1話 場所の確認
文字数少ないですかね…次はもう少し増やしてみようかな…
「うーん…やっぱり見たことの無い場所だな…食堂に向かおうと思ってたはずなのになあ…?」
彼がこう言うのにも理由がある。まず一つ目に、とてもじゃないが、いい気配があるとは言えない森が目の前にあること。二つ目に遠くから聞いたことのない動物の鳴き声が聞こえるからである。
「まずは今持っているものを確認するか…」
持っていたのは、少量の金とハンカチ、そして着ている制服くらいである。
「まずは街とかを探すべきなのだろうか…それとも、じっとしてた方がいいのか…?」
そう考えていると、何か悍ましい気配が近付いて来てることに気づいた。
「な、なんだこれは……!」
彼が見たのは、日本の都会ではまず見ないものだった。いや、田舎でも見れるわけがない。───牙がむき出しで、針のような毛を持っている、この世界で言う、魔物が湊夜の前にいた。
(こ…殺される…!)
湊夜は本能的にそう感じた。そう感じざるを得ないほどの威圧感が、目の前にあった。
魔物が大きな口を開き、湊夜を喰らおうとする。湊夜の命はすぐに儚く散ると思われたその時だった。
「ていやぁっ!」
少し掠れた声と共に、魔物は森の方へ吹っ飛んだ。
「おい、そこの人間。魔物だらけのこの樹海の側で何してんだい?」
そう言ってきたのは、魔物を吹っ飛ばしたばあちゃんだった。
「そ、その、助けて頂きありがとうございます。えと…魔物って何ですか…?」
「お前さん、魔物も知らないでこんな所に来たのかい?それにお前さんからは全然、魔力も覇気も感じねえし…何者だ…?」
「えと…僕の名前は弓長湊夜と言います。気がついたらここにいて、困惑してたらさっきのに襲われて…」
湊夜は震えながら答えた。初めて魔物に向けられた殺気を思い出す。
「ソウヤと言うのか。分かった。そんで、気づいたらここにって…お前さん出身は?」
「えと、日本という国ですが…」
「ニホン…?そのような国は存在しないぞ…?」
「え…?そんな筈は!地図とかは無いですか!?」
「いや、生憎、今は持っていないが…まずは、うちに来てみるか?」
「すいません、宜しくお願いします」
そう言って、湊夜は、ばあちゃんについて行った。
「あの…名前を聞いても宜しいですか…?」
「ああ、私の名前はメイル・クローズという名だ。クローズ流という、武術の流派なのだが、知らぬか?」
「すいません…知りません…」
「まあまあ有名だとは思ってたんだが…まあいい、着いたぞ」
そこにあったのは、大きな道場のような建物だった。
『おはようございます!!師匠!!』
道場中から大きな声が聞こえた。
「ああ、おはようさん。誰か世界地図持ってきてくれ」
「分かりました。すぐ持ってきます」
そう言って持ってきてくれたのは、まだ雑用係らしい、メイス・クローズという女の子だった。一緒に飲み物も持ってきてくれたが、飲み物の色が真っ黒なのに、香りがまんま紅茶というカオスなものだった。ばあちゃんは普通に飲んでいる。
「どうして、そんな驚いた顔してるんだ…?まあいいや、地図はこれだが、ニホンなんていう国もしくは街なんてねえぞ?」
(ほんとに無いじゃないか…!)
まさか本当に無いとは思っていなかった。心のどこかで、此処は外国だと決め付けていたからかも知れない。しかし、これで湊夜は確証した。ここは紛れもなく異世界であるということを…。
「ちなみに、今俺がいるのって、何処なんですか?」
「ああ、ここは人類が住むのには最も困難と言われてる地、魔界大陸だ。そしてここは魔界に一つしかない国家フレールの辺境の村、クローブだ。」
どうやら、とんでもない場所に飛ばされたらしい…。
次話は、明日までに出したいと思っています。次話は、視点が変わると思います。