・・・
しかし
そうではなかった
クリフも悩んだことを今人々に伝えた
そして、その苦悩にフランクさんとカートレットさんが気づいた
そこからクリフの排除ではなく共に更生する道を
この人たちは望んでいる
そのことを今この状況が示している
人々はクリフとのやり取りの際
彼の話を聞いていた・・・
つまりクリフを無視して何か起こそうというわけではない
そういうことなのかもしれない
だとしたら一つ確認したいことがある
「クリフさん・・・あなたに聞きたいことがあります。それはあなたの周りにある不穏な噂です。一説には町の者を金で雇ったものに襲わせたとか・・・さらには口封じで消したなんてのもあります。」
話を聞いてクリフはすこし笑いながら
「そういうもんさ・・・人ってのは・・・はっきり言うと、町の者に嫌がらせはした。こらは認めよう・・・だが人を殺しだのはやってない。もし本当に死んでいたとしても私ではない。」
「では町の人の暴行は認めると?」
「そうだな・・・さっきも言った通り、ただ憎かった。いいだけ甘い蜜を吸って手のひらを返していく人間がな・・・」
どこまで信じていいのか微妙だがひとつはっきりしたのは
町の人たちへの嫌がらせはしていたということだ
そこをおさえてフランクさんたちに聞く
「フランクさん・・・今聞いたように彼は町の人たちを憎んでいる・・・そして、行動をしてしまっています。それでも彼を含めてやりなおすと?」
「ふむ・・・それはわしたちも同罪だと思ってる。さっき言った、いい時だけ頼っていたそれは本当のことだからな・・・」
そういってこちらを見る
「正直クリフさんがどこまで本当のことを言ってるか・・・それは疑問ですよ?」
「そうだな・・・しかしなんじゃ、ここでクリフだけを敵にしても多分、この町は同じことの繰り返しなんじゃ・・・」
ここまでの流れでくると
クリフをどうこうではなく
町の抜本的な見直しが必要だ
それには・・・
「みなさん!!集まっていただいてありがとうございます!!みなさんの意思、それはフランクさんとカートレットさんと同じであるとそう思っていいですか!?」
大声で人々に語り掛ける
「もしよかったら手をあげてください!!」
意思の確認をする
すると手が一斉にあがる
「わかりました!!ありがとうございます!手をもどしてください!!」
そう呼び掛けてクリフへ向き直る
「見ての通り、フランクさんとカートレットさんの意思と同じということは・・・クリフさん、あなたを含めた町の立て直しを考えなければなりません」
その言葉をいうと呆れたように
「だから、立て直しなどできんよ!」
否定的にいう
「だとしたら、クリフさん。この町を捨てて出ていくしかないです」
「!?俺がつくったこの町から出ろと!!」
この発言には周りも驚いたようでざわつく
「はじめはあなたが作って運営していたかもしれません・・・しかし、今はそこに人が住み集団での営みが有ります。それをあなたは管理できなかった・・・本来ならもっと暴力的に終わってもいいことです。しかし、人々は全員での再建を望んでいます。そこに再建の意思がなく話すことすらしない人間がいても仕方ないのではないですか?それとも、自分は残って他の者を追い出しますか?」
自分の言ってることはかなり極端だ
タバコやめますか?人生やめますか?ぐらいに極端だ
しかし、それぐらい強引に進めないと
今を起こってる波をうまくのせることができない
これはある意味賭けだ
「出ていけか・・・そうだな・・・私にはみんなをまとめる力がなかったのかもな・・・そんな人間がいても・・・」
言いかけたとき
「クリフよ、だから話さんか?みんなと?」
フランクさんが話しかける
「そうもう一度、話し合って今後を決める・・・そんな時間があってもいいと思うの」
それにカートレットさんが続いた
「話すか・・・」
クリフはそう言葉にしてすこし考えて
「わかった、話し合いをしようか・・・」
そう答えた
フランクさんとカートレットさんの顔にはすこしの安堵感がただよう
「では、日をあらためて話し合いの場を設けましょう。そして、それまでにここにいる皆さん以外の考えをまとめてください。もし、この町を出るという考えの方は引き止めず、それが商人でも普通の人でも」
そのように少し現実的な話をまた話す
その空気を読まない発言に
「おっさん、今はその話するところか?」
イルが聞いてくる
みんなも空気に水を差した感があるのか
冷めた目で見られる
ドMなら歓喜する状況だろうがいたって冷静に返す
「話がまとまったなら早く動くが得策だからな、あとクリフさんにも言ったが話し合い、または町の再建に興味がない者がいたら足を引っ張る・・・ここは残酷かもしれないが、割り切って考えるこも必要なんだよ」
そうイルに告げる
その言葉に普段の俺の姿が追い付かないのか
すこし驚いたようだった
そして
「今回は町の再建についてなので近隣の村であるムスカ村からトーマスさんとニックさん、そしてギルドからハイツさんを話し合いの場に同席してもらいます。正直みなさんクリフさんに懐疑的な目線を持っていますが今回のことでそこは個人的な感情を抜いて話を見てもらい力が貸せるような立場で見てもらいます」
かなり事務的に聞こえるが今回は政治を担ってる
人を助けるなら人情も必要だと思う
だが、今は人情より冷静な考えがものをいう
「わかった、わしらで話をまとめよう」
フランクさんが答える
「お願いします。クリフさんは商人の方面に話をしてください」
「・・・わかった」
神妙な面持ちで返事が返ってくる
「今回は僕も参加して、ある案をみなさんに提言したいと思ってます。ここで言ってもいいのですが、一度皆さんの話を聞いたうえで改めて話したいと思っています」
そう告げて
クリフさん、フランクさん、カートレットさんの顔を見る
一人一人に了解の意をこめて
「「わかった」」
「わかったわ」
それぞれの返事を聞き
「では今回はこれで解散にしましょう。みなさんお疲れ様でした。」
そう声をかけた
「ではみんな今回はありがとな!!」
フランクさんがみんなに叫ぶ
「「「「「「おー!!」」」」」」
その声に人々は康応する
その中カートレットさんが近づいてきた
「タケシさん・・・今回はありがとう。町のいいきっかけになったわ」
そう告げられたが
「まだです」
「え?」
「これからなんです。もしかしたら今回で終わっていたかもしれません。しかし、皆さんの思いを成し遂げるには・・・これからの話し合いが大切なんです」
そう返した
「・・・そうですね・・・これからもお願いします。」
カートレットさんが頭を下げる
「それは本当に町が立ち直って皆さんが生きやすい・・・そんなときに取っておいてください」
そうカートレットさんに言った
「はい」
カートレットさんから返事をもらい
そのまま周りをみる
人々は散り散りに去っていき
そこには当初の八人とクリフ、そして最初に絡んできた男たちがいた
遠巻きにはギルドの冒険者であろう人間も見えるが
人々の解散と共に彼らも消えていく
少しずつ静かになる
そのなかクリフは何も言わず屋敷に帰る
そのあとを男たちが追っていく
それを見届けて俺たちも解散するのだった




