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異世界召喚は仲間はずれから  作者: 桂 総司
第1章 主人公、この世界を生き抜く術を学ぶ。
8/18

7話 初めての対人戦

初めての戦闘回です。


「じゃ、行ってくるからメイスとお留守番よろしくな。」


湊夜は「はい」と言ってメイルを送り出した。

この道場は村の警備も担当しているため、何かあったら解決しなければならない。今回、村の近くにある迷宮ダンジョンで、強い魔物が出たらしい。今回はその魔物を倒しに、わざわざ師匠が出た。


「久し振りに弟子達の戦いぶりを見なければな」ということらしい。


「じゃ、いつも通り二人で稽古しようか。」


「そうだな。」


いつも通り二人で稽古をした。先ずは訓練所300周。500周はもうしない。地獄だったらしい。


二人は難なく300周を終え、魔力操作のトレーニングを行う。約30分操り続ける。


「いつもはいろんな声が聞こえるのに、今日は何も聞こえないからすごく不思議…」


「そうだね、師匠の大きな声とかも聞こえないしね」


「おばさまもいないもんね。本当に二人っきりって感じだね」


メイスは少し顔を赤くして言った。湊夜は気付いていないが。


「う、うん。そうだね…」


(い、今二人っきりなんだ…こ、こんなに美人な人と…)


「ん?顔赤いよ?熱あるの?」


「い、いや、大丈夫!」


「そう…よかった…」


(うっ…やっぱり可愛い…)


湊夜はメイスのことが好きになっていた。1ヶ月間、いろんなことを教えて貰って。色んなことをして。いつの間にか好きになっていた。


「よ、よし!もっと鍛錬して黒に辿り着いて、旅をしてやる!」


「うん!ソウヤ、その意気だよ!」


(でも…旅に出たら…メイスに会えなくなっちゃうな…)


湊夜はそのことを気にしていた。彼にとって2番目に大事なことだ。好きな人と離れたくない…そんな想いだ。


(1回誘ってみる…?ま、無理だろうけど!はぁ…悲しい…)


なんか自暴自棄になり始めた湊夜。


「なんか考え事?」


「い、いえ!なんでもありません!」


(そんなこと考えてないで、特訓特訓!)


気持ちを入れ直し、魔力操作の練習をしようとした時。


「ん…?気配感知に引っかかった?」


「うん。私も引っかかった。」


気配感知とは、クローズ流の技の一つである。あたりの魔力を操作し、気配を感知する魔法である。魔力操作より難易度が上がる。二人は鍛錬のために常時展開している。


「この不穏な気配…害意があるわね。」


湊夜も無言で頷く。だんだん近づいてきている。


「どうする?」


「もし襲ってきたら、メイスは少し時間稼ぎを頼む。その間に減少魔法ダウン・マジックで相手のステータスを下げる。」


「了解したわ」


場に緊張感が漂う。気配はもう扉の近くまで来ていた。


「小っこい道場だ。そこのガキども、ここで一番強いやつを呼べ。」


「まずは貴方のお名前を教えてください。」


「ア゛ァ゛!?ガキが調子乗ってんじゃねえぞ。まあいい、俺の名前はトールだ」


「知らない方に、それも事前に連絡もなかった方に名前を聞くのは当然でしょう?トールさんですか、今日はどういったご用件で?」


「ふんっ。ガキじゃ話になんねえんだよ!さっさと呼んで来やがれ!」


「呼ぼうにも、うちの師匠は外出中です。後日来てください。」


「あ?使えねえガキだ。丁度いい。暇だから相手しろよ。」


「俺達が相手してイイっすか?旦那」


「あ?いいぜ、お前らがやっちまいな。」


ボスっぽいやつの後ろから、わらわらと人が出てきた。


「メイス。俺は援護する。メイスは前衛をよろしく頼むぞ!」


「分かってるわ!はあっ!魔力強化スペル・アーマー!!」


メイスの身体から黄色の魔力が溢れ出した。身体中に魔力が行き渡った後、彼女は敵の懐に入り、溝落に向かって殴る。


「グハァ」

「グベッ」

「オエッ」


「『汝に罰あり 憑依』」


「うっ…なんだこれは…体がすごく…重…い゛…」


「よし、俺も行くぜ!はあっ!魔力強化スペル・アーマー!おりゃっ!」


湊夜もメイスに負けじと相手をなぎ倒していく。しかし…


「くそっ…蟻のようにわらわらと湧いてきやがって!」


「ソウヤ!ここは先ず、二人でアレを打ちましょう!」


「分かった!今っ、そっち行くから!おらっ!」


メイスに向かうため、敵を薙ぎ払う。


「よし、いつでも行けるか?メイス」


「大丈夫よ。ソウヤ」


そう言って、二人は手を繋ぐ。こんな時でもドキッとしちゃう湊夜くんはもう末期かも。


「「『魔力合成スペル・フュージョン魔力連射スペル・ガトリング!』」」


二人の魔力が辺りに爆ぜる。刹那、魔力が矢となり、相手を襲う。一人の魔力では量、威力がたせないと判断したメイスの作戦である。辺り一面には血が広がっていた。大体の奴がもう死体だ。


「ほう…俺の部下を全員倒すとはなぁ…中々効いたぜ?だが、おもしれえ!お前らをここで倒してやるよ!オラァッ」


「火球!?魔力障壁スペル・シールド!」


(流石メイス、油断がない。だが、どうやって無詠唱を…そんな事考えてる暇はねえな)


「『汝に罰を 落識』」


「な、なんだ…体が動かねっくそっ」


「はあああ!」


メイスがトールに突っ込む。そして、見事に顔面に決まった。


「よし、今のうちに。『闇の精霊よ 何時に与えるは罰 落識』」


しっかりすべて言い切り、魔法を発動した。詠唱を省略はできるが、イマイチ威力がまだ出ない。なので、しっかりと詠唱することにより、本来の威力が出るわけだ。


「ぐっ…舐めんじゃ…ねえ…ぞ…うっ………」


落織は、相手の意識を刈り取ることができる。しかし、完璧に詠唱しないと完全に刈り取れない。ここは要練習だな。


「こいつらは道場破りかしら…?」


「多分そうだろ…それにしても、怖かった…人を殺すのは初めてだからな…」


「そう、ね…怖かった、わ…」


メイスはふらっと湊夜の方に倒れてきた。


「おい、大丈夫か?」


「気を抜いたら、力抜けちゃって…軽く魔力切れを起こしてるわ…少し、休ませて…?」


「ああ、いいぞ。」


少し声が裏返ってしまっていた。何せ、メイスは今、湊夜の肩に頭を乗っけている。メイスは、疲れているのか、少し潤んだ目で湊夜を見ている。やはり湊夜はドキッとしてしまった。


「ふふ…ソウヤとは息がぴったりだったなあ…やっぱり運命かなあ…」


「ん?何か言った?」


「え!?な、何でもないよー?」


「そうか、ならいいけど。」


何処ぞの鈍感難聴主人公だよ!と、ツッコまれそうな事を平気でいう湊夜さん。


メイスに意識を向けつつ、ほかのことを考えていた。初めての人殺し。湊夜は罪悪感に押し潰れそうだった。どんなにここが異世界でも、人殺しをすると、罪悪感で溢れた。


「ソウヤ、無理することは無かったんじゃない?あなた、今罪悪感で溢れてるでしょ?」


「どうして、分かったの?」


「これでも1ヶ月は一緒にいたのよ?何となく分かったわ」


「よく見てくれてるね。ありがとう。」


「あなたは私の友達でもあるんだからね、悩み相談くらい乗るわよ?」


「ホントにありがとう…凄く嬉しい…今の俺には、君がとても暖かく感じるよ…」


「え、えと…あの…あうぅ…」


かなりの時間とても甘い空気が流れていた。しかしここで甘い空気は終わるらしい。知ってる気配が近づいてきていた。


「そろそろ師匠が帰ってくるね…って寝てる!?お、おい起きてくれ!」


「ただい…ま…な、なんだいこれは!?私の孫娘がソウヤにとられた!?」


(そこなの…?)



前回の前書きに「毎日更新するつもり」みたいなこと書きましたが、8/3~8/6まで、予定が入ってしまったので、毎日は厳しいと思われます。なので、この期間は多くて2本になると思います。ご了承ください…。

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