2話 雨雲
「リオル」
「何?お母さん。」
「もうすぐ7歳の誕生日でしょ?何がイイかなと思って。」
「お母さんのくれた物だったら何でもイイよ。じゃあ、狩りに行って来ーます。」
「行ってらっしゃい。」
今日の天気は曇で雨が降りそうだった。
山の中は、薄暗かった。時々吹いてくる風が何か不安を煽る。
近くで草が動く音がした。音のする方に行くと白くてまるまる太っているベガル(ウサギ)が僕の罠に引っかかっていた。
「やった!これはとても大きいぞ。きっとエマも喜ぶぞ。」
喜んだリオルは草をかき分け一目散に山を駆け下りた。
自分の息が切れても足を止めなかった。エマ喜ぶすが見たくて。
ただそれだけだったのに。
僕は自分の目を疑った。
目の前には元エマがいた。
鋭利な物で腹を引き裂かれていて、腹からは夥しい量の血が流れていた。血の中にはピンク色の臓器もあった。
頬に水があたった。
それが雨だったのかそれとも、涙だったのかわからなかった。僕はただ叫び続けた。
『誰がエマを殺したの……』
『この家に来る人なんていないのに……』
『この家』
『家族』
『家族の誰かが』
『殺したの』
『なんでエマが死なないといけないの』
『殺してやる』
『エマを殺したやつを』
『ころすころすころすころすころすころすころすころすころすころすころすころすころすころすころすころすころすころすころすころすころすころすころすころすころすころすころすころすころすころすころすころすころすころすころすころすころすころすころすころすころすころすころすころすころすころすころすころすころすころすころすころすころすころすころすころすころすころすころす』
自分でもおかしいと思った。エマを殺したやつを家族の誰かだと決めつけて殺そうとしたからだ。
でも、どうやってもこの思考を止めることがてきなかった。何かに押さえつけられているみたいだった。
そして頭の中から流れこんできた。
それはとても黒くて暗くて、ひどく冷たかった。
そして
目の前が真っ暗になった。




