三寒四よん
なんかうちのお父さんが参観しよんねん。別に来てくれてもいいけど。あんま目立たんようなかっこで来ててって、言っといてな。
―翌日
先生「温子!ちょっと来て。三寒四温を十回書いてもらったんはいいねんけど、温の字の皿の部分が四になってんで?温は自分の名前の漢字やろ?なんで間違えたん?」
温子「なんでやろ?わからないです。」
先生「いやでも自分の名前は間違えへんやろ?なんか悩み事があったら先生に言ってな」
温子「悩み事っていうほどのことではないんですけど、うちのお父さんが今日の授業参観に来るんです。」
先生「ああ、そうなんや。お父さんの前では間違えたらアカンで」
温子「わかりました」
なんで三寒四温間違えてしまったんやろ?普段そんなことないのに
別に変わったことなんて、おとんが授業参観に参加することぐらいなのに
母「温子!」
温子「お母さん来てたん」
母「さっき先生に呼ばれてたけど、なんか悪いことしたん?」
温子「なんもしてへんよ!ただ三寒四温の温の字を間違えただけ」
母「さんかんしよん?『さんかんしよん』じゃなくて『さんかんしおん』やで読み方間違えてるで」
温子「ああそうなん。どっちの読み方でもあってると思ってた。」
母「ちゃうよ。温の字に四は入ってないやろ?それで漢字も間違えたんちゃう?」
温子「ああそうかも」
父「温子!来たで」
温子「あーお父さん。ってなんなんその服。虎の顔が入ったスカジャンって
目立たんようなかっこってお母さんに言うたんに」
父「そんなんええやんか。かっこなんて」
母「言うの忘れてたわ。そういえばお父さんも来るんやったね」
父「俺のことも忘れてたんかいな!」
温子「お母さんに、お父さんも参観しよんねんっていうたやん」
父「参観しよんねんってなんやねんな、その言い方」
温子「だって、実際に目立つカッコでくるし」
父「ええやんか。迷子なってもすぐ見つけてもらえるやん」
母「そんな話はええけど、温子はお母さんに参観しよんねんって言うた?」
温子「言うたよ」
母「さんかんしよん……ね。お父さんなんで参観しよんねんな」
父「お母さんまで言うんかいな!温子!もう漢字間違えたらアカンで!」