一回目
完成したタイムマシンを前に、博士は腕を組み、何かを考え込んでいた。そんな様子の博士に助手が聞いた。
「どうしたんですか博士? せっかくタイムマシンが完成したのです。早く時間の旅行に出発しましょう」
「それなのだが、過去に行くべきか、はたまた未来に行くべきかを悩んでいるのだ。記念すべき時間旅行の第一回目だ、慎重にもなるというものだ」
しかし、助手は笑いながら言う。
「そんな事ですか。難しく考えすぎです。時間旅行に行けるのは今回だけではありません。例えば今回未来に行ったら、次は過去に行けばいいではないですか」
「まあ、それもそうだが…」
楽観的であり、妙に説得力のある助手の言葉に、確かにその通りだと意を決した博士は、助手と共にタイムマシンに乗り込んだ。
「よし、では早速、歴史的な第一回目となる時間の旅行に出発だ。行き先は百年後の未来だ。未来の科学はどれ程発展しているのか非常に興味がある」
「良いですね博士。その次は是非過去に行きましょう。僕は生の恐竜を見てみたいです」
「それも面白そうだな」
期待を胸に、こうして二人は、巨大隕石の衝突で消滅した未来の地球へ、最初で最後となる時間旅行に旅立って行った。